聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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2章

【229話】

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「うめぇ―――――っ!」

「あったかい!美味しい!コクがある!」

「久しぶりの魔獣じゃない動物の肉だっ!!」

「あ~牛肉最っ高っ!!」

 『神狩り』のメンバーが舌鼓を打つ。
 久しぶりの牛肉だ。
 最近は魔獣の肉を食べていた。
 焼くと目立つので燻製にして食べる事が多かった。
 特に戦闘判でないものは焼いたばかりの肉は食べる機会が少ない。

 肉を調理するのは魔獣を倒した時だ。
 血の匂いがするので血抜きはその場でする。

 血の匂いをアジト迄残していく訳にはいかないのだ。
 血の匂いに釣られた別の魔物が非戦闘員を襲いかねない。

 なので調理もその場でする。

 焼いた肉は匂いが強いのでその場で食べる。
 だが匂いが強いのでこれもその場でしか食べれない。
 アジトに持っていく訳にはいけないのだ。
 なので同時に燻製も作る。
 そして別の魔物や魔獣が来る前にその場から去るのだ。
 全て結界内での事である。

 そんな『神狩り』の非戦闘員メンバーは久しぶりに調理したての料理を食べた。
 アジトでも料理はするが、何せ調味料が少ないのでシンプルな味付けになってしまう。
 それでも美味しく食べれるのだから、魔獣の肉も捨てたものではない。
 だが、日本人に生まれたからにはやはり日本牛だ。
 
 さしの入った高級な牛肉では無いが、それでも日本牛。

 国産の牛肉など今のこの世界で食べる余裕などない。
 それが今食べれてるのだ。
 それも日本食の代名詞「すき焼き」だ!!
 玉子は賞味期限が早いから早く食べなければいけない。
 勿体ないとも思わないでもないが、食べれるうちに食べておくに越したことはない。

 ”すき焼き定食”を置いていた病院の食堂に感謝である。

 因みに日本牛でない海外牛も冷凍で大量に置いてあるが、今日は合えての日本牛。
 お疲れの皆さまに、とミヒロの旦那様が腕を奮ってくれたのだ。
 料理上手は血筋だろうか?

 娘の深海も料理が得意であったし、ミヤハルも料理はそれなりに出来る。

 ユラ?

 あれは論外である。
 いつも緑の豆が出来る訳では無い。
 黄色い豆だって、実る事はあるのだ。
 その辺りは理科の授業で習ったので皆知っているだろう。

 劣性遺伝子、と言うヤツだ。

 ユラ…哀れなり…………。

「伯父様の手料理久しぶり!美味しい!懐かしい!うわ~~~~ん、泣けてくる、グスッ」

「ユラちゃんたんとお食べなさい。毎回こんな豪華な料理を振るまっている訳じゃないからね。食べれるうちに美味しいものはお腹の中に収めておくんだよ」

「おん、本当美味しいわぁ。やっぱりの本料理良いなぁ、魔獣の焼いて塩まぶしただけの肉とは段違いやわ。作り手の腕もあるんやろうけど」

 因みに調理できるものは殆どがお手伝いをした。
 ミヤハルも戦闘員だが、親戚が中心に料理を作っていると言う事で率先して手伝った。
 ユラは…悲しいかな、優しく厨房から追い出された………。
 涙の一因にそれも加わって居るかも知れない。

「うん、確かに美味しい。帰ったらマロンにも作って貰おう」

「マロンなら再現出来るだろうな。この”すき焼き”私も気に入った」

「マオ、口の端にタレがついているぞ」

 鈴蘭がマオの唇の端を親指でグイ、と拭うとその指をペロリと舐めた。

「有難う鈴蘭」

 こんな御時世にピンクのオーラを放っている。
 流石は神に喧嘩売るチームのリーダーと複リーダーである。
 肝が据わっていると言うか何と言うか。
 見てる方は口から砂糖を履きそうな程甘い雰囲気を作り出している。
 2人して人並み外れた美貌ゆえに許される行為だろう。

 何せ鈴蘭は男装しているから傍から見ればBL風景である。

 食事に舌鼓を打ちながらも。ウットリと2人を見ているお姉さま方も多数。
 その筆頭がユラなのはもう何も言うまい。
 兎に角、温かい美味しい食事と耽美な風景で、弱った者たちの英気が養われたのだから良い事であるのだろう。
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