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【71話】
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「唐突の訪問をすまないジャクタル聖女王」
ルークが謁見の間で綺麗な礼をする。
その姿に周囲の者はほう、と小さな溜息を吐いた。
白銀の髪にエメラルドの瞳。
綺麗に整った中性的な顔、細身だが鍛えられてる体つきは白を基調とした正装の上からでも分かる。
腰に差している剣はレイピアで、持ち手が金、鞘の色が深い青のその剣はルークの男としての精悍な魅力が引き出されていた。
「随分と変わられたのだなルクティエス皇太子殿。公務しか出来ない冷徹の皇子などど噂に聞いていたが、どうやら噂は筋違いの様だ。こうして貴方を目の前にしているだけでその力が分かる」
ジャクタル聖女王は噂にたがわぬ法力と慧眼の持ち主らしい。
すぐにルークが何であるか気付いた。
ジャクタル王国は別名”聖獣の国”と言われている。
獣人が中心になって造られた国だ。
他の国では暮らせない獣人や亜人、魔族までもがこの国では平和の恩恵を受ける事が出来る。
それもこれも、歴代の聖女王の力ゆえだろう。
ジャクタルの聖女は王族だろうが平民だろうが、スラムの出であろうが必ず女王の座に腰を下ろす。
最初の聖女からそう言うしきたりなのだ。
”国を守る者こそ国の頂点に立つべきである”
コレがジャクタル王国の考え方だ。
事実、聖女に選ばれた少女は宮殿で保護され、王としての教育がなされる。
ゆえにジャクタル国の聖女王は威厳と慈愛と英知を兼ね備えている者が多い。
聖女になってからも国を守るため”破邪結界”を張りながら、残りの法力を鍛える事を忘れない。
他の国の聖女が結界を張ったら、結界の維持だけしかしていないことを考えれば、それがどれだけ異質か分かる。
だからこそジャクタル王国は、大陸1の聖女を輩出する国として有名になった。
未だに亜人や獣人を見下す差別思考の持ち主も、この聖女王の前では頭をひれ伏すであろう。
ルークさえ、サイヒに会っていなければ、魔王として覚醒していなければ、この聖女王のその目から凝視されて蛇の前の変える状態になっていたことは想像に難くない。
だが目の前の聖女王は年齢で言えばルークとさほど変わらないようだった。
ようやく成人したばかり、と言ったところだ。
ウェーブのかかった黒柴の髪に翠玉の様な大きな猫目。
形の良い鼻と唇は小さめだ。
黒柴豹の獣人で、ピクピク動く猫(豹)耳と揺れる黒柴の尻尾が艶めかしい。
サイヒの様な絶世の美貌とは違うが、魅力的な女性であった。
「で、だ。ルクティエス皇太子、訪問の理由は私が聖女でなくなった事と関係するのかな?」
ジャクタル聖女王の言葉に謁見の間は揺れ、なかった。
皆が己の主に起こった事態を認識しているらしい。
それでいて誰も揺るがない1枚岩。
女王の最も強い能力は”聖女”としての能力より、この統治術にあるらしい。
「おそらく各国で聖女たちは神の加護を失った。神は打ち取られた。だがそんな良く出来たタイミングで現れてはならないモノが出現した。ソレを抑えるために出向かせて貰った訳だ」
「成程、例えばウチの前国王とかかな?」
ザワリ
初めて謁見の間にざわめきが立ち込める。
「様々な国に純アストラル体の”悪魔”が侵入している。ソレを払う手助けをしに来た」
「それは助かるな。では悪魔退治と行こうか?」
「話が早くて助かるが、私の言葉を真に受けて良いのか?帝国がジャクタル王国を落とすための甘言かも知れないんじゃないか?」
「獣人の知覚能力を舐めないで貰いたい。我々は人族より鼻が利く。嘘を嗅ぎ分けられるものだって存在している訳だ。この私の御付きの不思議ちゃんな青い鳥にもな」
「え~女王様、俺、不思議ちゃんじゃないですよ~」
にへら、と幼さを残す青い翼をもつ鳥人が口を尖らせる。
「天然は自分が天然と認識していないんだよ。ソレよりお前が言っていた通り前国王が黒だ。さっさと討伐に行くぞ。
あぁ、兵はいらないからこの場に居る者はこの情報をこれより外に漏らさないよう動いてくれ。討伐は、ルクティエス皇太子に任せたら何とでもなりそうだからな」
「「「「「御意!」」」」」
何とも統率の取れた家臣たちである。
聖女でなくとも己らの主の優秀さを疑う様子が微塵も無い。
「俺は!俺は連れて行ってくれるよね女王様!!」
「何を焦っているか知らないがお前は最初から連れて行く気だったぞ。公務はサボり癖はあるが能力は評価しているからな」
「良かった…女王様が他所の男と1対1何て俺耐えられそうにないもんね……」
青の鳥人の小さな呟きはジャクタル女王には聞こえなかった様だ。
魔王として覚醒しているルークの耳にはばっちり入ってきたのだが。
(身分も関係なく恋に落ちる…少し前の私もそうであった、サイヒ、早く帰ってきてくれ。この少年のように愛する者が窮地に陥ってるのなら、己が隣で支えたいのだから……)
それでもサイヒが”待っていてくれ”と手紙に綴ったからルークはサイヒを追いかけない。
サイヒが戻って来た時、平穏な世界で迎え入れるのがルークの理想だから。
だから、己の配下であろうはずの悪魔をこの手にかける事となっても、ルークはサイヒを待ち続けるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その頃サイヒは神様を瞬殺でブッコロリ☆してるんですけどね…(;^ω^)
ようやく地上での戦いも始まりました。
戦闘描写苦手なので基本瞬殺(同じ瞬殺でもサイヒは異次元)も多いですが気にしないで下さい(*- -)(*_ _)ペコリ
ルークが謁見の間で綺麗な礼をする。
その姿に周囲の者はほう、と小さな溜息を吐いた。
白銀の髪にエメラルドの瞳。
綺麗に整った中性的な顔、細身だが鍛えられてる体つきは白を基調とした正装の上からでも分かる。
腰に差している剣はレイピアで、持ち手が金、鞘の色が深い青のその剣はルークの男としての精悍な魅力が引き出されていた。
「随分と変わられたのだなルクティエス皇太子殿。公務しか出来ない冷徹の皇子などど噂に聞いていたが、どうやら噂は筋違いの様だ。こうして貴方を目の前にしているだけでその力が分かる」
ジャクタル聖女王は噂にたがわぬ法力と慧眼の持ち主らしい。
すぐにルークが何であるか気付いた。
ジャクタル王国は別名”聖獣の国”と言われている。
獣人が中心になって造られた国だ。
他の国では暮らせない獣人や亜人、魔族までもがこの国では平和の恩恵を受ける事が出来る。
それもこれも、歴代の聖女王の力ゆえだろう。
ジャクタルの聖女は王族だろうが平民だろうが、スラムの出であろうが必ず女王の座に腰を下ろす。
最初の聖女からそう言うしきたりなのだ。
”国を守る者こそ国の頂点に立つべきである”
コレがジャクタル王国の考え方だ。
事実、聖女に選ばれた少女は宮殿で保護され、王としての教育がなされる。
ゆえにジャクタル国の聖女王は威厳と慈愛と英知を兼ね備えている者が多い。
聖女になってからも国を守るため”破邪結界”を張りながら、残りの法力を鍛える事を忘れない。
他の国の聖女が結界を張ったら、結界の維持だけしかしていないことを考えれば、それがどれだけ異質か分かる。
だからこそジャクタル王国は、大陸1の聖女を輩出する国として有名になった。
未だに亜人や獣人を見下す差別思考の持ち主も、この聖女王の前では頭をひれ伏すであろう。
ルークさえ、サイヒに会っていなければ、魔王として覚醒していなければ、この聖女王のその目から凝視されて蛇の前の変える状態になっていたことは想像に難くない。
だが目の前の聖女王は年齢で言えばルークとさほど変わらないようだった。
ようやく成人したばかり、と言ったところだ。
ウェーブのかかった黒柴の髪に翠玉の様な大きな猫目。
形の良い鼻と唇は小さめだ。
黒柴豹の獣人で、ピクピク動く猫(豹)耳と揺れる黒柴の尻尾が艶めかしい。
サイヒの様な絶世の美貌とは違うが、魅力的な女性であった。
「で、だ。ルクティエス皇太子、訪問の理由は私が聖女でなくなった事と関係するのかな?」
ジャクタル聖女王の言葉に謁見の間は揺れ、なかった。
皆が己の主に起こった事態を認識しているらしい。
それでいて誰も揺るがない1枚岩。
女王の最も強い能力は”聖女”としての能力より、この統治術にあるらしい。
「おそらく各国で聖女たちは神の加護を失った。神は打ち取られた。だがそんな良く出来たタイミングで現れてはならないモノが出現した。ソレを抑えるために出向かせて貰った訳だ」
「成程、例えばウチの前国王とかかな?」
ザワリ
初めて謁見の間にざわめきが立ち込める。
「様々な国に純アストラル体の”悪魔”が侵入している。ソレを払う手助けをしに来た」
「それは助かるな。では悪魔退治と行こうか?」
「話が早くて助かるが、私の言葉を真に受けて良いのか?帝国がジャクタル王国を落とすための甘言かも知れないんじゃないか?」
「獣人の知覚能力を舐めないで貰いたい。我々は人族より鼻が利く。嘘を嗅ぎ分けられるものだって存在している訳だ。この私の御付きの不思議ちゃんな青い鳥にもな」
「え~女王様、俺、不思議ちゃんじゃないですよ~」
にへら、と幼さを残す青い翼をもつ鳥人が口を尖らせる。
「天然は自分が天然と認識していないんだよ。ソレよりお前が言っていた通り前国王が黒だ。さっさと討伐に行くぞ。
あぁ、兵はいらないからこの場に居る者はこの情報をこれより外に漏らさないよう動いてくれ。討伐は、ルクティエス皇太子に任せたら何とでもなりそうだからな」
「「「「「御意!」」」」」
何とも統率の取れた家臣たちである。
聖女でなくとも己らの主の優秀さを疑う様子が微塵も無い。
「俺は!俺は連れて行ってくれるよね女王様!!」
「何を焦っているか知らないがお前は最初から連れて行く気だったぞ。公務はサボり癖はあるが能力は評価しているからな」
「良かった…女王様が他所の男と1対1何て俺耐えられそうにないもんね……」
青の鳥人の小さな呟きはジャクタル女王には聞こえなかった様だ。
魔王として覚醒しているルークの耳にはばっちり入ってきたのだが。
(身分も関係なく恋に落ちる…少し前の私もそうであった、サイヒ、早く帰ってきてくれ。この少年のように愛する者が窮地に陥ってるのなら、己が隣で支えたいのだから……)
それでもサイヒが”待っていてくれ”と手紙に綴ったからルークはサイヒを追いかけない。
サイヒが戻って来た時、平穏な世界で迎え入れるのがルークの理想だから。
だから、己の配下であろうはずの悪魔をこの手にかける事となっても、ルークはサイヒを待ち続けるのだった。
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その頃サイヒは神様を瞬殺でブッコロリ☆してるんですけどね…(;^ω^)
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