変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!

utsugi

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イザベラの罠 1

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  合宿がスタートすると私たちは話し合いの末、森の中の洋館で警護対象者を守ることになった。

  警護対象は教員のガンプ。ジョセフとオズワルドを警護につけ、適当な部屋を見繕って光魔法でシールドを張った。このシールドが破られることがあればすぐに分かる。

「見回りをしてくるわ」

  ジョセフとオズワルド、そしてリアムに警護を任せ、私とミラは部屋を出て館内の見回りをすることにした。

  洋館は想像していたよりもずっと強固で清潔だった。館内の床には赤い絨毯が張り巡らされている。おとぎ話に出てくるお城のようだ洋館だ。

「ここは以前王国の隠し要塞だったっていう噂を聞いたことがあるわ」

  ミラが言う。たしかにこれだけ立派な建物であればその可能性は十分にありそうだと私は思った。だけど館内の灯はほとんど消えていて館内は薄暗く静まり返っている。

  廊下には歴代国王の肖像画と思われる絵が飾られている。なんだか不気味でどうも好きになれない。……まあ幽霊だの亡霊だのを信じているわけじゃないけれど。

「私は西回りに回るから、ミラは東回りに回ってちょうだい。何かおかしなことがあったら知らせてくれる?」

  ミラは分かったという風に頷くと西回りに廊下を進んで行った。

  今のところ順調だと私は改めて現状を確認する。これまで館内に侵入者の気配はない。メンバーと警護対象者ともに健康状態にも問題はない。

  ただし合宿は始まったばかりだ。まだまだ気を抜かずにいかなければ。

  そう改めて自分に言い聞かせていたその時、背後から聞き慣れた声に呼び止められた。

「エマ? エマでしょう?」

  はっとして振り返り警戒態勢を取った。廊下の暗がりから姿を現したのはイザベラだった。

「……イザベラ?! 一体どうしたの?」

「エマ! お願いちょっとこっちへ来て!」

  突然現れたイザベラは有無を言わさぬ勢いで私の腕を掴んだ。周りには他に誰もいない。

「イザベラ? あなた私とは違うグループ……」

「いいから来てちょうだいエマ! お願いよ!」

「落ち着いてちょうだい。一体何があったっていうの?」

  尋常でなく取り乱している様子のイザベラに私は尋ねた。

「あなた光魔法の状態異常解除が使えたわよね? ルークが大変なの!」

  ルークがどうしたっていうのかしら?

「大変って一体……」

「意識を失っているの! 魔法で攻撃されたのよ!」

「同じグループの人はいないの? あなた確かフェリクスと同じグループ……」

「みんな敵を追っていて誰もいないのよ!」

  取り乱したイザベラの様子とは対照的に館内は静まり返っている。

「戦闘が起きている雰囲気はなかったけれど……」

「敵がルークを攻撃してすぐに館の外に逃げたのよ! 皆今は森へ向かってる。ルークは私が見ておくことになったんだけど、急に苦しそうにしだして……! お願い! 一緒に来て!」

「それほど危ない状況なら緊急の笛を吹いて救護班を呼ぶべきじゃなくて?」

  ルークのことはもちろん心配だったけれど、私も同様に任務の最中だ。メンバーに断りもなく単独行動をするわけにはいかない。

「どうした?」

  暗がりからもう一人の声が聞こえた。リアムだった。

「リアム?」

「そこにいるのは……エマと……イザベラ? どうしてイザベラがここに?」

「どうしてもエマにしかできないの! エマを連れていくけれどいいわよね?!」

「え?」

  なにがなにやら分からず状況が呑み込めないという様子のリアムに私は状況を説明した。

「救護は呼んだのか?」

「それがいくら笛を吹いても返事がないのよ!」

  イザベラの必死な様子に私とリアムはどうしたものかと顔を見合わせる。

「……もしこれが試験の一部なのだとしたら、他部隊にアクシデントがあった場合の連携についても見られているのかもしれないな」

  リアムが言った。

「そうね……。とにかく一度2人でルークの様子を見に行きましょう」

  リアムが魔道具を使ってオズワルドとジョセフに状況を伝える。問題ないとのことで私とルークとイザベラはルークが寝かされているという部屋に向かうことになった。

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