男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

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「ルーシュちゃん苦労したんだね…なのにこんなに可愛く育って、お兄さんは嬉しいよ」

 甘味を楽しみながら話に興じていたら、ルーシュの過去を聞いたジャスミンが泣き出してしまった。
 ジャスミンと言う男は”女性は幸福であるべき、そのために男は全ての能力を奮うべき”が主義なのだ。
 男として育てられて、跡継ぎが出来たからと平民にされて聖女の護衛をさせられて、1番多感な時期の女の子をそんな扱いするなんて!とジャスミンは泣きながら憤慨している所である。

「ルーシュちゃん今度お家連れて行ってくれるかな?そのお父さんと俺ゆ~っくりオハナシがしてみたいからさ」

 ジャスミンの眼が死んでいる。
 ハイライトが無い。
 そして背後が暗黒である。
 本当に女性の為なら能力を奮う事を厭わない女性至上主義である。
 ルーシュの父は何時かジャスミンに剣で切られるよりも痛い、言葉の刃で再起不能にされる事であろう。
 ルーシュは心の中で糞親父に十字架をきったのだった。

「でね、ジャス君。ルーシュはお姉さんがいっぱい居てね、みんな綺麗で優しくて強いんだよ~♫」

「何?お姉さん?未婚か!?」

「下3人が未婚ですね。中々男受けしにくい家系ですから我が家の女性は」

「そんなもの男に甲斐性が無いだけだ。現にルーシュちゃんはこんなに可愛いじゃないか!きっとお姉様方もさぞや素敵な女性なのだろうな♫」

「うんうん皆綺麗で素敵だよ~」

 アンドュアイス、ルーシュと家族の事を褒められて喜色満面である。 
 ドラゴニア家の女性は男受けは確かに悪い。
 中性的な顔立ちに高い身長、凛々しい性格に男顔負けの剣技。
 騎士爵位も皆が持っているほどである。
 流石は武家と言うべきか。
 ただし男が生まれにくいのが難点なのである。
 跡継ぎは男。
 これだけは譲れないのがルーシュの父親であった。
 時代錯誤と言われようが、貴族の世界で女性が跡取りになる事は殆どない。
 ルーシュの姉たちも男なら誰でも後をつけるぐらいの器量がある。
 そんな勇ましい女性を妻にと求めるおとこはほぼ居ない。
 自分よりも出来る女など男は必要としていないのだ。

「ソレは違うぞルーシュちゃん。ルーシュちゃんのお家の女性は素晴らしいじゃないか。勇ましく聡明で美しい、高嶺の花過ぎて男が寄り付かないだけだ。
高値で咲き誇る花に嫉妬して皆が悪く言うだけだ。ルーシュちゃんのお姉様はきっと素晴らしい方だ。それはルーシュちゃんの人なりを見ていれば分かるよ」

 先ほどの父親の話を聞いている時は暗黒のオーラを纏っていたのに、女性を褒めだした途端にジャスミンのオーラは明るくなる。

「高値の花………」

「うん、そうだね!ルーシュの家族はみんな高嶺の花だね!でも1番高い所に咲いてたのは絶対ルーシュだよ~ルーシュが素敵な女性の中でも1番素敵だったんだもん」

「アンドュ様……」

「惚気るなアンドュ、だが頬を染めるルーシュちゃんも可愛いな♡」

 本当に何処までこの人は自分の心に優しい言葉をかけてくれるのだろう、そうルーシュは思う。
 ジャスミンの行き過ぎた女性信仰とも言えるソレは、他人が見たら滑稽と言うかもしれない。
 だがルーシュの心には優しくその言葉が届くのだ。
 まるで乾いた土に水がまかれた様に。
 ジャスミンはルーシュにとってアンドュアイス以外で初めてルーシュの心に水を与えてくれた存在。
 恋では無いが、胸が熱くなる。
 こんな人が居るのだと、ドラゴニア家の男受けしない女を高嶺の花と言い、素晴らしい存在だと言ってくれる人物が居るのだと、ルーシュの胸は熱くなった。
 そしてアンドュアイスがすぐに懐いたのも納得した。

 ジャスミンの言葉には裏表がない。
 そして人を大切に出来る人間だ。
 アンドュアイスはジャスミンのそんなところに惹かれたのだろう。

(こんな人素敵な人のお嫁さんになる人は幸せだな…そしてそのお嫁さんの家族も凄く幸せだ。この人と結婚したら幸せな生活しか想像出来ないんだから)

「じゃぁ皆で休み合わせてルーシュの実家に今度行こうねー♪」

「あぁ、麗しいまだ見ぬ女神たちに会えるのを楽しみにしているぞ」

 ルーシュが感激している横で、男2人によって勝手にドラゴニア家訪問の予定が組まれていくのであった。
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