男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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 結界の点検。
 これは聖女にとって1番重要な仕事であると言っても過言ではない。

 聖女システムは大国にしか存在しない。

 聖女システムと呼ばれるのは、強い法力を詰め込める汚れ無き女子に神の祝福を与えた貰う事で聖女を生み出すと言うものだ。
 生まれ自体は身分は関係ない。
 生まれつきの本人の法力量も関係ない。

 法力を詰め込める器の大きさが聖女としての条件だ。

 何故”聖女”は存在して”聖者”が存在しないのか?

 それは女だけが神の力の欠片を宿せる器官を体内に持っているからだ。
 つまりは子宮である。
 聖女は神の祝福を子宮に宿す。
 そして国を覆うほどの結界を張るのだ。

 結界によって国は他国からの侵略や、魔物からの害から国を守ることが出来る。
 以上が聖女システムの大まかな内容だ。

 そしてルーシュはこの聖女システムが嫌いだった。

 1国を1人の女に守らせる。
 もし聖女に何かあったらどうするのか?
 当代の聖女が存命の間に次の聖女候補が現れなかったら?

 1人の女に国を守らせるなんて馬鹿々々しい事この上ない。

 聖女以外にも法力を使える者は居る。
 だが国を守る破邪結界の、要を担う6本の柱を護っているのは聖女の能力だ。
 聖女以外の者では法力が足りないのだ。

 聖女の法力は一般の法術師の数百倍と言われている。

 聖女無くして破邪結界は成り立たない。

 何故にこのシステムが何百年と続いているのか?
 ルーシュは昔から疑問だった。
 聖女だけで国を護れるなら騎士など必要ないではないか。
 聖騎士としてのルーシュはおそらく、一般の者より聖女を嫌っていたと言っても過言ではない。

 なぜ騎士が必要か?
 それは国内でおきる争いに負けないためである。

 自国潰しの一端に自分が組み込まれていることはルーシュにとって気分のいいものでは無かった。

 そして大国の中でこの聖女システムを使用していないのがカカン王国だった。
 カカンの聖女は破邪結界の要ではない。
 1000年もの昔、聖女システムがない頃に異世界の聖女がそれに限りなく近いものを作り出した。
 聖女の力で作る柱ではなく、柱の代わりとなる魔道具を国を覆うように配置し、法術師が法力を注ぐだけで良いシステムを確立したのだと言う。

 その魔道具に組み込まれている魔術構築式を誰も解き明かせないため、カカン王国以外では聖女システムが継続されているのだ。
 
 なのでカカンの聖女は結界に関わってはいるが、他の大国のように聖女が居なければ国の存亡が関わると言った事は無い。

 これはルーシュの友人となったサイヒに教えて貰った事だ。
 カカンの聖女であるサイヒはこの聖女システムを無くすために、カカンと同じよう魔道具の魔術構築式を他の国へ公開すべきだと声をあげているのだが神殿の圧力によって上手く動けなかったらしい。

 サイヒは国を出たと言っていたが、はたして結界の構築魔術式を公開する事が出来たのか?
 いや、出来ていないだろう。
 サイヒが国を出て3ヵ月が立っている。
 サイヒの性格上、公開できるならもう公開していなくてはおかしい。

 流石に現物が手元に無くては構築魔術式を解くことは出来ないのだろう。

 早くサイヒが魔道具の構築魔術式を世界に公開する日を、ルーシュは切に願っている。
 もう聖女の御守は御免だった。

 :::

「ルーシュ、お茶とお菓子!結界の柱を法力で満たすの凄く疲れるんだから、凄~く甘いお菓子を用意してよね!」

 本当、サイヒ早く聖女システム無くしてくれ…。
 私が早くこの糞聖女の御守をしなくて良いようになるために。
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