聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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【閑話・小話詰め15】

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【小話19】

 〇番外ーカスタットの恋ー

「ルーク様ぁ、うぅ、ひっく…居なくなるなんて、ひどいですわぁ…あの小娘だけ連れて行って、何処かへ行ってしまうなんて………ひっく」

 その日もカスタットは己の部屋で枕を抱きしめて泣き崩れていた。
 もうルークが側近のクオンと第3皇太子妃であるマロンを伴って居なくなって半年も経つのに、カスタットはまだルークの事が忘れられないのである。

 ルークはカスタットの理想であった。

 公爵令嬢のカスタットは王族に嫁入りする事が決まっていた。
 だがカスタットは大の男嫌いだった。
 線の細い男なら受け付ける。
 筋骨隆々のむさい男が嫌いなのだ。
 
 カスタットが幼い頃攫われた時の犯人がむさい男たちばかりだったのでトラウマなのだろう。

 だがルークは違った。

 白銀の髪にエメラルドの瞳。
 柔和な雰囲気を持った何処か少女めいた美貌。
 10歳の皇太子はカスタットの理想の姿をしていた。

 それから年がたってもカスタットの想いは消えなかった。

 体の線が細く、柔和な美貌。
 衰えるどころか益々増していく美しさの虜にカスタットはなった。

 正直ルークは自分の事が苦手なのは気付いていた。
 積極的なのがいけないのだろうか?
 推してダメなら引いてみろ、と引いてみたら距離が空いただけだった。
 なのでカスタットはルーク相手には押せ押せで対応していた。

 第2皇太子妃が来た時も。
 第3皇太子妃が来た時も。

 ルークの態度は変わらなかった。

 だが何時からかルークは第3皇太子妃との距離を詰めていた。
 特に2人が進展する展開など無かったはずだ。
 ルークは後宮に通っていないのだから。
 実際にはルークは後宮に通い詰めであった。
 サイヒに会うために。
 そしてサイヒの【認識阻害】のためルークが居ないと認識させられていた為だ。

 サイヒと仲が深まると必然とサイヒが可愛がっているマロンとも距離は縮まる。
 それ以上でもそれ以下でもない。
 しいて言うなら2人してサイヒフリークだったので気は合っていたのは間違いない。
 だが実際の所マロンに恋心を抱いていたのはクオンであるし、マロンもクオンを選んだ。

 しかし第3者の視点で見ると、”ルークはマロンと駆け落ちし、側近だけが付いて行った”と見えるのは仕方ない事だった。

「まーだ泣いてんのかいお嬢さん?」

「な、無礼ですよ騎士団長!!」

 何時の間にか扉を開け聖騎士団長がカスタットの部屋の入口に居た。

「ちゃんと親御さんの許可は取ってある。心配すんな」

「だれが貴方の心配をしているのですか!!」

「俺はお嬢さんの心配をこの半年し続けているぞ?」

 聖騎士団長の目が真剣みを帯びる。
 そうすると人懐こい表情が、一瞬にして精悍な男の顔に変わる。

「貴方には関係のない問題ですわ!」

「い~や、大いにあるね。俺は今日、お嬢さんに求婚しに来た」

「な、ななな求婚?頭がトチ狂いましたか!?この私が貴方のようなオヤジの妻になれと!?」

「確かに俺はお嬢さん、いやカスタット嬢の両親と変わらない年齢かも知れないがオヤジは酷いな。はは、これでも10近く若く見られるんだぜ」

「でも、でも……」

「カスタット嬢が攫われた日、初めて俺とあった日、幼いアンタに俺は一目で心奪われたんだ。切れ長の瞳に整った端整な大人びた顔立ち、若木のような肢体。俺のモノにしたいと一目で思った」

「あぅあぅ……」

「カスタット嬢は公爵家、俺は一兵士だったから俺は頑張ったんだぜ。カスタット嬢に釣り合うように功績上げて、戦って闘って、聖騎士団長の座に上り詰めた。戦場から帰って来たら貴女はもう皇太子妃だった。
パーティーのエスコートだけが貴女に触れれる機会だった。だから今回の事、俺はルーク様に感謝していますよ。
カスタット嬢、貴女は誰のものでもなくなった。ルーク様との結婚生活も白い結婚だったのは有名だしな。
綺麗なままの貴女の初めての男になりたい。なぁカスタット嬢、俺の手を取ってくれないか?」

「あ、あぅぁぅぁぅ……」

 ボフンッ!

 カスタットが茹蛸のように真っ赤になり気を失った。
 パタリ、とベッドに倒れる。

「おいおい、まだ指先一つ触れて無いのに気を失うとか…据え膳にしても勘弁してくれよ。ははっ、でもまぁソコが可愛くて良いんだけどな」

 クールに見えて心は少女。
 真っ新な体。
 こんな可愛い生き物手放す気など出来ようはずがない。

「また来るよ俺のお嫁さん」

 聖騎士団長は入り口から1歩も先に進むことなく、部屋を出て扉を閉めた。
 まずは今した話しをカスタットの親に報告するべきだろう。
 だがあれ程意識してくれるのなら、勝算は上場にある。
 自分は負け戦はしないと決めているのだ。
 聖騎士団長は韻を外した鼻歌を歌いながらカスタットの両親の元へと向かった。


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 アホ犬に幸あれ(*´▽`*)
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