銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

031 魔法と古代語

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 案内された部屋はガランとしていた。なにも物が置かれていない。
 
「サクヤ、部屋の中央に立って。私の方を向いてくれる」
 
 また、部屋の真ん中かよ。逆らったら怖いしさ、従うけど。
 
「あとは?」
「大人しく立ってて」
 
 ルイは指を鳴らすと杖を手に持った。何かを呟くとオレの足元に淡い光を放つ文様が放射状に広がる。これ、魔法陣?!
 
 昨日から思ってたけどよ、ルイって魔法を使うとき、聞いたことない言葉を使うんだよ。学校では今の言葉で魔法を教えてるのに。
 
 手に持っていた杖がふわりと浮いて、右手首に嵌められたブレスレットが淡く光り出す。それと呼応するように杖も淡く光って、いきなり視界から消えた……。消えた?! ルイはまだ、何かを呟いていて、オレの右手首のブレスレットが一瞬、強烈な光りを放つ。目を瞑って光りを回避して、恐る恐る目を開けた。
 
「サクヤ。指を鳴らしてみて」
「へ?」
「確かめるから」
 
 素直に頷いて、ハタッと思う。オレ、指鳴らせるかな?  やったことねぇんだけど。ルイがやっていたことを思い出し、右手の指を鳴らしてみた。音はイマイチだったけど、手元にさっきまで持っていた杖が現れる。なんだろう。慌てなくても杖は右手に収まった。
 
「上手くいったね」
「古代語で魔法を使うの?」
 
 古代語? 副会長の言葉にオレは首を傾げる。
 
「複雑なのはね。循環の魔法も古代語で行ったよ。今の言葉より、強い力を持ってるからね」
「そうなんだ。俺もそうすれば良かったな」
「もう一度、掛け直しも可能でしょう? 相手は同じなんだし」
「サクヤは古代語は無理でしょう?」
「復唱させたから」
「その手があったか」
 
 へ? あの変な言葉、古代語だったのか?!
 
「サクヤ。終わったからそこから離れて。次、ライカね」
 
 素直に場所を明け渡して、手に持っていた杖を離してみた。そうしたら、見事に視界から消えた。どういった仕組みなんだよ。分からねぇ。
 
「凄い。俺、古代語の魔法って初めて見た」
「そんなに珍しいのかよ?」
「古代語自体が複雑なんだ。今の言葉より確かに文字数は少ないんだけど、間違えた使い方をすると取り返しがつかないし」
「それって……」
「効果が強いってことは、反動も大きいんだ。多分、ここの店主が杖を収納するときに使う魔法は現代語だと思う。だから、決まった手順で作られたブレスレットが必要なんだと思うよ」
「……珍獣」
「なに言ってるの。珍獣はサクヤだろう」
 
 もうなんていうか、ユエの中でオレは確実に変わり者認定なんだな。否定するのも面倒になってきた。
 
「次、ユエ」
 
 ユエはルイに呼ばれて歩いて行った。目の前の光景がこれから日常になるのかな? ルイの近くにいるってことは、そういうことだよな。
 
 三つの杖とブレスレットに魔法を掛けたルイだけど、ケロっとしてやがるし。やっぱり、普通じゃねぇよ。
 
「凄いですね。それに、かなり複雑な魔法です」
「収納だけじゃないからね。衝撃や傷等にも強くしておかないといけないし。付けっ放しになるから、汚れないようにする魔法も掛けてるしね」
 
 おい、それを一回の魔法で一気に掛けれるルイって、高校に通う必要ないじゃねぇか。下手したら、教師より詳しいんじゃねぇの?!
 
「代金だけど、いつもの方法で」
「畏まりました」
「ライカは?」
「俺も同じで」
「分かりました」
 
 あのさ、それで通じるってどういうことよ? やっぱり、魔法使いって分かんねぇ! 慣れる日が来るのか疑問だわ。
 
 
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