銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

025 意思を持つ杖

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 ルイと副会長は嬉々としてオレとユエの手を握って店を出た。なんか、ルイがブレスレットの他に買ってたみてぇだけど、気にしない!
 
 本当だったら手なんか握らせねぇんだけど、さっきの突き刺さる視線を覚えてっし、攫われるのも勘弁だから素直に従っとく。
 
 次に訪れた店だけどさ、ここの創業年数も凄いことになってんだけど……。老舗?
 
 ルイは躊躇いなく店の中に足を踏み入れて、手を握られてるオレも自然と店内に入っちまう……。オレ、一般人だから。後ろを振り返ったら、ユエも驚いた顔してた。副会長は相変わらずだけどさ。
 
「これはルイ様。今日はどのような御用で?」
「私の恋人と友人の恋人の杖を選びに。それと、あの部屋を使わせてもらいたいんだよ」
 
 店主だと思うけどさ、吃驚した表情でオレに一瞬視線を向けた。
 
「ついに、お相手を見付けたのですね」
「見付けた、はちょっと違う表現だけどね」
「では、杖に選んでもらいましょう」
 
 ん? 杖を選ぶじゃなくて、今、杖に選んでもらうとか言わなかったか?
 
「なあ? 杖を選ぶじゃねぇのか?」
 
 オレの疑問にみんなが目を見開いた。おい、失礼だろう。オレは魔法使いの常識に疎いって、何度言えば分かんだよ!
 
「この方はもしや?」
「ああ、そうだよ。外部入学」
「高等部から?」
「そう」
「では、かなり特殊な方ですね。守るために高等部から入学ですから」
 
 守るため? 誰を?
 
「では、まず、杖を決めなくてはなりませんね」
 
 店主はそう言うと、オレを店の中央に立つように言った。なんで、店のど真ん中なんだよ。周りを見回しても杖らしいものはねぇしさ。
 
「なにが始まるんだよ」
「上を見てごらん」
 
 ルイに言われて、上を見上げた。視界に入った光景に吃驚だ。なにかが天井から生えてやがる!
 
「あれ、なんだよ?」
「杖だよ」
 
 杖って、生えるもんなのか?
 
「もしかして、生えてるとか思ってるの?」
 
 オレの顔色読むなよ。無知なのは知ってるからさ。
 
「杖は生えてるんじゃないよ。職人が一つ一つ丁寧に作ってる。ただね。杖には意思がある。だから、自分を使ってくれる魔法使いは自分自身で決めるんだよ」
 
 ちょっと待てよ。じゃあ、学校からレンタルしてた杖は?! ユエのはお下がりなんだろう?!
 
「稀に主人を決めない杖があってね。サクヤが学校から借りていたのはその主人を持たない杖だよ。お下がりは前使ってた人の血筋か、前の主人より強いと認めたときに譲られるんだ」
 
 杖って、そんなに複雑なのかよ。人間と変わらないじゃねぇか。
 
「始めますよ」
 
 店主はそう言うと杖を一振りした。少し霞んで見えていた頭上の杖がクリアになる。立っている床にはなにもなかった筈なのに、オレを中心に文様が浮かび上がる。って、これなんだよ?!
 
「凄いですね。あんなに杖が光ることは稀ですよ」
 
 は?! 光るってなんだよ。みんなが上を見てるからオレも顔を上げた。無数の杖が言葉通り光ってやがる! わけ分かんねぇって?!
 
「あれを全部確認するんだよ。時間がかかるね」
「サクヤって、やっぱり珍獣だよ」
 
 ルイ、全部って、凄い数じゃねぇか! で、ユエ! 今、サラッと失礼なこと言わなかったか?!
 
「ここの杖は気難しいって有名だよね? それなのにあの数は凄いな」
 
 副会長、店によって杖の性格が違うのかよ? そもそも、杖に性格があるかは謎だけどよ。
 
「では、杖の選択を始めましょう」
 
 オレ、体力持つかな? 本当に凄い数なんだよ。
 
 
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