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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
026 話す壁
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発光している杖が音もなく降りてきて、オレを取り囲む。……これ、危険はないのかよ。
「それでは、あちらに体を向けていただけますか?」
店主が言ったのは、入り口から入って右側の壁。うん。壁しかねぇ。この店自体が吹き抜けのような高い天井の作りだから、まさに壁! って感じだ。
……確かに壁だけどさ、薄っすら見える膜みたいなのはなんだ? 杖との境界線のようにあった膜みたいなのに似てっけどさ。
「目の前の杖を持って、壁に向かって振ってもらえますか?」
指示通り目の前に浮いている杖を持って、軽く振ってみた。瞬間、凄い轟音とともになにかが迸る。おい。これはなんだよ……。思わず杖を離しちまった。手を離しても杖が落下しないのは不思議だよな。目の前の壁は傷一つない。あの膜、防護壁みたいなもんか?
「この杖では駄目ですね。杖が魔力を制御できてません」
借りてた杖の方が合ってたんじゃねぇの? 手を離した杖が音もなく還っていく。待て。これを繰り返すのかよ。まだ、最初だしさどうってことねぇけど、続けたら確実に魔力が底尽きるだろうよ。
「続けてください」
店主よ。オレは今猛烈に拒絶したいぞ。一回だけなのによ、体が怠い……。
「あとで補給してあげるから、続けてね」
ルイの奴、オレが不満を表情に出したの、的確に読み取りやがった。小さく溜め息を吐いて、次の杖を手に持つ。軽く振ると今度は不発だ。杖とオレのなにかが合わない感じがする。
「素直な感じがするんですけどね。なにか変わった魔力の持ち主のようですね」
「まあね。私の相手なんだし、一筋縄でいくわけがないでしょう?」
「杖があれだけ反応した意味が理解できました。あの中にあるといいんですけどね」
おい。その言い方。もしかしたら、試すだけ試して、合うのがないとか言い出す気じゃねぇだろうな……。
「無かったら、私のように別室?」
「そうですね。あそこは更に癖が強いんですけどね」
……。オレはルイみたいに曲者じゃねぇぞ。
一通り試して、やっぱり、見付からなかった! 失った魔力を返せ! 怠い。
「全滅ですね」
「やっぱり、珍獣」
なんとでも言えよ。
「では、サクヤ様のは後回しにして、もうひと方の杖を決めましょう」
素直にルイの場所まで下がって、代わりにユエがオレがいた場所に立った。反応した杖は少なかったし、サクッと決まりやがった。納得できねぇって。で、今、背中にルイを背負ってたりする。
「では、隣の部屋へ」
店主に促されて反対側の壁に向かった。扉の存在を確認できねぇんだけど……。店主が杖で壁を叩くと、なぜかヌッと顔が出てきた。は?! 顔って?!
「決まらなかったのかい?」
「そうです。あちらの部屋にある杖に選んでもらいますから」
壁が話した……。なんでもありだな。顔がスッと消えて、入り口が現れた。もう、オレの今までの常識が常識じゃねぇよ。
「また、たくさん試すのかよ……?」
杖選びがこんなに重労働だとは思わなかったぜ。
「大丈夫だよ。多分、一つしか反応しないと思うからね」
へ?
「こちら側の杖は製作者が既に没しています。年季だけならそのあたりにいる魔法使いよりも生きてますよ。私がここをまかされる前から存在している杖もありますからね」
……脳裏に浮かんだのは、この店の入り口に掲げられた創業年数。
「それって……」
「一番古いのはこの店が始まった時からいますよ」
マジかよ!
「それでは、あちらに体を向けていただけますか?」
店主が言ったのは、入り口から入って右側の壁。うん。壁しかねぇ。この店自体が吹き抜けのような高い天井の作りだから、まさに壁! って感じだ。
……確かに壁だけどさ、薄っすら見える膜みたいなのはなんだ? 杖との境界線のようにあった膜みたいなのに似てっけどさ。
「目の前の杖を持って、壁に向かって振ってもらえますか?」
指示通り目の前に浮いている杖を持って、軽く振ってみた。瞬間、凄い轟音とともになにかが迸る。おい。これはなんだよ……。思わず杖を離しちまった。手を離しても杖が落下しないのは不思議だよな。目の前の壁は傷一つない。あの膜、防護壁みたいなもんか?
「この杖では駄目ですね。杖が魔力を制御できてません」
借りてた杖の方が合ってたんじゃねぇの? 手を離した杖が音もなく還っていく。待て。これを繰り返すのかよ。まだ、最初だしさどうってことねぇけど、続けたら確実に魔力が底尽きるだろうよ。
「続けてください」
店主よ。オレは今猛烈に拒絶したいぞ。一回だけなのによ、体が怠い……。
「あとで補給してあげるから、続けてね」
ルイの奴、オレが不満を表情に出したの、的確に読み取りやがった。小さく溜め息を吐いて、次の杖を手に持つ。軽く振ると今度は不発だ。杖とオレのなにかが合わない感じがする。
「素直な感じがするんですけどね。なにか変わった魔力の持ち主のようですね」
「まあね。私の相手なんだし、一筋縄でいくわけがないでしょう?」
「杖があれだけ反応した意味が理解できました。あの中にあるといいんですけどね」
おい。その言い方。もしかしたら、試すだけ試して、合うのがないとか言い出す気じゃねぇだろうな……。
「無かったら、私のように別室?」
「そうですね。あそこは更に癖が強いんですけどね」
……。オレはルイみたいに曲者じゃねぇぞ。
一通り試して、やっぱり、見付からなかった! 失った魔力を返せ! 怠い。
「全滅ですね」
「やっぱり、珍獣」
なんとでも言えよ。
「では、サクヤ様のは後回しにして、もうひと方の杖を決めましょう」
素直にルイの場所まで下がって、代わりにユエがオレがいた場所に立った。反応した杖は少なかったし、サクッと決まりやがった。納得できねぇって。で、今、背中にルイを背負ってたりする。
「では、隣の部屋へ」
店主に促されて反対側の壁に向かった。扉の存在を確認できねぇんだけど……。店主が杖で壁を叩くと、なぜかヌッと顔が出てきた。は?! 顔って?!
「決まらなかったのかい?」
「そうです。あちらの部屋にある杖に選んでもらいますから」
壁が話した……。なんでもありだな。顔がスッと消えて、入り口が現れた。もう、オレの今までの常識が常識じゃねぇよ。
「また、たくさん試すのかよ……?」
杖選びがこんなに重労働だとは思わなかったぜ。
「大丈夫だよ。多分、一つしか反応しないと思うからね」
へ?
「こちら側の杖は製作者が既に没しています。年季だけならそのあたりにいる魔法使いよりも生きてますよ。私がここをまかされる前から存在している杖もありますからね」
……脳裏に浮かんだのは、この店の入り口に掲げられた創業年数。
「それって……」
「一番古いのはこの店が始まった時からいますよ」
マジかよ!
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