94 / 264
《75話》
しおりを挟む
(どうしましょうどうしましょうどうしましょう!! アーシュさん、を部屋に、上げてしましまし、た。 だってどうみても熱がある、です。病人、放っておけない、です!!)
部屋にアーシュを上げて、扉を閉め鍵をかけるとサラは何故だかいけない事をしている気分になった。
セブンから女の1人身で部屋に男を言われていたのに、だ。
仕方がない。
アーシュは熱がある。
看病するのは診療所で働くサラにとって当たり前のことだ。
だが玄関に居たのがアーシュでなければ、サラは部屋に入れたであろうか?
いや、上げない。
近くの巡回をしている兵士に病人がいると伝えるだけだっただろう。
兵士が来るまでは玄関の前で看病したかもしれないが。
無意識にサラはアーシュを自分のテリトリーに入れたかったのだ。
人目に晒したくなかった。
他の人間に触らせたくなかった。
それを人は独占欲と呼ぶ。
恋に独占欲は付き物だ。
信頼しているセブンの言葉を裏切るほど、サラはアーシュの傍に居たかったのだ。
「アーシュさん、ベッドに腰かけて、下さい。汗を、拭きます」
ノロノロとした動きでアーシュがサラの指示に従う。
ベッドに腰かえたアーシュはやはり気怠げで汗をかいている。
この汗を拭いて着替えさせてからベッドに入れた方が良いだろう。
「汗を拭くから服を、脱が、す………?」
(アーシュさんの肌、見るです、か?服、脱がすの、どうしましょう、か!?抵抗できない異性の服、脱がすの良くない、で、す。何より、私が、恥ずかしい…で、す………)
前回は丸々引ん剝いた癖に、今回は上を脱がすのも手がしどろもどろになりぎこちない。
異性の服を脱がす。
肌を見る。
とんでもない様な事をしている気がしてきたのだ。
前回は下半身から下着から全部引ん剝いたのにだ。
それだけサラがアーシュを異性として意識しているのだ。
「私、は、治癒師です!頑張る、です!!」
出来るだけ肌を見ない様に、視線を逸らしながら服を脱がす。
相変わらず痩せすぎだと思う。
アーシュ位の長身の成人男性ならもう少し厚みがあるだろう。
見ないよう、と言いながらしっかり見ているサラである。
サラが持っている中で1番柔らかなタオルで汗を拭う。
その様子を焦点が定まっていない視線でアーシュが見ていた。
水色の瞳に自分が写り込んでいて、心臓が1人運動会だ。
己の鼓動が五月蠅くて仕方がない。
(綺麗な肌、です。美容、気を使って、いるんでしょう、か?色も白い、ですし、外で作業しない、人、なんでしょう、ね?)
きめ細かな白い肌を拭く。
タオルに水分が吸収されると、アーシュは心地よかったのかふぅ、と小さくと息を吐いた。
「!?!?!?」
サラは目が回りそうだった。
何だかその吐息に色気が含まれている様な気がしたのだ。
色気の化身ともいえるサイヒを前にした時でも、こんなに心臓が飛び跳ねた事が無い。
サイヒで美形には慣れている筈なのに、何故かアーシュには緊張する。
アーシュは確かに美形だが、サイヒのような”絶世の”や”芸術品”と言う肩書がつくほどではない。
普通に美形である。
なのに何故アーシュにこんなに緊張してしまうのか、理解できずサラはパニック状態だ。
だが行動を止める訳にはいかない。
汗を拭きとり綺麗な服に着替えさせてやらなければ、熱がある体に悪い。
(蟻が1匹蟻が2匹蟻が3匹………)
サラは出来るだけ無心になるよう蟻の数を数えながらアーシュの肌を清めていった。
流石にパンツを脱がすのだけは出来なかったが………。
そして着替え。
ナナにプレゼントされた『今度愛しの君が来たら着替えにどうぞ♡』と渡されたパジャマを着せた。
何故かサイズがジャストフィットである。
その事についてはサラは疑問に思わなかった。
サキュバスだからかな?くらいの認識だ。
「アーシュさん、ご飯、食べれます、か?」
ふるふると弱弱しく首が横に振られる。
言葉を発せずに視線で訴えかけてくるアーシュは、行動が幼く見える。
サラの胸がキュゥ、と締め付けられる。
「じゃぁ、果実水、飲みましょう、ね?」
コクリ、と首が縦に振られた。
サラは冷蔵BOXからオレンジの果実水を取り出しカップに注ぐ。
アーシュに渡すとコクコクと一気に飲み干した。
喉が渇いていたのだろう。
冷たく甘い果実水は美味しかったようだ。
アーシュの目元が優し気に細められた。
「~~~~~!!」
(何か、何かが、心臓に悪い、です!!)
空いたカップを受け取り流しに付ける。
そしてアーシュにベッドに横になるよう促した。
自分は椅子とテーブルで十分寝れる。
何なら床でも寝れる。
スラム育ちを甘く見てはいけない。
こう見えてサラは案外図太い。
が、グイ、と腕を引っ張られた。
軽い体重のサラは簡単に力に引きずられ、アーシュの懐にその体をすっぽりと収まった。
「は、へ……?」
ベッドで抱き合う形。
両腕を背中に回されて完全にサラの体を抱きしめて離さない様にしている。
そのままクゥクゥと小さな寝息を立ててアーシュは寝入ってしまった。
(~~~~~誰か!誰か、助け、て下さ、いぃぃぃぃぃぃいぃっ!!!)
サラの心の中の悲鳴は誰にも聞きとられることは無かった。
部屋にアーシュを上げて、扉を閉め鍵をかけるとサラは何故だかいけない事をしている気分になった。
セブンから女の1人身で部屋に男を言われていたのに、だ。
仕方がない。
アーシュは熱がある。
看病するのは診療所で働くサラにとって当たり前のことだ。
だが玄関に居たのがアーシュでなければ、サラは部屋に入れたであろうか?
いや、上げない。
近くの巡回をしている兵士に病人がいると伝えるだけだっただろう。
兵士が来るまでは玄関の前で看病したかもしれないが。
無意識にサラはアーシュを自分のテリトリーに入れたかったのだ。
人目に晒したくなかった。
他の人間に触らせたくなかった。
それを人は独占欲と呼ぶ。
恋に独占欲は付き物だ。
信頼しているセブンの言葉を裏切るほど、サラはアーシュの傍に居たかったのだ。
「アーシュさん、ベッドに腰かけて、下さい。汗を、拭きます」
ノロノロとした動きでアーシュがサラの指示に従う。
ベッドに腰かえたアーシュはやはり気怠げで汗をかいている。
この汗を拭いて着替えさせてからベッドに入れた方が良いだろう。
「汗を拭くから服を、脱が、す………?」
(アーシュさんの肌、見るです、か?服、脱がすの、どうしましょう、か!?抵抗できない異性の服、脱がすの良くない、で、す。何より、私が、恥ずかしい…で、す………)
前回は丸々引ん剝いた癖に、今回は上を脱がすのも手がしどろもどろになりぎこちない。
異性の服を脱がす。
肌を見る。
とんでもない様な事をしている気がしてきたのだ。
前回は下半身から下着から全部引ん剝いたのにだ。
それだけサラがアーシュを異性として意識しているのだ。
「私、は、治癒師です!頑張る、です!!」
出来るだけ肌を見ない様に、視線を逸らしながら服を脱がす。
相変わらず痩せすぎだと思う。
アーシュ位の長身の成人男性ならもう少し厚みがあるだろう。
見ないよう、と言いながらしっかり見ているサラである。
サラが持っている中で1番柔らかなタオルで汗を拭う。
その様子を焦点が定まっていない視線でアーシュが見ていた。
水色の瞳に自分が写り込んでいて、心臓が1人運動会だ。
己の鼓動が五月蠅くて仕方がない。
(綺麗な肌、です。美容、気を使って、いるんでしょう、か?色も白い、ですし、外で作業しない、人、なんでしょう、ね?)
きめ細かな白い肌を拭く。
タオルに水分が吸収されると、アーシュは心地よかったのかふぅ、と小さくと息を吐いた。
「!?!?!?」
サラは目が回りそうだった。
何だかその吐息に色気が含まれている様な気がしたのだ。
色気の化身ともいえるサイヒを前にした時でも、こんなに心臓が飛び跳ねた事が無い。
サイヒで美形には慣れている筈なのに、何故かアーシュには緊張する。
アーシュは確かに美形だが、サイヒのような”絶世の”や”芸術品”と言う肩書がつくほどではない。
普通に美形である。
なのに何故アーシュにこんなに緊張してしまうのか、理解できずサラはパニック状態だ。
だが行動を止める訳にはいかない。
汗を拭きとり綺麗な服に着替えさせてやらなければ、熱がある体に悪い。
(蟻が1匹蟻が2匹蟻が3匹………)
サラは出来るだけ無心になるよう蟻の数を数えながらアーシュの肌を清めていった。
流石にパンツを脱がすのだけは出来なかったが………。
そして着替え。
ナナにプレゼントされた『今度愛しの君が来たら着替えにどうぞ♡』と渡されたパジャマを着せた。
何故かサイズがジャストフィットである。
その事についてはサラは疑問に思わなかった。
サキュバスだからかな?くらいの認識だ。
「アーシュさん、ご飯、食べれます、か?」
ふるふると弱弱しく首が横に振られる。
言葉を発せずに視線で訴えかけてくるアーシュは、行動が幼く見える。
サラの胸がキュゥ、と締め付けられる。
「じゃぁ、果実水、飲みましょう、ね?」
コクリ、と首が縦に振られた。
サラは冷蔵BOXからオレンジの果実水を取り出しカップに注ぐ。
アーシュに渡すとコクコクと一気に飲み干した。
喉が渇いていたのだろう。
冷たく甘い果実水は美味しかったようだ。
アーシュの目元が優し気に細められた。
「~~~~~!!」
(何か、何かが、心臓に悪い、です!!)
空いたカップを受け取り流しに付ける。
そしてアーシュにベッドに横になるよう促した。
自分は椅子とテーブルで十分寝れる。
何なら床でも寝れる。
スラム育ちを甘く見てはいけない。
こう見えてサラは案外図太い。
が、グイ、と腕を引っ張られた。
軽い体重のサラは簡単に力に引きずられ、アーシュの懐にその体をすっぽりと収まった。
「は、へ……?」
ベッドで抱き合う形。
両腕を背中に回されて完全にサラの体を抱きしめて離さない様にしている。
そのままクゥクゥと小さな寝息を立ててアーシュは寝入ってしまった。
(~~~~~誰か!誰か、助け、て下さ、いぃぃぃぃぃぃいぃっ!!!)
サラの心の中の悲鳴は誰にも聞きとられることは無かった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
召喚聖女が来たのでお前は用済みだと追放されましたが、今更帰って来いと言われても無理ですから
神崎 ルナ
恋愛
アイリーンは聖女のお役目を10年以上してきた。
だが、今回とても強い力を持った聖女を異世界から召喚できた、ということでアイリーンは婚約破棄され、さらに冤罪を着せられ、国外追放されてしまう。
その後、異世界から召喚された聖女は能力は高いがさぼり癖がひどく、これならばアイリーンの方が何倍もマシ、と迎えが来るが既にアイリーンは新しい生活を手に入れていた。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる