銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
19 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

019 珍獣じゃねぇ!

しおりを挟む
 授業が始まる少し前、教室に担任? が入ってきた。職員室前の掲示板にユエと副会長の掲示物を貼り付けた教師だ。
 
「お前等四人。授業はいいからここにいてくれよ」
 
 何言ってやがる? って、疑問に思ってるのはオレだけかよ?!
 
「随分、早い対応ですね」
 
 ルイがオレに抱きついたまま目を細めた。
 
「二人の相手が特殊すぎんだよ。求愛したからな。調べたら吃驚だ。魔法省に連絡入れて、おかしなことになる前に手を打つことにしたんだよ。変な横槍入れてくる奴が必ず出てくるからな」
 
 特殊って……。俺は珍獣じゃねぇよ。待てよ。教師の言い方だとオレだけに向けた言葉じゃねぇよな?
 
「お前等、二人にちょっかいかけるなよ。ややこしくなる」
 
 教師が室内を見渡し、ガッツリ注意を促した。ややこしく?
 
「さっさと移動しろ。遅れるぞ」
 
 オレ達四人と何故か書記と会計も残して、あとは追い出された。この教師、特Aの奴等をものともしてねぇ。ある意味、最強だな。
 
「この人、元特Aなんだよ」
「は?!」
 
 ルイがオレの表情読みやがった!
 
「サクヤ、素直すぎるよ。顔に全部出てるし」
 
 ユエは呆れたように言いやがった……。そんなに面に出てるのかよ。
 
「この子だけが特殊じゃないの?」
 
 書記。オレに指向けんな……。
 
「ユエも特殊だったんだよ。隠れの魔力って知ってるか?」
「知るわけないでしょう。自分のだって特殊って聞いて吃驚してるくらいなのに」
 
 会計を背中に背負って、腕組んでる姿が異様だ。
 
「こっちは吸収型で放出型。コウガより強い」
「でしょうね。ルイの魔力を受けてケロっとしてんですもん」
 
 それと魔法省が繋がんねぇんだけど?
 
「循環の魔法は正常に働いてるな」
 
 教師の奴、頷いてっけどさ。オレにはチンプンカンプンだ。
 
「どうして、魔法省? に連絡すんだよ?」
「あ? 当然だろう。放出で吸収型だと、変に知られたら群がってくるぞ。隠れの魔力はリミッター外すと強力なんだよ。ライカのことだから、外しちまっただろう?」
「外した」
 
 副会長、その笑みはなんだ……。怖いんだけど。
 
「循環の魔法の首輪つけてても、外しにかかってくる。法的に手を打っとかないと危険な目にあうのはサクヤとユエだ。分かるか?」
 
 ユエは分かってるみたいだけどさ、オレにはサッパリだよ。首を捻ってると、教師の奴、あからさまに溜め息吐きやがった。
 
「これだから外部入学は……」
「悪かったな! 好きでこんな風に生まれたんじゃねよ!」
 
 思いっきり睨み付けてやった。こめかみの辺りがチリチリする。なんだ? 体が怠いのに、頭がスッキリしてる。これ、ヤバイ感じじゃないか。
 
「落ち着いて」
 
 ルイが耳元で囁く。落ち着く? なにに?
 
「これは危険だな」
 
 教師の一言に疑問。なにが危険なんだ?
 
「此奴、吸収放出型で隠れの魔力持ちか?!」
 
 なに言ってやがるんだよ。分かんねぇ。頭が重い。でも、クリアに何もかもが見える。
 
「凄いでしょう? 私も驚いたんで」
「面倒だ。特例許可申請する。さっさと婚姻してしまえ!」
 
 はあ?! 一気に話が飛びすぎだろうが?! なにがどうなってんだよ?!
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...