銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

012 本心と無知

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 目の前に正座する会長を凝視する。本当に嫌味なくらい良い男だよ。魅力的な容姿とトップクラスの魔力。しかも、頭脳明晰、スポーツ万能。高身長。でも、自分の魔力に侵食されそうになってる。オレには分からないけどさ。
 
「オレは無意識に魔力を吸収するんだろう? だったらさ、する必要ないんじゃないか?」
 
 するっていうのはセックスのことだ! まだ、恥ずかしい年頃だから、口にするのは躊躇われるんだって!
 
「循環相手としての魔法は繋がった状態じゃないと無理なんだよ」
「どっち?」
「どっちも」
「……体もなのかよ?」
「そう。精神的にもだけど」
 
 でもよ。会長、無理矢理犯そうとしたよな?! どうやるかは知らないけどよ! オレが睨み付けると、察したように俯きやがった!
 
「循環相手としてじゃなくて、所有の魔法を使おうと思ってた」
 
 やっぱりか。
 
「それ、人権無視じゃねぇの?」
「……っ。分かってはいたんだけど」
 
 なんだかなぁ。こうやって見たら、やっぱり同い年の奴なんだな。雰囲気が大人っぽいのと、穏やかな感じだから、勘違いすっけどさ。思わず、頭を撫でちゃうくらいだ。会長は驚いたように顔を上げた。オレも驚きだけど。
 
「よく分かんねぇけど、切羽詰まってたんだろう?」
「ライカに比べればまだ、マシだと思うけどね」
 
 は?! 副会長?
 
「ライカの魔力は私より少し弱い程度で、魔力の質も同じ。暴走一歩手前だから」
 
 ……。
 ユエ、大丈夫かな? 猛獣に襲われてるかもしれねぇな。他人事だけどよ。オレよりこっちの知識はあるし、なんとかなるのかなぁ?
 
「……。それで……」
「会長はさ。オレを循環相手として欲しいの? それともさ、本当の意味で欲しいって思ってくれてんの?」
 
 オレに関して言えば、まだ、そんな感情が芽生えるほど、会長を認識してない。でもさ、会長はオレを観察してたんだろう? 答えによっては、全身全霊で拒絶させてもらうし。切羽詰まってるってのは、今の話でなんとなく分かっけど。それと心の問題は全く別だ。
 
「……」
「会長の答え次第で、オレ、別の人探す。どうせ、断っても次々来んだろ? 本意ではないけどさ」
 
 泣きそうな顔してるな。でも、感情を伴わない行為なんてさ、結局、最終的には苦痛になんだろ。お互いのためだろうし。
 
「……迷惑になる」
「なにが? 無理矢理、人の意思を無視した行動とられる方が迷惑なんだけどよ」
「私が依存する! 絶対!」
「オレだけなら、問題ねぇけど」
 
 ワンコロ軍団とかに靡いたり、フラフラされるなら、依存された方が楽だろう。まあ、自分の意思は持ってもらいてぇけど。言っておいて少しビビってはいるけど。
 
「……私に落ちてくれるなら、全部欲しい」
「それ、偽りない本心なわけ?」
「当たり前だ。反抗してて、考えを変えたくらいなんだ」
「そう。じゃあさ。オレはまだ、あんたにその感情はないの。落とす自信あるの?」
「……自信はないけど、振り向かせたい」
「じゃあ。受けてやるよ。ただし、今回だけだ。次に肌を重ねるのはオレの感情がハッキリしてから。落とす気あるんだろう?」
 
 会長、眉間にシワ刻んだな。なんか、今までとイメージ変わるわ。挑むようにオレを睨み付けて、頷いてきた。まあ、オレが負けるのは目に見えてるよな。この人、ほっとけねぇんだもん。でも、男同士でどうやってセックスすんだ?
 
 
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