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【73話】
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「カー君さん、モリリンさん、クロタンさんご飯できましたよ」
「かたじけないマロン嬢」
「マロン嬢の作る食事は魔界の美食にも劣らないですな」
「ふん、食べて貰いたなら食べてやらん事も無い」
カラスと蝙蝠と黒猫が人の言葉で答えた。
カラスは騎士風。
蝙蝠は紳士風。
黒猫はツンデレ風だ。
「クロタン殿!マロン嬢は将来陛下の妹君にならせられる方ですぞ!」
「レディに対して良い態度じゃないなクロタン殿」
「ふん、所詮は人間の戸籍上の義理の妹。私が頭を下げるいわれはない」
文句を言いながら床に置かれた大皿の肉を、1番がっついているのはクロタンである。
「クロタン殿は態度が悪いですぞ!仮にも食事を提供して下さる方に対して!」
「うむ、美味しいですなぁ。既に番が居なければ我が立候補したいですな」
「所詮、人間に真名を握られているお前らと我を同じと思うな。全く人間に真名を握られるとは情けない。陛下直属の我とお前らを同格で語らないで貰おうか?我は人間なんぞに媚は売らん」
ニヤ、と黒猫が笑う。
見てるだけなら可愛らしい事この上ない。
猫好きには堪らないだろう。
「ほほぅ、クロタン殿は我々が人間に真名を握られているから其方より格が下、と言いたいのですかな?」
カラスの目がギラリと光る。
「それはそれは、面白いジョークですな」
ハッハッハッ、と蝙蝠が不敵に笑った。
「随分と態度がデカいじゃないか、陛下直属の我に対し」
「陛下直属、なぁ」
「陛下直属、ねぇ」
カラスと蝙蝠が互いの目を見てアイコンタクトをすると、黒猫を見てプクク、と馬鹿にするように笑った。
「何がおかしい!?」
その自分を下に見るかのような行為に、黒猫は表情に怒りを滲ませる。
「では直接陛下に聞いてみたら良かろうなのです」
「面白い、その余裕が何処から出てくるのか、陛下直属の部下である我が聞きだそうではないか!」
ブワッ、と黒猫が尻尾を膨らませた。
猫好きに大変辛抱堪らん光景である。
:::
「で、何を聞きたいのだクロタン?」
氷のような冷たさのエメラルドの瞳が黒猫のクロタンを射抜く。
その視線の冷たさと怜悧な美貌に、クロタンは己の胸が激しく震えるのが分かった。
この冷たき美貌の王こそ、自分が仕えるのに間違いない存在だと。
「我は陛下に真名を預けております。その我と、”サイヒ様”と言う方に真名を預けたカー君とモリリン。一体どちらの格が上と陛下は考えられているのですか!?」
力強い瞳でルークに尋ねるクロタン。
キリッとした顔は猫好きには堪らない。
「それは勿論…」
「勿論…?」
「サイヒに真名を預けているカー君とモリリンだな」
「ンナァッ!?」
「羨ましいものだ。私が1悪魔であったなら、サイヒに己から真名を差し出したい位だ」
うっとりとルークが微笑む。
先程の瞳の冷たさは消え失せ、目にハートが浮かんでいるかの様なうっとりとした笑みを浮かべる。
頬をバラ色に染めて、その様はまるで恋する乙女の様だ。
「あぁ、真名をサイヒに握られると言うのは良いアイディアだな。サイヒに真名の上書きをして貰おうか」
「ちょ、お待ちを陛下!悪魔の王たる魔王が真名を人間に握られるなどあってはなりません!」
「何故だ?」
「な、何故って……」
「私の全てはサイヒのモノだ。なら真名を預けても問題なかろう?」
「ですが…」
「私に異議を唱えるのかクロタン?」
「ヒィッ、め、滅相もありません!!」
「ではもう行け。質問には答えた」
「しょ、承知致しました!!」
尻尾を股に挟んでカタカタ震えながらクロタンはルークに頭を下げた。
猫好きにはけしからん光景である。
:::
「先代の陛下はあのような方では無かったのだが…傲慢・憤怒に強欲…何代も居た魔王は全てが暴虐の限りをつくす方だというのに………」
「なら今の陛下には使えるのを辞めるかクロタン?」
「そうであるなら私たちがまず相手を務める事になりますぞ?」
ルークの扉の前でカー君とモリリンが控えていた。
クロタンが反逆するなら命を刈り取るつもりだったのだろう。
「いや、まずはその”サイヒ様”に会ってから決めるとしよう。陛下は今まで仕えて来た魔王と根本から違うものを感じる…が、その力は歴代最強だろうからな」
カー君とモリリンは去っていく猫の姿を見送った。
尻尾が項垂れている。
全くもって猫好きにはハァハァ
こうしてクロタン…フォクウンの宰相に憑依していた悪魔”クロテッド・リーム”はカー君とモリリンに説得されてルークに新たな真名を与えられる事となりガフティラベル帝国へやって来たのだが…。
本当にこの選択で合っていたのか悩むこととなった。
サイヒが消えて1週間。
まだサイヒは帰って来ない………。
「かたじけないマロン嬢」
「マロン嬢の作る食事は魔界の美食にも劣らないですな」
「ふん、食べて貰いたなら食べてやらん事も無い」
カラスと蝙蝠と黒猫が人の言葉で答えた。
カラスは騎士風。
蝙蝠は紳士風。
黒猫はツンデレ風だ。
「クロタン殿!マロン嬢は将来陛下の妹君にならせられる方ですぞ!」
「レディに対して良い態度じゃないなクロタン殿」
「ふん、所詮は人間の戸籍上の義理の妹。私が頭を下げるいわれはない」
文句を言いながら床に置かれた大皿の肉を、1番がっついているのはクロタンである。
「クロタン殿は態度が悪いですぞ!仮にも食事を提供して下さる方に対して!」
「うむ、美味しいですなぁ。既に番が居なければ我が立候補したいですな」
「所詮、人間に真名を握られているお前らと我を同じと思うな。全く人間に真名を握られるとは情けない。陛下直属の我とお前らを同格で語らないで貰おうか?我は人間なんぞに媚は売らん」
ニヤ、と黒猫が笑う。
見てるだけなら可愛らしい事この上ない。
猫好きには堪らないだろう。
「ほほぅ、クロタン殿は我々が人間に真名を握られているから其方より格が下、と言いたいのですかな?」
カラスの目がギラリと光る。
「それはそれは、面白いジョークですな」
ハッハッハッ、と蝙蝠が不敵に笑った。
「随分と態度がデカいじゃないか、陛下直属の我に対し」
「陛下直属、なぁ」
「陛下直属、ねぇ」
カラスと蝙蝠が互いの目を見てアイコンタクトをすると、黒猫を見てプクク、と馬鹿にするように笑った。
「何がおかしい!?」
その自分を下に見るかのような行為に、黒猫は表情に怒りを滲ませる。
「では直接陛下に聞いてみたら良かろうなのです」
「面白い、その余裕が何処から出てくるのか、陛下直属の部下である我が聞きだそうではないか!」
ブワッ、と黒猫が尻尾を膨らませた。
猫好きに大変辛抱堪らん光景である。
:::
「で、何を聞きたいのだクロタン?」
氷のような冷たさのエメラルドの瞳が黒猫のクロタンを射抜く。
その視線の冷たさと怜悧な美貌に、クロタンは己の胸が激しく震えるのが分かった。
この冷たき美貌の王こそ、自分が仕えるのに間違いない存在だと。
「我は陛下に真名を預けております。その我と、”サイヒ様”と言う方に真名を預けたカー君とモリリン。一体どちらの格が上と陛下は考えられているのですか!?」
力強い瞳でルークに尋ねるクロタン。
キリッとした顔は猫好きには堪らない。
「それは勿論…」
「勿論…?」
「サイヒに真名を預けているカー君とモリリンだな」
「ンナァッ!?」
「羨ましいものだ。私が1悪魔であったなら、サイヒに己から真名を差し出したい位だ」
うっとりとルークが微笑む。
先程の瞳の冷たさは消え失せ、目にハートが浮かんでいるかの様なうっとりとした笑みを浮かべる。
頬をバラ色に染めて、その様はまるで恋する乙女の様だ。
「あぁ、真名をサイヒに握られると言うのは良いアイディアだな。サイヒに真名の上書きをして貰おうか」
「ちょ、お待ちを陛下!悪魔の王たる魔王が真名を人間に握られるなどあってはなりません!」
「何故だ?」
「な、何故って……」
「私の全てはサイヒのモノだ。なら真名を預けても問題なかろう?」
「ですが…」
「私に異議を唱えるのかクロタン?」
「ヒィッ、め、滅相もありません!!」
「ではもう行け。質問には答えた」
「しょ、承知致しました!!」
尻尾を股に挟んでカタカタ震えながらクロタンはルークに頭を下げた。
猫好きにはけしからん光景である。
:::
「先代の陛下はあのような方では無かったのだが…傲慢・憤怒に強欲…何代も居た魔王は全てが暴虐の限りをつくす方だというのに………」
「なら今の陛下には使えるのを辞めるかクロタン?」
「そうであるなら私たちがまず相手を務める事になりますぞ?」
ルークの扉の前でカー君とモリリンが控えていた。
クロタンが反逆するなら命を刈り取るつもりだったのだろう。
「いや、まずはその”サイヒ様”に会ってから決めるとしよう。陛下は今まで仕えて来た魔王と根本から違うものを感じる…が、その力は歴代最強だろうからな」
カー君とモリリンは去っていく猫の姿を見送った。
尻尾が項垂れている。
全くもって猫好きにはハァハァ
こうしてクロタン…フォクウンの宰相に憑依していた悪魔”クロテッド・リーム”はカー君とモリリンに説得されてルークに新たな真名を与えられる事となりガフティラベル帝国へやって来たのだが…。
本当にこの選択で合っていたのか悩むこととなった。
サイヒが消えて1週間。
まだサイヒは帰って来ない………。
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