婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《136話》???Side

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 ココはとある王宮。
 一人の美少年が鏡を見つめていた。

「体を治してやったら性格まで復活したか。まぁ女好きなだけで実害が無いだろうと思い放っておいたが、私の愛し子に手を出そうとしたのは許せんな。
双方の合意があるならともかくあの子が武力を使うほど嫌がっているとなれば…天罰は必要だなぁ」

 ニヤリ、と唇が弧を描く。
 生来の美貌と相まって、そんな顔も酷く扇情的に見える。
 此処に人が居なくて良かった。
 もし他者が居たら靴を舐めてでもお傍に仕えさせてください、と信者が増えた事だろう。

「いっそご先祖様のお仕置きを真似てみるか?【過去視】で痴態を世間様に見せるのも良いな、これからも見栄えは変わってないのだから魂が雌化してなくても大勢の男にまた狙われることになるだろう。
魂が雌化していた時は男がこぞって群がる傾国の色気であったからな。精神が男の状態で漢達に組み敷かれるのは、あの女好きの王子にはさぞや応えるであろう。
【暴食】【修復】【痛覚上昇】【食欲対象限定】【不老】のコンビネーションも面白いな。
食欲対象が己になり、痛覚は上がり、暴食で常に飢え、修復で身体が再生されて、不老で老化で死ぬことも出来ない。
これは流石に色ボケにはやりすぎか?
【体力自然回復】【不老】【修復】【転移】に加えて【女体化】とか?
死ぬまでゴブリンの子供を産む装置にしてしまおうか?
元々性欲が強いのだ。女になってゴブリンと交わり続けるのも悪くは無いだろう。
それに誰の迷惑もかけん。
あぁ、しかしあの国のゴブリンは皆魂が雌化していたな。確か司教の肉棒にメロメロのはずだ。女に子を植え付ける本能はもうないだろう。
ゴブリンが絶滅する日も近いなあの国は…ゴブリンの絶滅を止めるのも仕事のうちになるのだろうか?魔物は流石に私の管轄外だと思うのだがな。
しかしゴブリン以外に人間の雌に子を植え付ける本能を持った魔物もおらんしな…いっそいかれた老医師と番にさせるのが良いだろうか?
あの医師も自分だけ狂うのは哀れだからな。
寿命を延ばして2人で噤み合う環形になれれば本望だろう」

 クツクツと獰猛な獣のように少年は喉を鳴らして笑う。
 目に獰猛な光が宿っている。
 それでも少年の美貌は衰えない。
 それどころか色香が増したような気さえする。

 コンコン

 扉がノックされる。

「入って良いぞ」

「失礼いたします」

 少年の専属侍女がお茶の用意を持ってきたのだ。
 紅茶の良い香りが鼻孔を擽る。
 茶菓子のレモンケーキとスコーンの甘い香りは腹を刺激する。
 視覚と嗅覚だけでソレが美味しいものだと確信する出来栄えだ。

「随分楽しそうですねお兄様」

「うむ、たまには神様らしいことでもしようと思ってな」

「まぁ、ほどほどにして下さいませ。どうせ地上で誰かに天罰でもお与えになるつもりでしょう?」

「おやおや、私の専属侍女は感が鋭い」

「だって悪い顔してますわよ、お兄様」

 専属侍女がクスクス笑いながらカップに紅茶を注ぐ。
 慣れた手つきで淹れる紅茶はその色まで美しい。
 相当に腕が良いのだろう。

「まぁ我らが宰相殿に拳骨を落とされんようにはしておくとしよう」

「そうして下さいまし、あんまり私の愛しい方を虐めないで下さいまし」

 宰相は専属侍女の婚約者だ。
 だが専属侍女は基本”お兄様至上主義”である。
 一応やんわりと婚約者の胃の事を考えてお兄様を少しばかり諫めてみてはするが。
 それで止めるお兄様でないことは専属侍女が1番知っている。

 少年が茶の注がれたカップを持つ。
 香りを楽しんだ後、カップに口をつけフレーバーティーを嚥下する。
 口の中で味が広がる。
 その優しい味に、少年ーいや、男物の正装を纏った美貌の少女はようやく優しい笑みを浮かべるのだった。
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