月の箱庭

善奈美

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月の箱庭

02 厄介事の始まり

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 修道服に身を包んだグウェンティアは、窓に腰掛け外を眺めていた。街外れに建つ修道院は、街を一望できる場所に建っている。
 
 彼女の足下には、黒い毛並みの猫が丸くなり微睡んでいた。一瞬、視線を猫に向ける。厄介事の一つは、しっかり、彼女から離れようとはしなかった。視線を逸らし、扉の方を見た。程なくして、扉は静かに開かれた。
 
「ノックも無しなの」
 
 少し冷たい口調でグウェンティアは告げた。
 
「そんなものは無意味な行動だろう」
「そういう問題じゃないと思うけど。品格が疑われるわよ」
 
 グウェンティアの前に現れたのは、一人の男だった。彼女と同じ黒髪には白髪が混じり始めている。

「お祖父様。それとも、ボスと呼んだ方がいいのかしら」
 
 男は苦笑いを浮かべた。
 
「厄介事ならもう沢山。この、猫だけで十分よ」
「依頼だ」
 
 グウェンティアは眉をひそめた。
 
「本来の。それとも、厄介の方」
 
 男は溜息をつき、手の中の物を見せた。
 
「冗談じゃない。私はもう、本来の仕事しかしないわ」
 
 グウェンティアは立ち上がり、早足で男の前まで歩み寄った。
 
「命令だ。この、仕事が完結するまで、本来の仕事は来ない」
「ボスとして来たわけね」
 
 彼の手の中にあったのは、アレキサンドライトの宝石だった。

 意味することは一つ。
 
 全ての任務を解除する。新たな仕事を全てやり遂げるべし。
 
「この前の続きをやれというの。全て解決しろと」
 
 グウェンティアには判っていた。事は簡単ではないと。先の仕事がただの依頼ではなく、解決まで望んでいる事を。
 
「紫の三日月をもって生まれた者の定めだ。そう、育てられた筈だ」
「私は生き人ではないわ。社会から抹殺され、存在している事すら皆、知らないのよ」
 
 男は小さく首を振った。
 
「判っている筈だ。何かが狂い始めた事が」
 
 その言葉に、グウェンティアは口を噤んだ。

 封印の森から無事戻り、以前と変わらない生活を始めはしたが、少しづつ、何かが変化を始めていた。城の地下深くに安置されていた初代王の柩が、別の場所に移された事が発端といえた。何故、墓所が城の地下に有ったのか、知る者は殆どいない。
 
「結界の要が移動したみたいだな」
 
 足下で、冷静な意見が告げられた。
 
「崩壊が始まるだろうな」
 
 二人は声の主に視線を向ける。黒猫、グロウは小さく伸びをしている最中だった。
 
「早くしないと、この世界そのものが、千年前の悲惨な姿に戻る筈だ」
 
 グロウの言葉を信じたくはなかった。だが、グウェンティアには、はっきりと感じ取れるものがあった。

 一言で言うなら、闇に染められたような気配だった。前は微かに感じる程度であったものが、今では、はっきりと認識出来るまでになっている。
 
「グウェン、これから事が解決するまで、一切の任務は解除される」
「判ってるわ。その為の宝石でしょう」
 
 グウェンティアは無造作に、男から宝石を受け取った。かなり、大きなものだ。一つで、国家予算を賄えるほどの価値がある。
 
「情報は」
 
 男は首を横に振った。何もないというのだ。彼女は溜め息をついた。判りきってはいたが、落胆せずにはいられなかった。

「一つだけならばあるが、参考になるかどうか」
「それは、私が判断するわ。早く教えて」
 
 男は少し躊躇っているようだった。だが、小さな溜め息と共に彼女をしっかりと見据えた。
 
「王子が生きている」
 
 一瞬の沈黙。それは、彼女の存在と同じように、意外な言葉だった。
 
「病死したって伝えられた王子の事」
「そうだ、お前の婚約者、のだ」
 
 グウェンティアは肩を竦めた。
 
「冗談はやめてよ。あれは、私の死亡で無効よ」
 
 グウェンティアは悪態を吐く。

「私は王家に暗殺者を差し向けられて、死んだのよ。判っている筈だと思ってたんだけど」
 
 グウェンティアは窓に視線を移し、遠く何かを見詰める。
 
「昔は男爵令嬢だったけど、今は闇に巣くう者だもの」
 
 グウェンティアは自虐的に微笑んだ。
 
「たった十歳の子供が、平気で人を殺した。今、私が存在していられる理由よ。でなければ、両親共々この世にいない」
 
 男、否、彼女の祖父は目を細めた。
 
「母は幼い私にありとあらゆる暗殺術を教えてくれたわ。父は何故反対したかったのか。その理由を理解出来たのは自分の命が危ういと判った時だった」
 
 宝石を強く握り締め、グウェンティアは低く呟くように言葉を紡いだ。

「両親を手にかけたのも、館に火を放ったのも、私だもの」
 
 初めて聞く事実に、祖父であり、彼女のボスでもあるレギスは目を見開いた。
 
「二人は私一人助ける為に身代わりまで用意して、私自身に親殺しを要求したの」
 
 グウェンティアは無表情のまま、レギスに視線を戻した。
 
「小さな子供がその時、全ての暗殺技術をマスターしてたのよ。普通じゃないでしょう。令嬢が身につけるべき作法なんて一つも知らないわ。判るのは、人殺しの技術と魔術の知識だけ」
 
 グウェンティアは自虐的に言った。

 貴族らしい生活をした記憶はほとんどない。毎日繰り返される辛い暗殺技術の習得と、彼女が持つ魔力を制御する訓練。それに関する知識を蓄え、娘らしい生活は殆どと言って言い程なかった。
 
「両親は私が誕生した時、額の印の為に、身を守る全てを叩き込むことにしたのね」
 
 今考えると、良いことであったのか、悪いことであったのか、判断することは難しい。ただ、言える事があるとすれば、生きていられた理由が、その技術のおかげだ。
 
「王子が生きているとして、本当に痣があるとしたなら、探すことは可能かも。でも、魔力を遮断する何かに囲まれたところにいたら判らないわ」
「魔力」
 
 レギスは首を傾げた。

「どうして男爵の娘が王子の婚約者なんかになれたと思ってるの。全部、額にある痣の為」
 
 グウェンティアは口を噤んだ。一度だけ、面会をしたことがあった。淡い茶の髪と、彼女と同じ夜の瞳をしていた。そして、なにより印象に残っているのは、額にあった藍色の三日月だった。同じ存在だと、幼いながらに認識出来た。
 
「痣が在ったのよ。三日月のね。藍の三日月が」
 
 王家にとって、痣を持つ者を野放しには出来なかったのだろう。たとえ男爵という、身分的には王家に釣り合わない血筋だったとしてもだ。

「父も母も何かに怯えてた。誰に対してなのかは判らないけど」
 
 グウェンティアは話を切るようにグロウに視線を向ける。手掛かりを手に入れるには、番人であったグロウに訊くしかない。黒の獣は少なくとも初代王を知っている。何かの情報を手に入れるには、可能性のある者に訊くのが一番だ。
 
「知ってるわね」
 
 彼女は短く問いただす。
 
「詳しくは知らない。私は、結界と封印が終了してから創られた。知りたくば紫の書庫に行くしかない。そこならば、答えが導き出せる筈」
「紫の書庫」
 
 グロウは少し視線を上に移した。グウェンティアの表情を確認する為だ。

「そう、月の民の力を持つ者のみに開かれる場所だ」
 
 グウェンティアは嫌な予感を覚えた。普通の場所にある筈がない。
 
「その場所は城の地下にある」
 
 彼女は溜め息をついた。予感は的中したのだ。気を取り直して、質問を続ける。
 
「さっき、封印の要がどうとか言っていたけど、それは何」
 
 グロウは小さく頭を振る。グウェンティアの知識のなさに、呆れているようにも見えた。
 
「柩には初代王の体が入っているが、なにも、死んでいる訳ではない」
 
 グロウの言葉に二人は固まった。

 初代王は千年前に存在した言わば、過去の存在だ。千年もの間、生きることが可能だとは思いたくない。そんな事になれば、歴史そのものが変わってしまう。
 
「魔力は人の寿命に関わってくる。強い力は時として、体を老化させずに保つ効果を持つ」
 
 グウェンティアは額に右手を当てた。整理するには、余りに重大な問題だ。それを知る者は他にいるのだろうか。
 
「紫の三日月を持っていたのよね。初代王は」
 
 その問いに、グロウは頷いた。初代王が月の民であったことは知識として知ってはいた。どこから来たのかは、どの書物にも載ってはいない。

 彼女の知識は十歳までに得たものが多く、欠落ヶ所か多い。グロウが不信がるのも無理はない。
 
「始まりを知らなければ、おそらく理解するのは無理だろう。始まりは終わりに向かっている」
 
 グロウの言葉は謎が多すぎた。
 
「この世界に起こった事実を知らなければ、解決は難しい」
 
 グウェンティアは小さく唸った。どれ位の時が必要か予測すら立たない。
 
「一つ忘れないうちに言っておくが、王子が藍の三日月ならば、見つけ出す必要がある。封印と結界は四ヶ所の森にあり、それぞれの色に反応する。他に紅と漆黒も必要だ」
 
 更に、二人は固まった。

 一人で解決することは出来ないという事だ。つまり、千年前に何が起こったかを理解し、人探しをし、全てを良い方向に向けねばならない。
 
「知っている事を全部話して」
 
 グウェンティアは出来うる限りの知識を、グロウから得ることにした。
 
 元々、この国の始まりに関する書物は存在しない。抹消されたのか、わざと残さなかったのかだ。つまり、千年前の出来事は、人々にとって苦痛を感じる類のものだったのかもしれない。
 
 大体において、国の始まりは血なまぐさい事が多いのだ。

「私の知識は力に関する事が多い。それでもいいか」
「かまわないわ。私は自分が扱う魔術しか知らないわ。魔力を持つ者は、皆、同じ魔術を使うのではないの」
 
 グロウはまばたきを繰り返した。そして、レギスに視線を向けた。目を細め、言葉ではなく態度で示す。
 
__ここから先は月の民のみ知り得るもの。関係のない者は出て行けと。
 
 レギスは視線の意味をすぐに察した。確かに、知って良い知識ではない。力ある者にとってのみ、その情報は意味があるのだ。
 
「グウェン、私は席を外す。これより先は、干渉しない。依頼を全うすればいい」
  
 レギスはそれだけ告げると、音もなく部屋を出て行った。グウェンティアは目を細める。

「私の祖父でも聞かれてはいけないわけね」
「その通り。秘密ではないが、知らなくて良いものを知って、心配の種を増やす必要はないだろう」
 
 グロウは静かに言い、窓際に飛び乗った。昼の日差しが差し込み、微睡みたい衝動に駆られたが我慢した。
 
「紫が使う魔術は」
 
 その問いに、
 
「振動魔術よ。主に、音を媒介に使う事が多いけど」
 
 グロウは桟に座る。そして、グウェンティアを見詰めた。金色の瞳が、細められる。
 
「紫が使う振動魔術が一番高度な技術を要する」
 
 グロウは語る。

 魔術は三日月の色により使う系統が違う。
 
 紫が振動魔術。
 藍が音声魔術。
 紅が視覚魔術。
 漆黒が陣形魔術。
 黄が呪文魔術。
 
 それぞれに特徴はあるが、制約も多い。振動魔術は振動そのものを操るが、普通に生活をしていても、振動するものだ。全ての振動を操るだけの精神力が必要なのだ。
 
「確かにそうね。私は必要な時以外、使わないわ。疲れるもの」
「賢明だな。では、音声魔術は」
「知らないわ。言ったじゃない。自分が使う魔術以外、知らないと」
 
 音声魔術は音そのものに魔力をのせる。

 音声魔術は振動魔術と近い性質を持つ。音を媒介とし、音が伝わるところならば術を発動させることが出来る。振動魔術もそうだが、範囲はそれよりも狭い。
 
「王子が藍だとするなら、使う事の出来る魔術は音声魔術だ」
「決まっている訳」
 
 グウェンティアは判らないと首を振る。魔力はかわらない筈だ。違うとするなら、器の魔力の強さくらいだろう。
 
「勘違いしないでもらいたいんだが、紫も藍も紅も漆黒も呪文魔術ならば使える。他の魔術は血に刻まれている、言わば、遺伝的なものだ」
 
 グロウは溜息混じりに言った。

「封印と結界に四色の力が必要な理由だ。魔力は遺伝的に微妙なものだが、違いがある」
 
 グロウは更に続けた。
 
 もっとも異質なのが視覚魔術だ。視界に入ったものに術を発動する事が出来る。異質な理由が、月の民の中で唯一、身体的特徴があるからだ。
 
「片目が魔眼と呼ばれている。故に、片目を封印している者が多い。感情一つで、発動してしまう可能性がある」
「それって、ある意味、生活しづらいんじゃない」
「月の民の中ではそうかもしれない。稀に、両方の目が魔眼の者もいる。そういう者は、両目を塞いでいる。片目よりも危険な存在だからな」
 
 グウェンティアは唸った。

「陣形魔術って。魔術陣の事」
 
 グロウは小さく首を振る。
 
「地面に描くという問いなら否だ。自身の周りに指先で光の文字を描く」
 
 漆黒の使う陣形魔術は、自身の周りに複雑な特殊な文字を空中に刻む。
 
「文字を修得する必要はない。血に刻まれた記憶が無意識に指先から文字を描き出す」
「つまりのところ、全ての魔術にはそれぞれの欠点があるのね」
 
 グロウは頷いた。
 
 呪文魔術は魔力を言葉を媒介にし術を発動させる。
 
「最も簡単で、最も阻止されやすい。口を塞がれてしまえば終わりだ」
 
 グロウは小さく溜め息をつき、飛び下りた。グウェンティアに歩み寄り見上げる。

「簡単な説明だが、理解出来たか」
「ええ、大まかだけど。それで、紫の書庫の事だけど」
 
 グウェンティアは話題を変えた。魔術に関する簡単な理屈は理解出来た。後は、紫の書庫で正確な情報を手に入れるしかないのだ。
 
「場所を知っているという事は、行き方もよね」
 
 グロウは頷いた。
 
「街外れに不自然に立つ、石碑を見たことはないか」
「あるわよ。昔の建物の跡か何かじゃないかって、今でも歴史の研究者が調べてるわ。まさか」
「そのまさかだ」
 
 グロウはこともなげに言った。

「あの場所が、外からの唯一の入口だ」
「ちょっと待ってよ。城に忍び込むより、滅茶苦茶大変なのよ」
 
 グウェンティアは顔色を変えた。
 
 石碑がある場所は、封鎖地域になっている。入れるのは、国の研究機関の者だけだ。
 
「暗殺技術の専門家なのだろう。人に知られず動くことは得意なのではないか」
 
 グウェンティアは目眩を覚えた。あの場所は言わば、鬼門なのだ。石碑の周りには研究者の手による、魔術が施されている。勿論、解除する事は簡単だが、すぐに気付かれ、軍隊が送り込まれてくる。

「何人かが無謀にもそれをしたのよ。軍隊が来る事は判っていたのにね。好奇心の方が勝った結果よ」
 
 グウェンティアの言葉に、グロウは首を傾げた。

「解除したとしても、捕まる前に石碑の中に入ってしまえばいい」
「入るですって。あの場所にあるのは石碑だけで、周りには何もないのよ」
 
 石碑がある場所は小高い草原で、丈の短い草以外、目立った物はない。
 
「石碑に細かい文字が刻まれている事くらいは知ってるな」
 
 グロウは呆れたように問う。
 
「それ位、国中の人間が知ってるわよ」
「あれは月の民の文字で、魔術陣だ」
 
  グウェンティアは目を見開いた。

「つまり、石碑の魔術陣と呼応する魔術陣が存在してるわけ」
「発動させるには、おまえの額にあるものが必要だ。まがい物ではない、本物のだ」
 
 グウェンティアは眉を顰めた。一番嫌いな言葉だったからだ。三日月の痣は苦痛しかもたらさない。しかし、今、必要な印である事は間違いない。
 
「刺青では駄目な訳ね。生まれ持った者でなくてはならないと」
「そうだ」
 
 グウェンティアは溜息をついた。いくら調べても判らない筈だ。石碑の研究者は魔力はあるが、痣はない。

 彼等の額にあるのは、刺青だ。生まれた時、神殿で洗礼を受け、魔力の強さに応じて刻まれたものに過ぎない。
 
 グウェンティアは窓の外に視線を向けた。太陽はまだ高い位置にある。動くのは深夜になってからの方が都合が良かった。
 
「今夜、決行するわ。ぐずぐずするのは好きじゃない」
 
 これは始まりに過ぎないと、誰かが囁いているような気がした。
 
 グロウは金色の目を細め、彼女の足元にすり寄った。
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