6 / 40
6.家
しおりを挟む
エレナの紹介で向かった不動産屋は、石造りの立派な建物だった。
店主の男は品の良さそうな壮年の男で、すぐに商談に入ってくれた。
「私は店主を任されているダニエルと申します」
「俺はミトだ。この街に来たばかりだが、家を借りたい」
「この街では魔法契約に同意いただければどなたでも家を借りることができます」
「魔法契約とはどういったものになるんだ?」
「破れば命を落とすという縛りになります」
リスクの大きさに驚いてしまう。
内容によってはサインすることなどできない。
「そう構えられずともよいのです。意図して犯罪行為を行わない。この一点だけ守っていただけるなら、我々は家をお貸しすることができます」
「この契約は、同居人にも及ぶものなのか?」
「いいえ。及びません。ただし、同居人の犯罪行為を見逃すことは罪となりますので、もしご家族が犯罪に手を染めた時は、通報いただければと」
「分かった。ちなみに、こういった魔法契約は一般的なのか?」
「……と申しますと?」
質問の意図が分からなかったらしく、淀みなく説明をしていた男の困惑が見て取れた。
「すまないが、村から出てきたばかりで世間の常識に疎いんだ。家を借りる時のルールが、他の街にもあるか気になったんだ」
「私に聞けばいいのに」
エレナが拗ねるが、今は無視させてもらう。
「さようですか。この魔法契約を考案されたのは、領主のユリアン・アベール様です。ユリアン様は罪を許さない高潔な御方。ですが、他の領地では悪徳の栄えも見られるようです」
俺は相当に潔癖な人物の領地に転生したらしい。
「家を借りるのは初めてなのだが、希望を伝えてもいいか?」
「もちろんでございます」
ダニエルの説明によると、誰がどこに住むかは全て領主から委託された不動産屋が管理しているらしい。予算を伝えたところ、一戸建ての購入も視野に入ると言われた。
「エレナも一緒に選んでくれるか?」
「え? 私も選んでいいの?」
「家族になるんだから当然だ」
「あなたって本当に変わってるわね」
やわらかくエレナが笑ってる。
「そうね。ミトが気に入りそうな家は……」
彼女は真剣に選び始めた。
「もし迷宮に入るなら、市場からも近いこの家がいいんじゃない?」
「なるほど。こちらの立地ですと、契約金は金貨300枚になります」
「今の俺では手が出せないな」
「一括で購入が難しければ、分割での購入も検討されてはいかがでしょう。さほど距離はありませんし、一度内見に行かれては?」
ダニエルの勧めもあって、俺とエレナは共に家を見に行くことにした。
移動中、彼女はぴったりと寄り添ってくる。
身体を重ねた関係だが、腕を組むだけで顔を赤くするエレナだ。
本当に初心というか何というか、年頃の娘って感じだ。
こんなに経験が浅いと、探索者パーティに買われるという話はさぞ恐ろしかっただろうな。実際、かなり怖がってたし。
「こちらになります」
案内されたのは明らかに2人で住むには広すぎる屋敷だった。
「ご家族で住むことを想定した造りになります。1階がキッチンとリビングと応接間、それからトイレになります。二階には寝室と書斎、空き部屋が3つあります」
申し分のない一軒家に見える。持て余しそうだとも思うが。
「エレナは気に入ったか?」
「ええ。日当たりもいいし悪くない物件だと思う。子供ができたら庭で遊んだりできそう」
「結婚して一緒に子育てするか?」
「もう、適当なこと言わないで」
怒られてしまった。残念。
「少し考えたい。今日のところは宿を借りる」
「承知しました。1ヶ月程でしたら待てますので、色好い返事をお待ちしております」
「いや、そこまでの対応を期待したわけじゃないんだが」
「お客様は尊ばれるべき方。英雄でいらっしゃいます」
「何の話だ?」
尋ねると、「その鎧です」と返された。
「この街で最も高い懸賞金を掛けられた盗賊、リードの鎧ですね。それを身につけることができるのは、討ち取った英雄だからでしょう」
ああ、それなりに目立つ鎧だったのか。性能のいい鎧だから宿に置いていくのも嫌で着てきたが、思わぬ効果があったらしい。
「この街では、英雄には相応しい待遇が約束されます。もし領主様がこの場にいらっしゃれば、私の判断を支持して下さったでしょう」
まだ会ったこともないのに、正義感に厚い領主のイメージが形成されていく。
「分かった。早めに決断はしたいと思う」
「ユリアン様の方針で、賞金稼ぎとして実績のある方は、家を購入する際に優遇される制度がございます。税金も一部免除されますので、是非この街に住まわれてください」
「情報に感謝する。ところで、この街では嘘をつけないそうだな。何か仕掛けがあるのか?」
俺の問いかけにダニエルは笑みを深めた。
「この街には真実の鐘があります。真実の鐘が有効な範囲……つまり街中では嘘をつけません」
「その真実の鐘というのは値の張るアイテムなのか?」
手が届く額のものなら、便利そうだから俺も欲しい。
「決して安いとは言えない代物です。ユリアン様からの格別の配慮で、あのように街に配備されるようになりましたが」
ダニエルが街の中心にある教会を指してくれたお陰で、現物を見ることができた。街の中心にそびえる教会と、吊るされた透明の鐘が見える。除夜の鐘の透明版みたいなものだ。あの大きさじゃ持ち歩くのは論外だな。個人で所有するものではない。
「なるほど。俺でも真実の鐘を使用することはできるのか?」
「毎朝教会の者が鐘を鳴らしますので、この街にいれば加護が適用されます。正直、アレを設置するとなった時は、住民から多くの反対の声が上がりました。些細な嘘もつけなくなるのは不便だという意見です」
「今は違うのか?」
「ええ、もちろんです。我々は嘘を吐く必要がなくなり、他者を騙すこと、そして他者に騙されることから解放されたのです。詐欺に関する事件もなくなり、この街は王国で最も誠実な街として知られるようになりました」
領主はよほど悪を根絶したいんだな。
熱心に語るダニエルから視線を外すと、エレナと目があった。
「あなたがリードを倒したって本当なの?」
「ああ。たまたま返り討ちにしたんだ」
「こういうのを巡り合わせって言うのかしら。お父様の商会が傾いたのは、リード達に商隊の積み荷を奪われたからなのよ。だから、仇を取ってくれたこと礼を言うわ」
討ち取った内のどれがリードか知らないが、感謝は受け取っておこう。
店主の男は品の良さそうな壮年の男で、すぐに商談に入ってくれた。
「私は店主を任されているダニエルと申します」
「俺はミトだ。この街に来たばかりだが、家を借りたい」
「この街では魔法契約に同意いただければどなたでも家を借りることができます」
「魔法契約とはどういったものになるんだ?」
「破れば命を落とすという縛りになります」
リスクの大きさに驚いてしまう。
内容によってはサインすることなどできない。
「そう構えられずともよいのです。意図して犯罪行為を行わない。この一点だけ守っていただけるなら、我々は家をお貸しすることができます」
「この契約は、同居人にも及ぶものなのか?」
「いいえ。及びません。ただし、同居人の犯罪行為を見逃すことは罪となりますので、もしご家族が犯罪に手を染めた時は、通報いただければと」
「分かった。ちなみに、こういった魔法契約は一般的なのか?」
「……と申しますと?」
質問の意図が分からなかったらしく、淀みなく説明をしていた男の困惑が見て取れた。
「すまないが、村から出てきたばかりで世間の常識に疎いんだ。家を借りる時のルールが、他の街にもあるか気になったんだ」
「私に聞けばいいのに」
エレナが拗ねるが、今は無視させてもらう。
「さようですか。この魔法契約を考案されたのは、領主のユリアン・アベール様です。ユリアン様は罪を許さない高潔な御方。ですが、他の領地では悪徳の栄えも見られるようです」
俺は相当に潔癖な人物の領地に転生したらしい。
「家を借りるのは初めてなのだが、希望を伝えてもいいか?」
「もちろんでございます」
ダニエルの説明によると、誰がどこに住むかは全て領主から委託された不動産屋が管理しているらしい。予算を伝えたところ、一戸建ての購入も視野に入ると言われた。
「エレナも一緒に選んでくれるか?」
「え? 私も選んでいいの?」
「家族になるんだから当然だ」
「あなたって本当に変わってるわね」
やわらかくエレナが笑ってる。
「そうね。ミトが気に入りそうな家は……」
彼女は真剣に選び始めた。
「もし迷宮に入るなら、市場からも近いこの家がいいんじゃない?」
「なるほど。こちらの立地ですと、契約金は金貨300枚になります」
「今の俺では手が出せないな」
「一括で購入が難しければ、分割での購入も検討されてはいかがでしょう。さほど距離はありませんし、一度内見に行かれては?」
ダニエルの勧めもあって、俺とエレナは共に家を見に行くことにした。
移動中、彼女はぴったりと寄り添ってくる。
身体を重ねた関係だが、腕を組むだけで顔を赤くするエレナだ。
本当に初心というか何というか、年頃の娘って感じだ。
こんなに経験が浅いと、探索者パーティに買われるという話はさぞ恐ろしかっただろうな。実際、かなり怖がってたし。
「こちらになります」
案内されたのは明らかに2人で住むには広すぎる屋敷だった。
「ご家族で住むことを想定した造りになります。1階がキッチンとリビングと応接間、それからトイレになります。二階には寝室と書斎、空き部屋が3つあります」
申し分のない一軒家に見える。持て余しそうだとも思うが。
「エレナは気に入ったか?」
「ええ。日当たりもいいし悪くない物件だと思う。子供ができたら庭で遊んだりできそう」
「結婚して一緒に子育てするか?」
「もう、適当なこと言わないで」
怒られてしまった。残念。
「少し考えたい。今日のところは宿を借りる」
「承知しました。1ヶ月程でしたら待てますので、色好い返事をお待ちしております」
「いや、そこまでの対応を期待したわけじゃないんだが」
「お客様は尊ばれるべき方。英雄でいらっしゃいます」
「何の話だ?」
尋ねると、「その鎧です」と返された。
「この街で最も高い懸賞金を掛けられた盗賊、リードの鎧ですね。それを身につけることができるのは、討ち取った英雄だからでしょう」
ああ、それなりに目立つ鎧だったのか。性能のいい鎧だから宿に置いていくのも嫌で着てきたが、思わぬ効果があったらしい。
「この街では、英雄には相応しい待遇が約束されます。もし領主様がこの場にいらっしゃれば、私の判断を支持して下さったでしょう」
まだ会ったこともないのに、正義感に厚い領主のイメージが形成されていく。
「分かった。早めに決断はしたいと思う」
「ユリアン様の方針で、賞金稼ぎとして実績のある方は、家を購入する際に優遇される制度がございます。税金も一部免除されますので、是非この街に住まわれてください」
「情報に感謝する。ところで、この街では嘘をつけないそうだな。何か仕掛けがあるのか?」
俺の問いかけにダニエルは笑みを深めた。
「この街には真実の鐘があります。真実の鐘が有効な範囲……つまり街中では嘘をつけません」
「その真実の鐘というのは値の張るアイテムなのか?」
手が届く額のものなら、便利そうだから俺も欲しい。
「決して安いとは言えない代物です。ユリアン様からの格別の配慮で、あのように街に配備されるようになりましたが」
ダニエルが街の中心にある教会を指してくれたお陰で、現物を見ることができた。街の中心にそびえる教会と、吊るされた透明の鐘が見える。除夜の鐘の透明版みたいなものだ。あの大きさじゃ持ち歩くのは論外だな。個人で所有するものではない。
「なるほど。俺でも真実の鐘を使用することはできるのか?」
「毎朝教会の者が鐘を鳴らしますので、この街にいれば加護が適用されます。正直、アレを設置するとなった時は、住民から多くの反対の声が上がりました。些細な嘘もつけなくなるのは不便だという意見です」
「今は違うのか?」
「ええ、もちろんです。我々は嘘を吐く必要がなくなり、他者を騙すこと、そして他者に騙されることから解放されたのです。詐欺に関する事件もなくなり、この街は王国で最も誠実な街として知られるようになりました」
領主はよほど悪を根絶したいんだな。
熱心に語るダニエルから視線を外すと、エレナと目があった。
「あなたがリードを倒したって本当なの?」
「ああ。たまたま返り討ちにしたんだ」
「こういうのを巡り合わせって言うのかしら。お父様の商会が傾いたのは、リード達に商隊の積み荷を奪われたからなのよ。だから、仇を取ってくれたこと礼を言うわ」
討ち取った内のどれがリードか知らないが、感謝は受け取っておこう。
2
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら
リヒト
ファンタジー
現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。
そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。
その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。
お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。
ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。
お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】
kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。
※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。
『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。
※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる