皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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第2章

【貴方の色に染まりたい・中編】

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 神殿を出ると人だかり。
 魔国中の人が集まっているんじゃないですかコレ?

 皆さんが嬉しそうです。
 
 ”おめでとうございます!”

 ”お幸せに!”

 ”戦女神に万歳!!”

 様々な祝福の声が聞こえてきます。
 戦女神~の所は聞き流しても良いですよね?

 竜車にのって王都を凱旋。
 凄い人の数です。
 これだけの人が私と魔王を祝福してくれているなんて。

「凱旋パレードは魔国に来て以来です」

「だがあの頃とは違う。もうパンダではおれんぞ」

「分かっていますよ、戦女神でしょう」

「リコリス、お前は1人で己の地位を確立した。胸を張れ。自信をもって前を向け」

「私小心者なんですけど…」

「魔王候補を倒す小心者が居てたまるか」

 クスクスと魔王が笑います。
 ご機嫌ですね。
 レアな魔王の笑顔に人垣の中でバッタバッタ女性が倒れてるんですが…。
 結婚式でくらい、その歩く猥褻物は止められないモノでしょうか。

 私は流石に笑顔くらいじゃ倒れませんよ!
 魔王の笑顔耐性は付いてますから!

 色気垂れ流しのお風呂上がりの耐性はまだ付いてませんが…。

 歓声に向かって笑顔で手を振ります。
 ひと際歓声が大きくなります。
 もうパンダじゃないと思うと感慨深いですね。
 ココまでの地位を確立するのに4ヵ月も掛かってしまいました。
 人生で1番”蜜”な4ヵ月でしたよ本当に。

 城迄手を振りながら乗り心地の良い竜車で揺られました。
 流石は魔国1の竜車。
 他の竜車とも獣車とも乗り心地が違います。
 後で竜さんたちにご馳走を持って来てあげたいですね。
 今日はそんな暇無さそうですが。

 城に入ると、一端魔王とはお別れです。
 花嫁は大変なんですよ!
 カクテルドレスに着替えないといけないんですから。

 ドレス、しんどい……。

 いえ、頑張りますけどね。
 魔王に綺麗だって思って欲しいですし。

 そして魔王の瞳の色に近いシャンパンゴールドのドレスに着替えました。
 このドレスはエンパイアドレスです。
 後ろの腰当たりのリボンが蝶々のような形をしています。

 漫画で読んだ大好きな”美少女戦士”の”プリンセス”が着ていたドレスに似せて作って貰いました。
 大好きなんですあの漫画。
 色こそ違いますが”プリンセス”になった気分です。

 あ、でも魔王の妃なら”プリンセス”じゃなくて”クイーン”ですね。
 まさか齢18で女王になるなんて思いもしなかったですね。

「楽しそうですねリコリス様」

 メイクを担当してくれているミレーユさんが言いました。
 ドレス作って装飾品作ってヘアメイクしてと多才ですね。

「笑ってましたか私?」

「それは幸せそうに」

 ちょっと浮かれすぎてますかね。
 お恥ずかしいです。

「素敵なドレスを着てメイクをされて、違う自分みたいに綺麗にされて、舞い上がってるみたいです」

「デザイナーとして1番の誉め言葉ですね」

 そう言うものなのでしょうか?
 でもミレーユさんも笑顔なので間違った返しではないみたいです。

「さぁ出来ました。今この世で1番綺麗ですよリコリス様。魔王様をメロメロにしちゃって下さい!」

 1番は流石に言い過ぎですが、鏡に映る私の姿は普段より大人っぽくて。
 これなら世界1は無理でも良い所に飛び込めるんじゃないかってくらいには綺麗に仕上がってました。
 プロのメイクって凄いです。

 ミレーユさんに気合を入れて貰ったので披露宴が行われるホールに移動です。
 すでにピンヒールが痛い…。
 でもピンヒールを履きこなして女子力ですよね先生!
 不肖の弟子、本日はピンヒールを履きこなして見せます!!

 ホールに入ると神殿よりも多くの人が!
 人の多さに眩暈を起こしそうです。

「リコリス」

 甘いテノール。
 その声で名前呼ばれるの私大好きなんですよ。
 知ってましたか魔王?

「エスコートお願いしますね」

「承知した、我の伴侶殿」

 魔王の腕に手を置き会場を進みます。
 立食形式のパーティーです。
 何でもこの方が来賓と挨拶できて良いのだとか。
 私的にはテーブルに並べられた美味しそうなご馳走の方が興味あるんですけどね。

 会場に流れる音楽はオーケストラの生演奏。
 流石にこれだけ広いホールだと、オーケストラが入っても窮屈さを感じさせません。

 そして凄い数の人と挨拶しました。
 覚えきれないです。
 でも他国の重鎮も来られているので覚えられないとか言ってられないです。
 帰ったら復習しましょう。

 そして消えていくテーブルの上のご馳走に涙目になりながらも、魔王にエスコートされてダンスを踊ります。
 ふふふ、先生私ピンヒール履きこなしていますよ!
 ちゃんとステップ踏めていますよ!!

 魔王のリードが上手いので私の負担はほぼありません。
 でもエスコート慣れしてる魔王にちょっぴり嫉妬。

「何を考えた?」

「何をって…」

「一瞬不満そうな顔をした」

 ありゃ、顔に出ちゃいましたか…。

「今まで魔王にエスコートされた女性に嫉妬です」

「ふふ、可愛い事を。これからはお前以外をエスコートすることなどない。お前が最後の女だリコリス」

「言質を取りましたよ?」

「魔国の神に誓おう。いや、魔国の神より権力のある姉様に誓おうか?」

「そうですね、ミヤハルさんに誓って貰いましょう。浮気したらミヤハルさんに制裁して貰いますからね」

「まぁそんな日は一生来ぬがな」

 ぐぬぬ、余裕でちょっと悔しいです。
 でも言われていることは嬉しい事ばかりなんですけどね。

 くるくると魔王のリードでホールを回ります。
 他の人もパートナーと踊っています。
 まるで夢の中の世界のようです。
 でも夢じゃない。
 魔王の体温がこれは現実何だと嫌でも思い知らせてくれるから。
 幻想的な披露宴が終われば、そこからがある意味私の本番です。
 覚悟してて下さいよ魔王!
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