銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

016 魔法と循環

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 やめてほしいと言いたいのに、口から飛び出す声は言葉をなさない。体の中に熱は溜まる一方で、どうしていいか分からない。じわじわとなにかが溢れてきて、それをどうしていいのか分からないんだ。
 
「サクヤ……」
 
 その声に彷徨っていた意識を無理矢理戻した。荒く息を吐き出すことに精一杯で、会長の存在が飛んでいたことに気が付いた。視線を会長に向けると、うっすら汗ばんだ額が目に入ってきた。
 
「よく聞いて。今からここに私が入る」
 
 そう言いながら、オレの中に埋め込んだ指を動かし、刺激してきた。体が無意識に跳ねる。嫌だと言っても、やめてくれないことは分かってる。それなのに、どうしてそんなことを訊いてくるんだよ。
 
「私が言う言葉を復唱して。分かるね?」
「……どうして……」
「私だけでは一方的で、支配してしまうことになる」
 
 それって、さっき言ってた所有の魔法? もしかして、同じものなのか?
 
「互いに詠唱しないと意味がない。声に出さなくてもいいから、心の内で言ってくれないか」
「……あ、むりィ……」
 
 意識が保ててるだけ奇跡だって……。多分さ、オレに痛みを与えないように快楽を植え付けようとしたんだと思うんだ。そのせいでさ、朦朧としてんの。なんとか頷いたりはできるけど、言葉を紡ぐのは無理っぽい。
 
「支配したくない。対等の立場でいたいんだ」
 
 言ってることは分かるけど、過剰な刺激が思考を曇らせてる。でも、それをしないと駄目なんだよな。話の感じで、支配されるんだって分かる。なんとか頭を横に振って意識を浮上させようと努力する。そして、小さく頷いてみせた。会長は微笑むと、オレに埋め込んでいた指を一気に引き抜いた。その刺激になにかが走り抜け、背中を弓なりに反らせた。今まで気が付いてなかったけど、かなり恥ずかしい格好をしていた。体を開いて、会長を両足の間に挟み込んでた。羞恥心すら湧かないほど、脳は惚けてたけどさ。
 
「……あっ」
 
 両足を胸に付くほど折り畳まれて、今まで解されていた場所を灼熱の何かが触れ、グッと押し入ってきた。微かな痛みと圧迫感。指なんて可愛いものだった。でも、そこは柔軟にその質量を飲み込もうと収縮してる。
 
「……いぁ……」
「サクヤ、力抜いて」
「……わから、……ひっ!」
 
 ゆっくり、確実に進んでくる灼熱。何がなんなのか分からなかった。ただ、繋がる行為だってのは分かっていて、でも、正確に理解してなかった。お尻の部分になにかがジョリっと押し当てられて、会長の動きが止まった。
 
「今から言うから、後に続いて」
 
 会長がオレの額にそれを当てて、聞いたこともない言葉を口にした。それを途切れ途切れに呟くように紡ぐ。少しずつ、体の真ん中が熱を持つ。心臓の辺りが熱を溜め込んで、オレの中になにかを刻み込む。
 
 いきなり塞がれた唇から、熱い舌が遠慮なく侵入し、オレの舌を絡め取った。最初は戸惑うばかりだったけど、何度もしているうちに、オレの方から会長の舌にそれを絡ませてた。温かくて柔らかい感触。オレの口内を荒らしていた舌が、オレの舌を絡め取って会長の口内に招き入れられた。自分とは違う体温。それがじんわりと体を熱くさせた。耳に届くのは遠慮を知らない淫らな水音。それすらも、心地よいと感じるほど、おかしくなってた。
 
 そして、いきなり始まった律動。オレの体内を埋め尽くしていた熱塊が容赦なく奥に押し入ってくる。その行為に慣れてない体が悲鳴を上げた。痛いとかじゃない。さっき散々、いじり倒されたその場所を狙ったかのように擦り上げる。何度も何度も激しく突き上げる動きに、思考がついていかない。口から迸るのは言葉をなさず、ただ、喘いでいるだけだ。
 
「……ごめん。初めてなのに無理をさせて。でも、私の魔力を浄化して」
「あ! 熱い! やああああ!」
 
 体の密着による熱さじゃない。もっと別の、今まで感じたことのない強い力の波動。会長から流れてきて、容赦なくオレの中に入り込む。侵食して体中を巡っていく。今まで感じていた魔力じゃない。暗く渦巻く、まさしく、澱みというのに相応しい濃度だった。
 
「あ……あっ! ……ひっ!」
 
 変な声しか出ない。突き上げてくるから、空気が口から出て行く。そのせいで声が抑えられない。会長が与えてくる刺激と、内側を侵食しようとする澱んだ魔力。その二つの刺激に上り詰めていこうとする体。溜まりに溜まった熱が、解放されようと蠢きだす。オレの熱だけじゃなく、全く別の何かが、誘導するように下腹部に熱を溜め込む。一度も触られてないのに痛いくらいに張り詰めていた。
 
「イッて」
 
 耳元で囁かれた言葉に、体は素直に反応した。溜まりに溜まった熱が体を痙攣させ、外へと放出される。何度も体を揺さぶられながら膨張を始めたオレとは違う熱。痙攣し、中に広がった熱い感触が奥の奥を侵食した。覚えているのはそこまでで、なんとか保てていた意識はプツリと音を立てて途絶えた。
 
 
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