聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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そして全能神は愉快犯となった

【183話】

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「と、言う訳でこのチケットを貰ってくれないだろうか?」

 サイヒが2枚のチケットをクオンの前でピラピラ振った。

「また悪巧みか?」

「失敬な。その言い方では何時も私が問題を起こしているようではないか」

「ルーク様の恋心を奪った件」

「グッ……………」

「で、今回は何を企んでいる?」

「その件で、礼をしたいと思っただけだ」

「お前が私に礼?」

「今回は世話になったからな」

「今回だけじゃなくて何時もだろう?」

「茶化すな」

 言葉の掛け合いが気持ち良い。
 恋人でもなく部下でもなく庇護する対象でもない。
 サイヒとクオンは同格なのだ。
 心友とサイヒは拘るが。
 クオンもソレを否定しはしない。
 まぁ若干主の嫉妬の目が痛いが。

「東の小大陸にユラさんと観光街のモデルケースを作ったのでな。良かったらマロンと2人で羽を伸ばしてくるが良い」

「何時の間にそんなものを………」

「仕事の合間にちょこちょこと、だ」

「ユラ様が来てからやる事のスケールが大きくなってないか?」

「流石は数億年生きてる古代種だ。話がクレバーで面白い。まぁその数億年生きた古代種が20歳そこらの小僧に手玉に取られている様子は見ていて飽きないのでとても楽しい」

「お前はユラ様の味方なのか敵なのだどっちだ………」

「ご先祖様の親類だ、尊敬しているぞ?」

「お前が言うと本気に聞こえないのは何故なんだろうな………」

「まぁ、コレでも使え」

 サイヒがハンカチを渡す。

 ゲホッ、グハッ!

「ふぅ」

「もう名人芸だなその吐血も」

「誰のせいだと思っている!」

「誰だ?」

「その「誰だ?」が本気なのが分かるのが腹が立つ。時々出る天然を何処かに仕舞えお前は!」

「なんと、私は天然だったのか!?」

「ソレだソレ」

「え、まぁチケットはいらないのか?」

「どういう街なんだ?」

「神話時代の”京都”を再現してみた。行く当てがないものをスカウトして仕事を与えちゃんと街として機能させるのに苦労したが、これで飢えるものが減るなら良い事だ。観光客も楽しめて一隻四鳥くらいだぞ」

「”キョート”確か”二ホン”にある古都だったな」

「さすが博識だ。お前は剣の腕もたつし文官の仕事も宰相の仕事も何でもできる優秀な副官だな。ルークが羨ましいぞ」

「お前には副官なぞいらんだろうが化け物が」

「化け物とは心外な」

「じ・か・く・し・ろ」

「まぁ兎も角、トワとセツナは此方で預かろう。夫婦水入らずで旅行を楽しんで来い。今は桜が見ごろだぞ。旅館は露天風呂付きの桜が見える部屋にしたから十分に堪能してくるが良い。ついでに3人目を作って来ても良いぞ?」

「善意なのは分かっているが、お前はもう少しデリカシーと言うものを覚えろ!まぁ今回は貰っておこう」

 そんな休憩時間の一間の出来事である。
 取り合えずクオンの自分への土産はバスタオルかも知れないな、とサイヒは思った。
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