男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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 たまには体を動かさないとやってられない。
 ストレス解消には運動が持って来いだ。

 なので深夜、ルーシュは王都の壁を越えて荒野へとやって来た。

 服装は動きやすい男装。
 持ち物は剣と王都ではやっている焼き菓子だ。
 これから会う相手は甘味に目が無いのである。

「来たか」

「久しいな主殿。また随分と女の様になってしまったのじゃな?」

 愛らしい幼げな少女の声がルーシュを呼んだ。

「お前は変わらないなルイン」

 ルーシュは濃くて黒にも見えそうなほどの赤い鱗を持った3メートルほどの巨体のドラゴンへと話しかけた。
 ドラゴン―ルインはルーシュのかつての使い魔だ。
 まだ契約を切っていないので、今でも使い魔であるがルーシュが神殿へ入ることとなったので普段は自由に暮らして貰っている。

「王都で流行りの甘味を買って来た。食べるだろう?」

「甘味!勿論いただくのじゃ!!」

 ドラゴンにしては愛らしい顔つきのルインが喜色に満ちた声をあげた。
 まだ300年しか生きていないルインはドラゴンの中では幼体である。
 中身は人間で言う処の7~8歳児だ。

 ルーシュは風呂敷を広げると甘味の山が出て来た。

 まだ幼く成体のドラゴンと比べて小さく愛らしいルインだが、3メートルはある。
 腹が満ちるほどの量では無いだろうが、自然界には無い甘味にルインは喰いついた。

「やはり人間の作る甘味は旨いのじゃ!」

 ガツガツと食べるルインを微笑ましくルーシュは見る。
 ドラゴンの成長は遅い。

 ルーシュが初めてルインと出会ったのは10歳の頃だったが、ルインに変化はない。
 ルーシュはあれからどれほど身長が伸びたであろうか?
 少なくとも男の服装を着たら違和感がない程度には縦に育っている。
 男性ホルモンを止めたせいで筋肉は落ちてしまったが。

「プハァッ!旨かったのじゃ!」

「それは良かった。では久しぶりに相手して貰うぞ?この所戦闘訓練が無いので腕が鈍ってしょうがない。ちゃんと勘を取り戻さないといざと言うとき動けないからな」

「女になった主殿の今の戦闘能力も気になるのじゃ。主殿のお相手をしてあげようぞ」

 ニヤリとルインが笑う。
 ドラゴンフェイスなので迫力がある。
 とうの笑顔を向けられたルーシュは、ペットを飼う飼い主馬鹿如くルインの笑顔を愛らしいと思っている。
 自分の処の子が誰でも可愛いのだ。
 犬や猫だけでなく使い魔だって同じである。

「では行くぞ!」

 ルーシュは剣を抜き【身体強化】の魔術を発動するとルインに切りかかった。

 :::

「あふっ、流石に今日は眠いな…」

 結局夜明け前までルインと戯れてしまった。

「眠い~今日は動きたくない~!朝の祈り代わりにやって来てよルーシュ。あ、アンタ法力無いから無理か、あはは~役立たず~!!」

 魔力ならお前の数十倍はあるぞ!
 いっそ重力魔術で潰してやろうか。
 火魔術で塵も残らない程に燃やし尽くして、証拠隠滅も完璧に出来るんだぞコッチは!
 まぁやらないが…。 

 朝から物騒な思考させんな、この糞聖女!!
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