男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

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 最近のルーシュは女性誌を読むようになった。
 脳味噌は相変わらずのバトルジャンキーで脳筋であるが、アンドュアイスに恋する乙女な1面も持ったりなんかして、少しずつではあるが自分が女の自覚が出てきたのだ。
 さて、本日購入したのは女性誌【nyannyan】だ。
 男性に好かれる仕草からセッ(規制音)の体位迄書いてある恋愛バイブル。
 ルーシュの年には少し背伸びしすぎな気もするが、相手は26歳。
 成人男性である。
 しかも男盛り。
 そしてハイスペックを通り越した、全能神に愛される奇跡の男である。

 そんな相手を恋のお相手に選んでしまったルーシュは必至なのだ。
 何時他の女に奪われるかと。

 まぁ相手は女嫌いなのでそうそう別の女に走られる気はしないが、過去の話をチラリと聞くに、男と関係を持った事もあるらしいので、ライバルは女に留まらない。
 事実王宮にアンドュアイス狙いの男は多数存在するのだ。

 うかうかとしていられない。
 魅力的な女になる!
 でも女らしくなり過ぎない!
 
 もう支離滅裂である。

 イイ女でありながらアンドュアイスに女らしさを感じさせてはいけないのだ。
 そんな珍種何処にいる?

 居た。
 身近に居た。

 アンドュアイスを猫(犬?)可愛がりしているこの世界の全能神様である。

 世界中の人間を作るより時間をかけて作り出したんじゃないかと言う美貌。
 しなやかな体に曲線を描く、出るところは出て閉まるところは閉まっている芸術的なスタイル。
 足が長く体の半分が美しい脚線美だ。
 夜を溶かし込んだような美しい漆黒の黒髪に、光を反射する海の水面のような青銀の瞳。
 そしてどんな願いをも叶えられる【全知全能】と他の神すら滅す”神屠”とも言われる【戦闘特化】の2つの能力を持つ世界最強の存在。
 そのくせ纏うのは幼女から墓に入るまでの老若男女を魅了する”雄”の色香。

 無理だ、勝てるわけがない。
 ルーシュは絶望した。
 己を心友と大切にしてくれている全能神様だが、恋の相手には強すぎる。
 勝てる見込みがない。

 まぁ当のアンドュアイスが全能神ではなくルーシュが好きと言っているのだが、初恋の遅すぎる思春期を迎えたルーシュは自分に自信が持てない。

「いっそ男に生まれた方がワンチャンあったかも……?」

「え~ルーシュが男だったら赤ちゃん産めないから駄目だよ~」

「え~でもアンドュ様赤ちゃん欲しいですか?」

「ルーシュとの赤ちゃんなら欲しいよ~」

「そうですk……あ、あああああアンドュ様ぁぁああああ!?」

「うん、ルーシュに会いに来ちゃった。部屋にはお姉さんたちが案内してくれたよ」

「何勝手に異性を年頃の乙女の部屋に上げとるんだあの姉たちは!」

「ルーシュのお姉さんたちは優しいから好きだよ~でもやっぱりルーシュと居るのが1番好き~」

 ニコニコ
 キラキラ

 アンドュアイスが眩しい。
 本当に眩しい男なのである。
 なんでこんな絶品の男がルーシュみたいな性別も分かり辛い小娘なんかを結婚相手として選んだのか、ルーシュは己のことながら納得できない。

 アンドュアイスがルーシュが良い、と言っているのだからそれで納得すれば良いのだが、ソレを受け止めるにはルーシュは己を過小評価しすぎている。
 下手に全能神と仲が良いだけに、自分の魅力が分からない。
 魅力的すぎる友人を持つのも悩みものである。

「何の本読んでるのルーシュ?」

 ひょい、とアンドュアイスがルーシュの手元の雑誌を手に取った。

「ニャンニャン?男を喜ばすテクニック特集?」

「そ、そそそそそそそれは!!」

「う~ん、ルーシュが喜ばせたいの僕?」

「も、勿論そうです!」

「だったらこんな本読まなくて良いよ~僕ルーシュと手を繋ぐだけでも凄く嬉しくて楽しくて喜んでるよ?」

「でも、もっと、こう大人のテクニックとか……………」

「そんなに急いで大人にならなくて良いよ、ルーシュ。僕ちゃんと待てるから。だから、何時までもそうやって悩んだり落ち込んだり自信なくしたりしながらも、何時だって自分の足で立ち上がる頑張り屋さんなルーシュでいて。
僕は完璧なサイヒより、未完成なルーシュが好きになったんだから。
ルーシュが未完成で、完成されたサイヒにコンプレックスを抱いてること知ってるよ?でもそれでもサイヒと同等に居れるよう頑張ってるの知ってる。
サイヒも僕もルーシュのその頑張ってくれるところが好きなんだ。
諦めないで、自分のために目線を合わそうと精一杯背伸びして高い所の景色を一緒に見ようと努力してくれるルーシュが好きなんだよ。
だからルーシュは自信をもって。
それから男になるのは駄目!僕はルーシュと結婚して子供作って立派な皇帝になるの。どれが欠けても駄目。だから男になるのはぜ~~~~~~ったい駄目だからね!!」

「ハイ、ワカリマシタ……」

 もうルーシュの顔は真っ赤である。
 返事も片言だ。
 延々と自分に対する惚気を聞かされてしまった。
 自分のコンプレックスまでバレていたとは。
 しかもソコが好き、なんて言葉が貰えるとは。
 ルーシュは想像もしていなかった。

「でも折角ルーシュが買った本だから一緒に見ようか♫」

 その一言で、ラッコ抱っこにて読書が始まった。
 男を落とすためのテクニックがコレでもかと書かれた雑誌を想い人と読むこの恥辱。
 何の拷問かと思いながらも、ルーシュは背に感じるアンドュアイスの心臓の鼓動の音や体の熱を感じて、文章に集中できないのであった。

 教訓、見られたくない本を読むときは部屋の鍵を閉めましょう☆
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