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【3話】
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今日も今日とて後宮は平和である。
サイヒはのんびり第3皇太子妃マロン=スクワラルとお茶している。
この少女、顔立ちは愛らしいが何処か庶民染みている。
髪の色は甘栗色。
瞳は茶色だ。
わりとよくある色合いである。
そして何より、お茶の時間のお菓子を自作している。
素朴な味だが悪くない。
かなり美味しい部類である。
「マロンは菓子を作るのが好きなのか?」
「自分で作れば毒見の必要もありませんので。お口に合わないですかお兄様?」
不安げに見つめてくる大きな瞳が愛らしい。
異性の壁を越えて庇護欲を抱かせる。
サイヒは顔が良いと得だな、くらいにしか思わないが。
「いや、旨いぞ」
「良かった!」
笑顔が浮かぶ。
この笑顔のために尽くしたいと思う男は少なくないだろう。
サイヒは同性なので思わないが。
しかしココまで懐かれると情は沸く。
頭の悪い犬が懐いて来ているみたいで可愛らしいとは思う。
「それにしても手慣れているな。後宮に入る前から作っていたんじゃないか?爵位のある令嬢としては珍しいもんだ」
「あ、私は爵位があると言ってもお父様がお金で買ったようなものですから…。スクワラル商会ご存じないですかお兄様?」
「あぁ、あの大陸中に支部がある大商会か。じゃぁお前はもともと庶民だった訳だ」
「お恥ずかしい事ですが……」
マロンが俯く。
その頭にサイヒは手を乗せポンポンと軽く撫でる。
ワシャワシャ撫でると折角の侍女たちの努力の塊であるヘアーセットが崩れるからだ。
流石に法術でも直せない。
「気位の高い女よりお前くらいの方が可愛げがあって丁度良い。外見も負けていないし、旨い菓子も作れるし卑屈になる必要性はないぞ」
「お兄様…大好きです!」
マロンがサイヒの手をギュッと握る。
目元を微かに赤く染めて微笑む姿は素直に可愛らしいと思う。
何よりマロンの作る菓子は旨いので好感度は上乗せだ。
「マロン、幾ら相手が宦官だと言っても男は男だぞ?あんまり気を持たすようなことはするな」
「やだっ私ったらはしたなかったですか!?」
「まぁ私は気にしないが。上流階級の目線で見てはどうか分からんがな。お前のそう言う処は可愛いと思うが…そうだな他の皇太子妃と居る時なんかはもう少し気を引き締めた方が良い。上流階級のお嬢様は仲良く見せつつ足の引っ張り合いが好きだからな」
「お兄様、女心に詳しいんですのね?」
「双子の姉が居たからな」
「まぁお兄様の姉なら美人でしょう?」
「いや、私と姉上はあまり似ていないからな。どちらかと言うと可愛らしい人だから私より性質的にはマロンの方が似ているぞ」
(成程。それで嫌いになれない訳か)
心の中でサイヒは1人納得していた。
無邪気で可愛らしくて泣き虫で慈愛に満ちていてお菓子を作るのが好きな双子の姉。
クールで中性的な顔立ちで気が強くて法術と魔術しか得意でない女らしくない自分。
自分と全く正反対だったから余計に姉が可愛く思っていた。
マロンは何処かマーガレットを彷彿とさせる。
情が湧いても仕方ない。
「お兄様のお姉様に私が似ているのですか?嬉しいです!」
「菓子作りが好きな所も似ている」
「まぁ、私明日からも張り切ってお菓子作りますわ」
「明日はフィナンシェが食べたい」
「はい、侍女に材料の用意を頼んでおきます。楽しみにしていて下さいね」
「あぁ楽しみにしている」
その後、マロンが淹れてくれたお茶を飲み彼女の話に耳を傾ける。
サイヒは相槌をうつ。
それだけで満足なのかマロンはコロコロと鈴を響かせたような笑い声をあげる。
そうして今日もまったりと時間が過ぎていく。
サイヒは深く考えていなかった。
宦官と言えど皇太子妃の部屋に1人の男が毎日通っている事が後宮でどう思われるかを。
ただでさえマロンは宦官からの人気が高かった。
サイヒを妬むものがいてもおかしくはない。
こうしてサイヒは”自分が巻き込まれずに”後宮ドロドロ愛憎劇を楽しもうと思っていたのだが、見事に自分中心に愛憎ドロドロ劇が繰り広げられることになるとは考えてもいなかった。
サイヒはのんびり第3皇太子妃マロン=スクワラルとお茶している。
この少女、顔立ちは愛らしいが何処か庶民染みている。
髪の色は甘栗色。
瞳は茶色だ。
わりとよくある色合いである。
そして何より、お茶の時間のお菓子を自作している。
素朴な味だが悪くない。
かなり美味しい部類である。
「マロンは菓子を作るのが好きなのか?」
「自分で作れば毒見の必要もありませんので。お口に合わないですかお兄様?」
不安げに見つめてくる大きな瞳が愛らしい。
異性の壁を越えて庇護欲を抱かせる。
サイヒは顔が良いと得だな、くらいにしか思わないが。
「いや、旨いぞ」
「良かった!」
笑顔が浮かぶ。
この笑顔のために尽くしたいと思う男は少なくないだろう。
サイヒは同性なので思わないが。
しかしココまで懐かれると情は沸く。
頭の悪い犬が懐いて来ているみたいで可愛らしいとは思う。
「それにしても手慣れているな。後宮に入る前から作っていたんじゃないか?爵位のある令嬢としては珍しいもんだ」
「あ、私は爵位があると言ってもお父様がお金で買ったようなものですから…。スクワラル商会ご存じないですかお兄様?」
「あぁ、あの大陸中に支部がある大商会か。じゃぁお前はもともと庶民だった訳だ」
「お恥ずかしい事ですが……」
マロンが俯く。
その頭にサイヒは手を乗せポンポンと軽く撫でる。
ワシャワシャ撫でると折角の侍女たちの努力の塊であるヘアーセットが崩れるからだ。
流石に法術でも直せない。
「気位の高い女よりお前くらいの方が可愛げがあって丁度良い。外見も負けていないし、旨い菓子も作れるし卑屈になる必要性はないぞ」
「お兄様…大好きです!」
マロンがサイヒの手をギュッと握る。
目元を微かに赤く染めて微笑む姿は素直に可愛らしいと思う。
何よりマロンの作る菓子は旨いので好感度は上乗せだ。
「マロン、幾ら相手が宦官だと言っても男は男だぞ?あんまり気を持たすようなことはするな」
「やだっ私ったらはしたなかったですか!?」
「まぁ私は気にしないが。上流階級の目線で見てはどうか分からんがな。お前のそう言う処は可愛いと思うが…そうだな他の皇太子妃と居る時なんかはもう少し気を引き締めた方が良い。上流階級のお嬢様は仲良く見せつつ足の引っ張り合いが好きだからな」
「お兄様、女心に詳しいんですのね?」
「双子の姉が居たからな」
「まぁお兄様の姉なら美人でしょう?」
「いや、私と姉上はあまり似ていないからな。どちらかと言うと可愛らしい人だから私より性質的にはマロンの方が似ているぞ」
(成程。それで嫌いになれない訳か)
心の中でサイヒは1人納得していた。
無邪気で可愛らしくて泣き虫で慈愛に満ちていてお菓子を作るのが好きな双子の姉。
クールで中性的な顔立ちで気が強くて法術と魔術しか得意でない女らしくない自分。
自分と全く正反対だったから余計に姉が可愛く思っていた。
マロンは何処かマーガレットを彷彿とさせる。
情が湧いても仕方ない。
「お兄様のお姉様に私が似ているのですか?嬉しいです!」
「菓子作りが好きな所も似ている」
「まぁ、私明日からも張り切ってお菓子作りますわ」
「明日はフィナンシェが食べたい」
「はい、侍女に材料の用意を頼んでおきます。楽しみにしていて下さいね」
「あぁ楽しみにしている」
その後、マロンが淹れてくれたお茶を飲み彼女の話に耳を傾ける。
サイヒは相槌をうつ。
それだけで満足なのかマロンはコロコロと鈴を響かせたような笑い声をあげる。
そうして今日もまったりと時間が過ぎていく。
サイヒは深く考えていなかった。
宦官と言えど皇太子妃の部屋に1人の男が毎日通っている事が後宮でどう思われるかを。
ただでさえマロンは宦官からの人気が高かった。
サイヒを妬むものがいてもおかしくはない。
こうしてサイヒは”自分が巻き込まれずに”後宮ドロドロ愛憎劇を楽しもうと思っていたのだが、見事に自分中心に愛憎ドロドロ劇が繰り広げられることになるとは考えてもいなかった。
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