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ローウェンは今日も屋敷に戻れないようです。
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次の日。
昨日の朝から一向に帰ってこないローウェンを、ユーリは王都の辺境伯邸で待っていた。
一刻も早く息子――ヨナリウスのもとへ戻り、今後の準備をしなくてはならないからだ。
本音を言えば、あの領地から離れたくない。
自分たち母子に何かとよくしてくれる辺境伯ローウェン。
ずっと家族のように大事にしてくれたフリーダムの面々。
そして、呪いから救ったことに恩義を感じているのか、何かと力になってくれる伯爵親子。
伯爵の息子であるウィリアムとヨナは、まるで本当の兄弟のように仲がいい。
そんな、かけがえのない大切な人たちが大勢いる土地から――まさか離れる日が来るなんて。
「なんで、私を放っておいてくれないのかしら……」
『愛さない』と言っておきながら、いまだに自分を縛りつけようとする、金髪金目の美しい男の姿が脳裏をよぎる。
思い出すだけで腹が立った。
自分は別に、公爵夫人になりたいわけではない。
そして、彼の妻に収まる気もさらさらない。
ただ――
息子であるヨナリウスと、貧しいながらも幸せに暮らしていけるのなら、それだけで十分なのだ。
もし、それ以上を願うことが許されるのなら。
先祖が遺し、亡き母が為し得なかった研究の数々に取り組めるのなら。
それだけでもう、自分は十分に幸せだ。
それなのに、なぜ今になって……。
「辺境伯領にいれば、全部叶っていたのに……」
教会の一件は、昨日の説明で何とかなったようであった。
ケイオスの話によると、司祭はその話を信じた様子で、あの老婆について調べるのだそうだ。
まあ、天涯孤独で、しかもすでに亡くなっている人を調べたところで、何も出ないとは思うのだが……。
「それにしても……」
昨日の朝から、ローウェンが一向に帰ってくる気配がないことに、ユーリは胸騒ぎが止まらなかった。
教会はだませても、王城では別の情報が入っているかもしれない。
もし、その件でいまだに戻ってこないのだとしたら?
「ローウェン様にご迷惑がかかっていなければ良いのだけれど……」
王城に問い合わせてはみたが、
「込み入った話でなかなか戻れそうになくて……」
という、申し訳なさがひしひしと伝わってくる返事と、それに高価な贈り物が付いてくるので、問い合わせるのも気が引けた。
「何か、情報が得られればいいのだけれど……」
せめて、自分の正体がばれていませんように。
その件で、ローウェン様を困らせていませんように……。
ユーリは部屋の中から、綺麗な青空を眺めながら、ただ祈ることしかできないでいた。
*
そのローウェンはというと――
「自分から頼んでいたのに、他の女性と婚約することになったなんて……ユーリになんと言えば……」
気がつけば、親友である国王の妹と婚約する話になっていたローウェンは、王城の一室で頭を抱えていた。
最初は弟であるバーナードからの提案だったとはいえ、ユーリが自分の婚約者になることは、とても嬉しかったのだ。
その気持ちに嘘はない。
舞い上がりすぎていたのだろう。
領地を離れ、この王城でイシャロット帝国の皇子――あの無礼な男に会うまでは。
嬉しさのあまり、どこか上の空だったくらいだ。
まさか、自分なんかの婚約者になってくれるなんて――と。
それがたとえ“ふり”だったとしても、それだけでローウェンは十分に幸せだった。
だからこそ、本人のいないところで突然決まった相手――ミディマリア=ヨルムンド第二王女の存在が、胸の奥で重く沈む。
ユーリに、どういう顔で。
そしてミディマリアにも、どういう言葉で。
二人に納得してもらえばいいのか。
部屋にこもって考え続けたが、夜が明け、次の日の昼前になっても、答えは浮かばなかった。
今やヨルムンド共和国で一、二を争うほどの勢いで繁栄する領地を治めている自分が――こんなことで。
「でもいつまでも、こうしているわけにもいかないし……。」
いい加減腹をくくって、一度屋敷に戻ろう。
そして、誠心誠意、ユーリに謝ろう。
やっとのこと重い腰を上げ、現国王であるエリオット・ヨルムンドに退出を願い出ようと、部屋を訪れたときである。
「我が国に、コンラッド・ウィン・ヴァーミリオン公爵率いる、シュバリエ皇国の使節団一行が来ているらしい」
という話をされたのだ。
しかもなぜか、自分の領土内にあるダンジョンにいたらしい。
その情報も、弟であるバーナード・ハイランズ伯爵から王城への至急の手紙で発覚したことだと聞かされ、嘘ではないと確信できた。
「なぜ私の領地のダンジョンに?」
「それがだな……」
手紙によると、シュバリエ皇国の一行が突然例のダンジョンに現れ、そこで迷子になっていたらしいヨナリウスに出会い、彼の願いで一緒にこちらへ向かっているとのことだった。
なぜこんなに早くこの国へ着いたのかは、ヴァーミリオン公爵本人から聞かないことには分からないのだそうだ。
「は? ヨナが迷子?」
「ヨナって誰だ?」
「説明しただろう? 今回、私の婚約者になる予定だったユーリの息子だよ。」
「え? お前、子持ちと結婚する予定だったのか?」
どうやらエリオットは、事前にあったユーリの説明を頭に入れていなかったらしい。
自分の妹の方がローウェンの結婚相手にふさわしいと思っていたからなのか、まったく覚えていなかったのだ。
「悪いか?」
ローウェンは反射的にエリオットを睨みつけた。
「え? いや、まあ、今はミディだし……」
ローウェンにその言葉は届いていなかった。
(ヨナがダンジョンで迷子? 何度も行っているあのダンジョンで? あり得ないだろう……いや、まだ四歳だし……)
「バーナードがシュバリエ皇国の例の子供たちと、ミディ殿下を連れて王都へ向かう途中で合流するらしい。今頃、会って話をしているんじゃないのかな?」
「子供たちを迎えに来るのに、わざわざ公爵が出向いてきたのか?」
「これは極秘事項なのだが……」
そう言うと、エリオットは席を立ち、ローウェンの隣に座った。
そして耳元へ顔を近づけると、
「どうやら、行方不明の奥方の探索も兼ねているらしい。」
と、耳打ちしてきたのだ。
「行方不明の奥方?」
「ああ。お前も知っているだろ?あの国の『皇族の呪い』は千年以上続いていると有名だからな?どうやらその呪いを解くために、奥方は五年前から行方不明なんだそうだ。」
「呪いを解くのに、何故奥方が行方不明なんだ?」
「よくわからん。しかしそのおかげで呪いが解けたとかで、皇族が今、必死に探しているらしいんだ。」
「へえ。」
「そういえば、お前の偽婚約者の名前、ユーリだったか?」
「偽婚約者とか言うな!」
俺が傷つくだろうが……とは言えず。
「先日、その女が公爵夫人の実家の家紋付きの手紙を、城下町にあるヨナス教会の司教に渡した、という報告があってだな……」
「え? ユーリが? なぜ?」
元の席に戻ったエリオットに向かって、ローウェンは身を乗り出した。
「なんでも、古い知り合いに頼まれたんだそうだ。しかもその知り合いは、三年前に亡くなっている。老婆らしいんだが、お前、何か知らないか?」
「老婆? ああ、ユーリが世話になったという、あの老婆のことか。すまないが私も、よく知らないんだ……。」
「そうか……。」
その話はここで終わったのだが、今度はシュバリエ皇国の件について話をしているうちに、ローウェンはまたしても、帰るタイミングを失ってしまったのであった。
昨日の朝から一向に帰ってこないローウェンを、ユーリは王都の辺境伯邸で待っていた。
一刻も早く息子――ヨナリウスのもとへ戻り、今後の準備をしなくてはならないからだ。
本音を言えば、あの領地から離れたくない。
自分たち母子に何かとよくしてくれる辺境伯ローウェン。
ずっと家族のように大事にしてくれたフリーダムの面々。
そして、呪いから救ったことに恩義を感じているのか、何かと力になってくれる伯爵親子。
伯爵の息子であるウィリアムとヨナは、まるで本当の兄弟のように仲がいい。
そんな、かけがえのない大切な人たちが大勢いる土地から――まさか離れる日が来るなんて。
「なんで、私を放っておいてくれないのかしら……」
『愛さない』と言っておきながら、いまだに自分を縛りつけようとする、金髪金目の美しい男の姿が脳裏をよぎる。
思い出すだけで腹が立った。
自分は別に、公爵夫人になりたいわけではない。
そして、彼の妻に収まる気もさらさらない。
ただ――
息子であるヨナリウスと、貧しいながらも幸せに暮らしていけるのなら、それだけで十分なのだ。
もし、それ以上を願うことが許されるのなら。
先祖が遺し、亡き母が為し得なかった研究の数々に取り組めるのなら。
それだけでもう、自分は十分に幸せだ。
それなのに、なぜ今になって……。
「辺境伯領にいれば、全部叶っていたのに……」
教会の一件は、昨日の説明で何とかなったようであった。
ケイオスの話によると、司祭はその話を信じた様子で、あの老婆について調べるのだそうだ。
まあ、天涯孤独で、しかもすでに亡くなっている人を調べたところで、何も出ないとは思うのだが……。
「それにしても……」
昨日の朝から、ローウェンが一向に帰ってくる気配がないことに、ユーリは胸騒ぎが止まらなかった。
教会はだませても、王城では別の情報が入っているかもしれない。
もし、その件でいまだに戻ってこないのだとしたら?
「ローウェン様にご迷惑がかかっていなければ良いのだけれど……」
王城に問い合わせてはみたが、
「込み入った話でなかなか戻れそうになくて……」
という、申し訳なさがひしひしと伝わってくる返事と、それに高価な贈り物が付いてくるので、問い合わせるのも気が引けた。
「何か、情報が得られればいいのだけれど……」
せめて、自分の正体がばれていませんように。
その件で、ローウェン様を困らせていませんように……。
ユーリは部屋の中から、綺麗な青空を眺めながら、ただ祈ることしかできないでいた。
*
そのローウェンはというと――
「自分から頼んでいたのに、他の女性と婚約することになったなんて……ユーリになんと言えば……」
気がつけば、親友である国王の妹と婚約する話になっていたローウェンは、王城の一室で頭を抱えていた。
最初は弟であるバーナードからの提案だったとはいえ、ユーリが自分の婚約者になることは、とても嬉しかったのだ。
その気持ちに嘘はない。
舞い上がりすぎていたのだろう。
領地を離れ、この王城でイシャロット帝国の皇子――あの無礼な男に会うまでは。
嬉しさのあまり、どこか上の空だったくらいだ。
まさか、自分なんかの婚約者になってくれるなんて――と。
それがたとえ“ふり”だったとしても、それだけでローウェンは十分に幸せだった。
だからこそ、本人のいないところで突然決まった相手――ミディマリア=ヨルムンド第二王女の存在が、胸の奥で重く沈む。
ユーリに、どういう顔で。
そしてミディマリアにも、どういう言葉で。
二人に納得してもらえばいいのか。
部屋にこもって考え続けたが、夜が明け、次の日の昼前になっても、答えは浮かばなかった。
今やヨルムンド共和国で一、二を争うほどの勢いで繁栄する領地を治めている自分が――こんなことで。
「でもいつまでも、こうしているわけにもいかないし……。」
いい加減腹をくくって、一度屋敷に戻ろう。
そして、誠心誠意、ユーリに謝ろう。
やっとのこと重い腰を上げ、現国王であるエリオット・ヨルムンドに退出を願い出ようと、部屋を訪れたときである。
「我が国に、コンラッド・ウィン・ヴァーミリオン公爵率いる、シュバリエ皇国の使節団一行が来ているらしい」
という話をされたのだ。
しかもなぜか、自分の領土内にあるダンジョンにいたらしい。
その情報も、弟であるバーナード・ハイランズ伯爵から王城への至急の手紙で発覚したことだと聞かされ、嘘ではないと確信できた。
「なぜ私の領地のダンジョンに?」
「それがだな……」
手紙によると、シュバリエ皇国の一行が突然例のダンジョンに現れ、そこで迷子になっていたらしいヨナリウスに出会い、彼の願いで一緒にこちらへ向かっているとのことだった。
なぜこんなに早くこの国へ着いたのかは、ヴァーミリオン公爵本人から聞かないことには分からないのだそうだ。
「は? ヨナが迷子?」
「ヨナって誰だ?」
「説明しただろう? 今回、私の婚約者になる予定だったユーリの息子だよ。」
「え? お前、子持ちと結婚する予定だったのか?」
どうやらエリオットは、事前にあったユーリの説明を頭に入れていなかったらしい。
自分の妹の方がローウェンの結婚相手にふさわしいと思っていたからなのか、まったく覚えていなかったのだ。
「悪いか?」
ローウェンは反射的にエリオットを睨みつけた。
「え? いや、まあ、今はミディだし……」
ローウェンにその言葉は届いていなかった。
(ヨナがダンジョンで迷子? 何度も行っているあのダンジョンで? あり得ないだろう……いや、まだ四歳だし……)
「バーナードがシュバリエ皇国の例の子供たちと、ミディ殿下を連れて王都へ向かう途中で合流するらしい。今頃、会って話をしているんじゃないのかな?」
「子供たちを迎えに来るのに、わざわざ公爵が出向いてきたのか?」
「これは極秘事項なのだが……」
そう言うと、エリオットは席を立ち、ローウェンの隣に座った。
そして耳元へ顔を近づけると、
「どうやら、行方不明の奥方の探索も兼ねているらしい。」
と、耳打ちしてきたのだ。
「行方不明の奥方?」
「ああ。お前も知っているだろ?あの国の『皇族の呪い』は千年以上続いていると有名だからな?どうやらその呪いを解くために、奥方は五年前から行方不明なんだそうだ。」
「呪いを解くのに、何故奥方が行方不明なんだ?」
「よくわからん。しかしそのおかげで呪いが解けたとかで、皇族が今、必死に探しているらしいんだ。」
「へえ。」
「そういえば、お前の偽婚約者の名前、ユーリだったか?」
「偽婚約者とか言うな!」
俺が傷つくだろうが……とは言えず。
「先日、その女が公爵夫人の実家の家紋付きの手紙を、城下町にあるヨナス教会の司教に渡した、という報告があってだな……」
「え? ユーリが? なぜ?」
元の席に戻ったエリオットに向かって、ローウェンは身を乗り出した。
「なんでも、古い知り合いに頼まれたんだそうだ。しかもその知り合いは、三年前に亡くなっている。老婆らしいんだが、お前、何か知らないか?」
「老婆? ああ、ユーリが世話になったという、あの老婆のことか。すまないが私も、よく知らないんだ……。」
「そうか……。」
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