9 / 284
第1章
6話
しおりを挟む
コポコポと小気味いい音が耳に届きます。
あれ以来私はすっかり紅茶が好きになりました。
それにしても魔王は器用ですね。
あんな高い位置からティーポットで小さなカップに紅茶を注ぐのですから。
何でも空気を含ませると更に美味しくなるのだとか。
「今日はアールグレイだ」
「はわぁ~良い香りがする茶葉ですね」
アールグレイと言う茶葉は今まで飲んだ茶葉の中で一番独特の香りです。
心地良いほっこりする香りです。
「ミルクティーに良く合う」
「それは楽しみです!」
私はすっかりミルクティーの虜です。
レモンティーのさっぱりした味わいも良いのですが、ミルクのまろやかさが私を魅了してなりません。
目の前におかれたティーカップの中にミルクを入れてスプーンでくるりとかき混ぜます。
ミルクの白が紅茶に溶けて色が変わっていくのを見るのが楽しいです。
コトン
お皿が目の前に置かれました。
其処には小さな赤い果実が山盛りに積まれて置かれた皿が。
「これは何ですか?」
「何時も焼き菓子では芸が無いからな。果実を取って来た。イチゴだ」
「イチゴ!これが噂のイチゴなのですね!?」
真っ赤なツヤツヤなイチゴはルビーの様に綺麗です。
「甘いですか?」
「甘いぞ。だが少し酸味もある」
「知ってます!甘酸っぱいと言うやつですね!」
「リコリス…お前この数日で随分と知能指数が下がっておらぬか?いや、幼児帰りだなこれは……」
「失礼ですよ魔王!私は自分に素直に生きているだけです!」
「まぁ我にとっては都合よいが」
「それより私は早くイチゴが食べたいです!」
「あぁでは、ほら口を開け」
魔王の言葉に従って口を開けます。
そうすると魔王は小粒のイチゴを綺麗な指で掴み私の口の中に入れてくれます。
口内のイチゴに歯を立てます。
柔らかい果肉から果汁が溢れて口内に満たされます。
はぅぅぅぅぅぅっ――――甘くって少しすっぱくて、美味しいです!!!
見た目も可愛くてこの1粒で私はすっかりイチゴの虜となってしまいました。
「旨いか?」
「はい、美味しいです!!」
はぅ、頬が蕩けて落ちそうです。
何て幸せなんでしょうか。
魔王が何時も作ってきてくれるお菓子も美味しいですがイチゴも負けないくらい美味しいです。
ちなみに魔王が作ってくれた菓子の中で1番気に入っているのはマカロンです。
あの可愛い見た目であの美味しさって反則じゃないですか?
色んな色があって可愛いから食べるの勿体ないけど食べたら美味しい。
色ごとに味が違うのもポイント高いです。
本当可愛くて食べるの勿体ないのでせめてジッと見て記憶に焼き付けようとしたら魔王に笑われてしまいました。
「また作るから好きなだけ食べるが良い」
何て無茶苦茶甘い声で言われたら遠慮せずに食べちゃうに決まっているじゃないですか!
そして今日のイチゴ。
これはマカロンに匹敵する美味しさです。
私そう言えばちゃんと果実を食べたのは初めてですね。
こうして魔王が私に会うのに飽きずに尋ねて来てくれるなら季節の果実ずっと食べれるのでしょうか?
「どうした?口が止まっているぞ?」
魔王がジッ、と私を見ていました。
それにしても綺麗な顔です。
私もそれなりに外見には自信があったのですけど魔王の横に並ぶと流石に委縮しますね。
魔王はそれくらい綺麗なのです。
「ちょっと考え事をしてしまいました」
「何を?」
「魔王が作ってくれたマカロンと同じくらい美味しいなぁ、と」
その言葉に魔王は優しく微笑んでくれました。
美形の微笑み。
眼福です。
そう言えばマカロンの辺りから魔王は私に手ずからお菓子を食べさせてくれるようになりました。
”あーん”の記憶には私には無かったので凄く嬉しかったです。
お父様とお母様はよくしていた気がします。
私は2人のそんな姿を見るのが好きなので自分からは強請った事は無かったですね。
婚約者のコンジュ様とは”あーん”どころか手も繋いだこともありませんし。
でも魔王に”あーん”されるのは嫌じゃ無いんですよね。
むしろこんなに甘やかせてくれて嬉しいしか感想はありません。
「我が城に来れば食事も今より上等な物が食べれるのだぞ?」
「いえ、それはしません。私は魔王が持って来てくれるお菓子だけで十分幸せです。紅茶だって凄く美味しいですし魔王には感謝しかありません。これ以上はお世話になる訳にはいけませんから」
魔王は事ある事に私を自分の城に来ないかと誘ってくれます。
魔王と一緒に居るのは楽しいです。
美味しいお菓子が無くても魔王と一緒に居るのは楽しいです。
他愛無いお話しも、気まぐれで付き合ってくれる手合わせも。
たまにしてくれる膝枕も全部全部大好きです。
でもこれ以上は魔王には甘えないと私は自分を律しています。
私は《武神》であることを捨てました。
お父様も一族を引き連れて国を捨てました。
クレーンカ一族はバンリウ国を見捨てたのです。
それは我が一族が国民の命を見捨てたと言っても過言ではありません。
だから私はこれ以上幸せになってはいけないのです。
今でもこんなに幸せで、本当に泣きそうなくらい魔王は優しくて。
私はその手を取りたくなりますがコレは私のケジメです。
そんな私に飽きれずにこうして毎日会いに来てくれる魔王。
私は魔王が塔に訪れてくれる度にこんな優しい友達を持てて本当に幸せだと心をポカポカさせています。
「これからも私の友達でいて下さいね魔王」
「我は友達如きにここまでせんぞ」
「そうですか!なら私は親友なのでしょうか!?」
ドキドキして聞いてみます。
魔王は何故か顔を手で覆い大きなため息をついて、
「暫くはそれで良いとしてやる」
と優しい声で言ってくれたのでした。
あれ以来私はすっかり紅茶が好きになりました。
それにしても魔王は器用ですね。
あんな高い位置からティーポットで小さなカップに紅茶を注ぐのですから。
何でも空気を含ませると更に美味しくなるのだとか。
「今日はアールグレイだ」
「はわぁ~良い香りがする茶葉ですね」
アールグレイと言う茶葉は今まで飲んだ茶葉の中で一番独特の香りです。
心地良いほっこりする香りです。
「ミルクティーに良く合う」
「それは楽しみです!」
私はすっかりミルクティーの虜です。
レモンティーのさっぱりした味わいも良いのですが、ミルクのまろやかさが私を魅了してなりません。
目の前におかれたティーカップの中にミルクを入れてスプーンでくるりとかき混ぜます。
ミルクの白が紅茶に溶けて色が変わっていくのを見るのが楽しいです。
コトン
お皿が目の前に置かれました。
其処には小さな赤い果実が山盛りに積まれて置かれた皿が。
「これは何ですか?」
「何時も焼き菓子では芸が無いからな。果実を取って来た。イチゴだ」
「イチゴ!これが噂のイチゴなのですね!?」
真っ赤なツヤツヤなイチゴはルビーの様に綺麗です。
「甘いですか?」
「甘いぞ。だが少し酸味もある」
「知ってます!甘酸っぱいと言うやつですね!」
「リコリス…お前この数日で随分と知能指数が下がっておらぬか?いや、幼児帰りだなこれは……」
「失礼ですよ魔王!私は自分に素直に生きているだけです!」
「まぁ我にとっては都合よいが」
「それより私は早くイチゴが食べたいです!」
「あぁでは、ほら口を開け」
魔王の言葉に従って口を開けます。
そうすると魔王は小粒のイチゴを綺麗な指で掴み私の口の中に入れてくれます。
口内のイチゴに歯を立てます。
柔らかい果肉から果汁が溢れて口内に満たされます。
はぅぅぅぅぅぅっ――――甘くって少しすっぱくて、美味しいです!!!
見た目も可愛くてこの1粒で私はすっかりイチゴの虜となってしまいました。
「旨いか?」
「はい、美味しいです!!」
はぅ、頬が蕩けて落ちそうです。
何て幸せなんでしょうか。
魔王が何時も作ってきてくれるお菓子も美味しいですがイチゴも負けないくらい美味しいです。
ちなみに魔王が作ってくれた菓子の中で1番気に入っているのはマカロンです。
あの可愛い見た目であの美味しさって反則じゃないですか?
色んな色があって可愛いから食べるの勿体ないけど食べたら美味しい。
色ごとに味が違うのもポイント高いです。
本当可愛くて食べるの勿体ないのでせめてジッと見て記憶に焼き付けようとしたら魔王に笑われてしまいました。
「また作るから好きなだけ食べるが良い」
何て無茶苦茶甘い声で言われたら遠慮せずに食べちゃうに決まっているじゃないですか!
そして今日のイチゴ。
これはマカロンに匹敵する美味しさです。
私そう言えばちゃんと果実を食べたのは初めてですね。
こうして魔王が私に会うのに飽きずに尋ねて来てくれるなら季節の果実ずっと食べれるのでしょうか?
「どうした?口が止まっているぞ?」
魔王がジッ、と私を見ていました。
それにしても綺麗な顔です。
私もそれなりに外見には自信があったのですけど魔王の横に並ぶと流石に委縮しますね。
魔王はそれくらい綺麗なのです。
「ちょっと考え事をしてしまいました」
「何を?」
「魔王が作ってくれたマカロンと同じくらい美味しいなぁ、と」
その言葉に魔王は優しく微笑んでくれました。
美形の微笑み。
眼福です。
そう言えばマカロンの辺りから魔王は私に手ずからお菓子を食べさせてくれるようになりました。
”あーん”の記憶には私には無かったので凄く嬉しかったです。
お父様とお母様はよくしていた気がします。
私は2人のそんな姿を見るのが好きなので自分からは強請った事は無かったですね。
婚約者のコンジュ様とは”あーん”どころか手も繋いだこともありませんし。
でも魔王に”あーん”されるのは嫌じゃ無いんですよね。
むしろこんなに甘やかせてくれて嬉しいしか感想はありません。
「我が城に来れば食事も今より上等な物が食べれるのだぞ?」
「いえ、それはしません。私は魔王が持って来てくれるお菓子だけで十分幸せです。紅茶だって凄く美味しいですし魔王には感謝しかありません。これ以上はお世話になる訳にはいけませんから」
魔王は事ある事に私を自分の城に来ないかと誘ってくれます。
魔王と一緒に居るのは楽しいです。
美味しいお菓子が無くても魔王と一緒に居るのは楽しいです。
他愛無いお話しも、気まぐれで付き合ってくれる手合わせも。
たまにしてくれる膝枕も全部全部大好きです。
でもこれ以上は魔王には甘えないと私は自分を律しています。
私は《武神》であることを捨てました。
お父様も一族を引き連れて国を捨てました。
クレーンカ一族はバンリウ国を見捨てたのです。
それは我が一族が国民の命を見捨てたと言っても過言ではありません。
だから私はこれ以上幸せになってはいけないのです。
今でもこんなに幸せで、本当に泣きそうなくらい魔王は優しくて。
私はその手を取りたくなりますがコレは私のケジメです。
そんな私に飽きれずにこうして毎日会いに来てくれる魔王。
私は魔王が塔に訪れてくれる度にこんな優しい友達を持てて本当に幸せだと心をポカポカさせています。
「これからも私の友達でいて下さいね魔王」
「我は友達如きにここまでせんぞ」
「そうですか!なら私は親友なのでしょうか!?」
ドキドキして聞いてみます。
魔王は何故か顔を手で覆い大きなため息をついて、
「暫くはそれで良いとしてやる」
と優しい声で言ってくれたのでした。
32
あなたにおすすめの小説
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる