ドSと崇拝

前編

ちょ……ちょちょっとちょっとちょっとちょっと！！
　待って！！
　待って待って待ってえ！！
　待ってちょっとなにやってんすかあんた！！
　分かってる！？　分かってるあんた！？
　横に！　あんたのダチが！　寝てる！！

「っ、　～～～っ、」

　どういう状況かってあんた、いや先輩の家で宅飲みしてて、騒ぎすぎて酔い潰れてみんなでフローリングに雑魚寝状態ですわ今！
　おれのすぐ脇には右にも左にも先輩のダチが潰れて転がってて、その状態で何故か先輩がおれに跨がってきている……。
　キスが酒臭い。酔っ払いは力加減が出来なすぎて押さえ付けられた右手が骨折れそう。ただでさえ馬鹿力なのに、遠慮ってものを知ってくれ。

「せ、ぱ……」
「黙ってろ」

　ちょっと待ってよぉぉ、なんでそんな機嫌悪そうなんですか、おれ今日なんかしましたか……。
「んっ……」
　駄目ですってば本当、おれ先輩とのこと誰にも言ってないのに、それにこんな、静かに出来る気が全然しないのにこんなん絶対ばれるからー！
　絶対気付いてみんな起きるから本当待って本当無理お願い先輩おれこんなん見られる趣味ない……。
「は……っ、だめ……」
　小声だから聞こえないのか酔ってるから聞こえてないのかそもそもおれの意見聞くつもりないのか知らんけど薄いシャツの上から乳首甘噛みしてくる。
　え？　え、なに、シャツ捲れ？　自分で持ってろ？
　やーだーよー……でも逆らうと後が恐い。
　この状況で考えられるのは、従っとかないと多分絶対おれに無理やりデカい声出させようとかしてくるに違いない。
　無理無理。
　無理無理無理無理ほんと無理。
「…………、ゃ、」
　乳首……触り方がいつもよりねちっこいぃぃ。
　おれが声出さないように必死なの見て楽しんでるんだ絶対そう、本当性格悪い。

「ふ……っ、先輩……」
「黙ってろって。静かにしてねえと両隣無理やり起こすぞ」

　勘弁してください。
　明日からどんな顔して会えばいいのか分からん。

　全然やめる気のない先輩は、乳首から臍までれろーっと舐めてから、おれのずぼんを脱がしにかかってきた。
　いやいや無理無理いやいやいやいや無理だって本当駄目だってやあーめえーてえー！！　ちょっとおーッ！！　追い剥ぎいいぃぃぃぃッ！！
「……っ、」
　結局抵抗虚しく膝までずるーんと全部脱がされてしまい、ああもう駄目だ。対抗する術が見つからない。
　ん。
　え、えっ、嘘だろもしかして濡らしもしないで指突っ込むつもりですか先輩、正気？　正気なの？　あ、いや正気じゃないわ酔っ払いだった最悪。