銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

023 絶対に慣れない!

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 ルイの腕に抱きついたまま連れてこられたのは表通りに面した立派な外観の店。なんか看板の創業年数が凄いことになってたけど、気にしないでおこう。魔法使いの常識を無理に飲み込もうとしたら、絶対、混乱すっからな。
 
「手を離しても大丈夫。ここは安全だから」
 
 店内に足を踏み入れるとルイは安心させるつもりなのか、優しい口調で語りかけてきた。
 
「店内を見てて」
 
 ルイはさっさと店の奥に歩いて行った。なんとなく不安になって、ユエと副会長の側に寄っていく。
 
「凄い店」
 
 ユエが驚いたように辺りを見回してっし。確かにこんな高級店ですって所に、足を踏み入れる前に、足が向かないよな。
 
 副会長だけど、なんか、店内物色を始めた。おい。なんだ、その買う気満々な顔。しかも、店員になにやら訊いてっし。
 
「こんなところ、なにしに来たんだろう?」
「なんか、注文してたみてぇ。副会長と話してただろう」
「そうだけどさ。ここまで財力の違いがあると驚く」
「ユエんとこは?」
「俺? 普通だよ。父さんもそんなに稼いでるわけじゃないしさ」
 
 ちょっとした疑問を持った。ユエんとこの両親は同性同士なのか?
 
「……あのよ」
「なに?」
「お前んとこの両親は同性なのか?」
 
 オレの質問に、ユエが固まった。変な質問じゃねぇよな?
 
「どうして?」
「気になるだろう。ルイの両親は同性だって言ってたしよ」
「……基本的に特A級の魔力を持たない魔法使いは異性婚だよ」
 
 ここでもう一つ疑問。
 
「循環相手がいない場合、人外の者と契約して魔力を循環させんだろう? その人達は?」
「大抵、未婚」
 
 鈍感なオレでも、なんとなく分かった。教師が攫われないように注意しろって言った意味。あの突き刺さるような視線は、循環相手を持たない、しかも、人外の者と契約してる奴等なんだよな。で、あわよくば、循環相手がいるのに強奪して、魔法を解除して、自分のモノにしようとしてんだよな。この場合、循環の魔法じゃなくてよ、支配の魔法を使うんだよな。魔法に疎いオレでも分かる。まあ、ルイから聞いてないと、全く理解できてなかったと思うけどよ。
 
「気を付けて。さっきの視線は強奪目的だよ。人のことは言えないんだけどさ」
「循環の魔法を使ったからかよ」
「そう。サクヤは会長の魔力のおかげでバレてなくて、俺は閉ざされてたから分からなかっただけだからさ」
 
 強い魔力を持ってる魔法使いって、ある意味、不便なのな。魔力が澱むとか、理解できねぇ。でも、ルイの魔力に触れたから、あの感じは呑まれたら大変だよな。
 
「二人でなに話してるの?」
「うわ?!」
 
 二人で振り返って吃驚だ。いつの間にかルイが背後にいた!
 
「サクヤ。利き手はどっち?」
「右だけど」
「そう。じゃあ、右手出してくれる」
 
 その言葉に首を捻りつつ、右手を差し出した。その右手首にルイが何かを嵌めた。って、これルイと同じデザインのブレスレットじゃねぇか!
 
「ここに杖を収納するから」
 
 つまり、これを注文してたのかよ。
 
「ルイ」
 
 副会長に呼ばれてルイはそっちに歩いて行った。オレの右手をユエが視界に収める。
 
「やっぱりね。そうじゃないかと思ってたよ」
 
 もう、金銭感覚が全然違うだろうが……。考えない方がいいのかよ。
 
 
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