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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
038 火の鳥と雛
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一通り買い物を終わらせて、寮に戻ってきたときにはグッタリだった。
「このパン、どうしようか?」
「今更、食堂に行くのもね」
寮にはそれぞれ食堂完備だ。流石、金持ち学校。
「私が簡単なものを作ろうか?」
「その前に、火の鳥に会わせてくれない? 確かめないと」
「そうだね」
ルイのやつ、そう言いながら部屋の奥の方に歩いてった。この部屋、無駄に広いんだよ。その後をついて行って、開かれた扉に吃驚だ。
「卵を見せてくれる?」
ルイ、普通に語りかけてっし。
「え? 連れてこい?」
オレにはギャアギャア鳴いてるようにしか聞こえねぇって。
「あれ、ユエも分かるの?」
「分かるわけないだろう。主従関係が成立してるから分かるんだよ」
「じゃあ、副会長も、分からないの?」
「分からないね」
未知の世界だよ。
「サクヤ、こっちに来て」
「行ってらっしゃい」
……行くしかねぇのかよ。観念してルイの隣まで歩いて行った。火の鳥って言うから、てっきり、燃えてんのかと思った。でもさ、綺麗なんだよな。不思議な色合いの赤い色で。尾羽が長くて。瞳なんか俺より賢そうだしさ。
「この卵、持ってみて」
「は?!」
「この子がそうして欲しいって」
「どうして?!」
「孵化するのにサクヤの魔力が必要なんだって」
……もう、付いてけねぇ?! おっかなびっくり卵を持ち上げる。かなり大きな卵だよな。両手で持てるくらいの大きさだ。しかも、色合いがさ綺麗な赤。
「?」
ピシッと卵の表面にヒビが入る。一生懸命、内側から卵の殻を突いて壊してるのが分かる。えっと、これって割るの手伝ったら駄目なんだよな。嘴が見えて来た。
「キュウ……」
卵からポテッと出てきたのは、目の前にいる火の鳥と同じ色合いの、まさにポテッとした小鳥? 雛?
「わあ、火の鳥って初めて見たけど、会長のはまさに火の鳥。で、サクヤの手の中のは……」
言いたいことは分かる。こいつ、同じ生き物かよ。親鳥? は、スッとした感じの美人? でもよ、手の中でキュウキュウ鳴いてるのは、真ん丸い同じ色の鳥だけど、別の生き物に見える。
「知らなかったよ。火の鳥って、雛の孵化に魔力が必要なんだね」
「ギャアギャア!」
「え? 違うの? 本当は火の中に放り投げる?! ええっ!」
卵が程よく固まって、いい感じに焼き上がんじゃねぇの。それ、乱暴だろう。
「ギャアギャア」
「本当は火山……、いや、もういいよ。想像できるから」
つまり、鳥は卵を温めるっていう、一般の鳥の常識が通じないのが火の鳥なんだ。変なところだけ賢くなった。いや、いらねぇけど。
「これ、どうすんだよ」
当然、途方に暮れるオレ。親鳥に返したらいいのかよ。
「ちょっと貸して」
ルイがそう言うと、なぜかオレの頭に雛を乗せた。……なんでだ?
「多分、サクヤを視界に収めてるだろうから、サクヤを親だと思ってるんだよ。ある程度、知能が備わるまでここね」
「何日、頭に乗っけてたらいいんだよ」
「一時間くらいじゃない。普通の鳥と違うしね」
そして、ルイは親鳥に問い掛けてる。本当に会話が成立してることが不思議だよ。
「寝るまでそのままで、だって。寝るときに、ここに戻してくれたらいいって」
まあ、邪魔じゃねぇし。若干、頭の上が気になるから、動きはぎこちなくなるけどさ。
「じゃあ、オムレツでも作ろうか」
「それいいね」
「野菜スープも」
「それは俺が作るよ」
ルイと副会長が楽しそうに歩いてった。
「よかったな。これで手紙を運んでもらえる」
「こいつ、育つのにどんだけかかるんだよ」
「さあ?」
……その前に、両親が卒倒する可能性があるじゃねぇか。それをどうやって知らせんだよ。
「このパン、どうしようか?」
「今更、食堂に行くのもね」
寮にはそれぞれ食堂完備だ。流石、金持ち学校。
「私が簡単なものを作ろうか?」
「その前に、火の鳥に会わせてくれない? 確かめないと」
「そうだね」
ルイのやつ、そう言いながら部屋の奥の方に歩いてった。この部屋、無駄に広いんだよ。その後をついて行って、開かれた扉に吃驚だ。
「卵を見せてくれる?」
ルイ、普通に語りかけてっし。
「え? 連れてこい?」
オレにはギャアギャア鳴いてるようにしか聞こえねぇって。
「あれ、ユエも分かるの?」
「分かるわけないだろう。主従関係が成立してるから分かるんだよ」
「じゃあ、副会長も、分からないの?」
「分からないね」
未知の世界だよ。
「サクヤ、こっちに来て」
「行ってらっしゃい」
……行くしかねぇのかよ。観念してルイの隣まで歩いて行った。火の鳥って言うから、てっきり、燃えてんのかと思った。でもさ、綺麗なんだよな。不思議な色合いの赤い色で。尾羽が長くて。瞳なんか俺より賢そうだしさ。
「この卵、持ってみて」
「は?!」
「この子がそうして欲しいって」
「どうして?!」
「孵化するのにサクヤの魔力が必要なんだって」
……もう、付いてけねぇ?! おっかなびっくり卵を持ち上げる。かなり大きな卵だよな。両手で持てるくらいの大きさだ。しかも、色合いがさ綺麗な赤。
「?」
ピシッと卵の表面にヒビが入る。一生懸命、内側から卵の殻を突いて壊してるのが分かる。えっと、これって割るの手伝ったら駄目なんだよな。嘴が見えて来た。
「キュウ……」
卵からポテッと出てきたのは、目の前にいる火の鳥と同じ色合いの、まさにポテッとした小鳥? 雛?
「わあ、火の鳥って初めて見たけど、会長のはまさに火の鳥。で、サクヤの手の中のは……」
言いたいことは分かる。こいつ、同じ生き物かよ。親鳥? は、スッとした感じの美人? でもよ、手の中でキュウキュウ鳴いてるのは、真ん丸い同じ色の鳥だけど、別の生き物に見える。
「知らなかったよ。火の鳥って、雛の孵化に魔力が必要なんだね」
「ギャアギャア!」
「え? 違うの? 本当は火の中に放り投げる?! ええっ!」
卵が程よく固まって、いい感じに焼き上がんじゃねぇの。それ、乱暴だろう。
「ギャアギャア」
「本当は火山……、いや、もういいよ。想像できるから」
つまり、鳥は卵を温めるっていう、一般の鳥の常識が通じないのが火の鳥なんだ。変なところだけ賢くなった。いや、いらねぇけど。
「これ、どうすんだよ」
当然、途方に暮れるオレ。親鳥に返したらいいのかよ。
「ちょっと貸して」
ルイがそう言うと、なぜかオレの頭に雛を乗せた。……なんでだ?
「多分、サクヤを視界に収めてるだろうから、サクヤを親だと思ってるんだよ。ある程度、知能が備わるまでここね」
「何日、頭に乗っけてたらいいんだよ」
「一時間くらいじゃない。普通の鳥と違うしね」
そして、ルイは親鳥に問い掛けてる。本当に会話が成立してることが不思議だよ。
「寝るまでそのままで、だって。寝るときに、ここに戻してくれたらいいって」
まあ、邪魔じゃねぇし。若干、頭の上が気になるから、動きはぎこちなくなるけどさ。
「じゃあ、オムレツでも作ろうか」
「それいいね」
「野菜スープも」
「それは俺が作るよ」
ルイと副会長が楽しそうに歩いてった。
「よかったな。これで手紙を運んでもらえる」
「こいつ、育つのにどんだけかかるんだよ」
「さあ?」
……その前に、両親が卒倒する可能性があるじゃねぇか。それをどうやって知らせんだよ。
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