聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

文字の大きさ
128 / 297
そして全能神は愉快犯となった

【106話】

しおりを挟む
「お誘いありがとうねサイヒちゃん」

「喜んで貰えたなら光栄ですユラさん」

 ユラに微笑むサイヒ。
 本日は男装。
 色合いも変えている。
 全能神がうろつかれては困るのだ。
 主にクオンが。

 なので最初から身バレしないのを条件でサイヒの外出をクオンは許した。

 もうクオンはサイヒの何々だろうか…。

 サイヒに言わせると心友だが既にオカンになりつつある気がしてくる。
 そんな訳でサイヒは今日は”リリー・オブ・ザ・ヴァリー”なのである。
 美女のユラをエスコートしているので、リリー・オブ・ザ・ヴァリーファンクラブも手も口も出せない。

 そして美女を連れたリリー・オブ・ザ・ヴァリーが何処に居るのかと言うと、オリンピックの観覧席。
 種目:陸上

「オリンピック何て何億年ぶりだろ?楽しみ~」

「出来るだけ近代のオリンピックに近づけました」

「1年でココまで用意したサイヒちゃん凄いわ」

「優秀な部下が居ますので」

 その優秀な部下は今頃血を吐いているかもしれない。
 仕事が、仕事が多い。
 今求められているのは多量の仕事量を捌く体力だ。
 フィジカルが求められている。
 頑張れ優秀な部下。

 ちなみに優秀な部下は選手登録もされている。

 そっちも頑張ってくれコーン・ポンタージュ!

「それにしてもサイヒちゃん、見事にミヤハルちゃんにそっくりね。お姉さん懐かしくなっちゃった」

「そんなに似ているんですか?」

「ミヤハルちゃんも美貌が天元突破してたから。大人な分サイヒちゃんの方が色気垂れ流してるけど」

「確か12歳なんですよね先祖様。でも【全知全能】に頼んで寿命を代償に成長する事が出来たんですよね?」

「そ、私置いてかれたの。番のエント君に嫉妬の炎メラメラよ」

「私といて嫌な気にはさせないでしょうか?」

「ううん、懐かしいし新鮮」

「それは良かったです。私としても祖先の大切な人を傷つけたく無い」

 ふっ、とサイヒが微笑む。
 遠くで黄色い悲鳴が上がった。
 おそらくリリー・オブ・ザ・ヴァリーファンクラブの皆だろう。

「でもその色気はミヤハルちゃんと違ってて凄いわ。質が悪い。自覚してやってる?」

「基本は素ですね。皆が言う色気が垂れ流していると言うのは自分的には想像しづらいです」

「とんでもないハイブリットの子孫が出来ちゃったわねミヤハルちゃん。でも見かけは大人ミヤハルちゃんなのに目の色が番のエント君なの、何だか2人の愛の結晶て感じして良いわね」
 
「それには嫉妬しないのですか?」

「尊さが先に来るのよ。あぁミヤハルちゃんの選択が間違ってなかった、ちゃんと血が受け継がれてる、てね」

「私で良ければ仲良くして下さい。先祖が繋いだ縁ですから、私も大切にしたい」

「アリガト、でも本当にその色気垂れ流すの止めて。ミヤハルちゃんと同じ顔だから凄く複雑!」

「うーん、意識して色気出してる訳でも無いですし難しいですね。まぁ頑張ります。なので良ければ飽きるまで王宮で寝泊まりして下さいよ」

「魔王君の嫉妬買わないかしら?」

「ソコはちゃんとフォローするので大丈夫です。ユラさんの傍は居心地が良いんですよ。先祖様の遺伝子が反応してるんですかね?きっとチビ達も喜ぶと思います」

「チビ、チビねぇ…今400メートル走ってた銀髪に青銀の瞳の美少年がそのチビなのよね。あの子もミヤハルちゃんの色違いね」

「チビ達もきっとユラさんに懐きますよ。どうやら私の先祖の血はユラさんの事が大好きみたいですから」

「ふふ、そうね。チビチャンたちとも仲良くなりたいわね。ところであっちで槍投げしてる黒髪にエメラルドの瞳の少年て…」

「チビ2号です」

「何か色々ぶっ壊れた家族ね~まぁ昔みたいな賑やかさが見れそうで楽しみだわ」

「期待に応えられるよう頑張ります」

 クスリ、とサイヒが小さな笑みを零した。
 聞こえる黄色い悲鳴。
 腰が砕ける通りすがり女性たち。

「でも本当に色気だけ何とかして…」

「………期待に応えられるよう頑張ります」

 流石のサイヒもこのお願いは叶えるのが難しそうである。

 そして王宮で宿泊するユラに、ドラジュが大懐きするのだった。
 どうやらドラジュは先祖の古代種の血が強いのかもしれない。
しおりを挟む
感想 1,137

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

処理中です...