聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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【4話】

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「ちょっと待て!」

 今日もマロンの元に向かうサイヒの後ろから荒げた男の声がかけられた。
 が、サイヒは気にせずスタスタ歩く。

「おい!待てと言ってるだろう!!」

 気にせずスタスタ歩く。
 足の長さの差か、距離はどんどん離れていく。

「無視をするな!」

 走ってきた男はサイヒの腕を掴む。

 スタスタスタ
 ズルズルズル

「ちょ、まっ、引きずるなーーー!!他の者も見てないで手伝え!!」

「「「「はいっ!!」」」」

 ガシッ×5

 スタスタスタ
 ズルズルズル

「どういう筋肉しておるのだ貴様ぁ!」

「ちょ、止まらない!」

「力強えーなオイッ!!」

 成人男性5人を引きずってサイヒはスタスタ歩く。
 多少歩きづらいが重さは気にならない。
 賢者たるもの魔術と法術に頼りきりではいけない。
 筋肉も必要だ。
 筋肉は裏切らない。
 サイヒの持論である。

「お待ちなさいっ!」

 甲高い女の声がサイヒを止める。
 
 さすがに目の前に立たれたら止まりはする。

「あ~何か?」

「貴様、誰に向かって口をきいている!この方は第一皇太子妃であられるぞ!」

「そっすか、じゃぁ私は行くところがあるので」

 ヒョイ、と第一皇太子妃の横を通り過ぎる。
 勿論荷物を引きずったままだ。

「待ちなさい要件は済んでいません!」

 ヒステリックな声があげられる。
 鼓膜が痛い。

「私に何か用か?」

「口の利き方がなっていませんわね!貴方は教育が必要そうね。私の部屋に連れていきます!」

「あ、結構です」

「貴方に断る権利はありません!」

「面倒臭い」ボソッ

「何ですってぇっ!!」

「ヒステリーなオバサンだな」ボソッ

「誰がオバサンですってーーーーーっ!!!」

 キンキンと甲高い声が鼓膜を攻撃してくる。
 このままではマロンの部屋までついて来そうだ。
 相手する方が面倒臭いのも少しマシ。
 そうサイヒは判断した。

「要件ならここで聞く。手っ取り早く20文字以内ではなしてくれ」

「~~~~~っ!!」

 第一皇太子妃が顔を真っ赤にしててプルプル震えている。

「話が無いなら行かせてもらうぞ」

「待ちなさい!貴方今から何処へ行く気!?」

「マロンの処だが?」

「第3皇太子妃と私では私の方が権力あるのぐらい理解できますわね?私の部屋に来なさい。1人の宦官が第3位とは言え皇太子妃の部屋に通い詰めた罰を与えますわ!勿論第3皇太子妃にも言い聞かせます」

「別に疚しい事はしていないが?」

「ふん、あの小娘。ガキの癖に色気づいて!でも、まぁあの小娘が入れ込むのも分かるわね。貴方、なかなか綺麗な顔をしているじゃない」

「あざーす」

 一応【認識阻害】の魔術をかけているのだが、サイヒの美貌はそれを上回る。
 まぁ術のお陰で中々の美形、程度で終わっているのだが。

「ふふふ、あんな小娘の処に通うのなんてやめて私の処に通いなさい」

 サイヒの顎を扇子でくい、とあげその顔を覗き込む第1皇太子妃。
 サイヒよりも更に身長が高いうえヒールを履いているので随分と上から覗き込まれる形になる。
 目が獲物を狙う肉食動物のようだ。
 獲物は勿論サイヒである。

「悪いがアンタにマロン以上の魅力を感じないので遠慮する」

「な、ななななっ何ですって!?私があのガキに魅力で負ける?私の何処があのガキに劣るっていうのよ!!」

「胸と肌の張り」

 ピシャァァァァァァアンッ!!

 その場に居た者全員に電流が走った。

 確かに第1皇太子妃は色気はある。
 スリムな体のラインを主張するドレスは大きなスリットが入っており、かなり際どいところまで素肌が覗く。
 長身故、その長く引き締まった足も魅惑的である。
 
 だが、胸が無い。
 正直言ってまな板だ。

 そして15歳のマロンに比べて8歳も年上である第1皇太子妃の肌の張りは当然劣る。

 プッ…

 サイヒにしがみ付いていた宦官たちが蹲って肩を震わせていた。
 皆笑いをこらえている。
 流石に的を得て過ぎて否定出来なかったらしい。

「そ、その者に刑を与えよ!!」

「事実に答えただけで簡単に刑を与えていたら皇太子妃は務まらないんじゃないのか?未来の王妃ならもっとクールでいてくれないと王が困るだろう?」

「うるさいうるさい!!お前など極刑だ!!」

「面倒臭いな、シルフ」

 サイヒが風の精霊の名を呼ぶ。
 サイヒは精霊使いではないが精霊は見えるし会話もできる。
 その中には悪戯好きな風の精霊がいる。
 
 もう5年ほど仲良くしている風の精霊はサイヒの意図を汲んだらしい。

 ゴウッ!

 疾風が第1皇太子妃を襲った。

 ブワッ!

 第1皇太子妃のスカートが捲れ上がった。

「キャァァァァァァァァッ!!」

「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」」

 第1皇太子妃の悲鳴と宦官たちの興奮した声が響いた。

 第1皇太子妃のスカートの下は、下着が着けられていなかった。
 生まれたままの姿と言うヤツである。

 流石に去勢されている宦官たちでも興奮した声をあげる。
 心のチ〇コはまだ存在しているのだ。
 そして現在、心のチン〇はそそり勃っていると言っても過言ではない。

「いやぁーーーーっ!」

 第1皇太子妃は悲鳴を上げながら、見事にピンヒールであるにも関わらず凄いスピードで走って行った。

 サイヒにしがみ付ていた宦官たちも興奮しながら

 ”見たか!?”

 ”俺初めて女の裸みたよ!”

 ”しかもパイパンだぞ!”

 と盛り上がっている。
 中には鼻血を流している者迄いる。

「結局何だったんだ?」

 興奮してサイヒの存在を忘れた宦官たちを置いて、サイヒは美味しい茶菓子にありつくためマロンの部屋を目指すのだった。
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