銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

041 究極の選択

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 ルイが学校を留守にしてから三日が経った。いつも隣にあった姿がないと、寂しんもんなんだな。一緒に過ごしたのが十日くらいだけど、ずっと一緒にいた感覚があって、不思議なんだけどさ。
 
 ルイが不在の間、なぜか副会長が一学年の授業を一緒に受けてる。……しかもよ、教師の奴、全く気にしてねぇばかりか、質問振ってきやがる。おかしくないか?
 
「随分、帰ってこないな」
「調べられてるんだと思うよ。あの魔力をほんとうに浄化できてるのか」
 
 浄化?
 
「あのよ。浄化って?」
「循環したなら、その身に受けたでしょう? 辛くなかった?」
 
 あの、灼けるような感じか? 辛くはあったけど、耐えられないほどじゃなかったしさ。
 
「平気だったみたいだね」
「熱かった記憶しかねぇよ」
「本当に珍獣」
 
 ユエだけじゃなく、副会長も酷い言いようだな!
 
「言っていいものなのか。でも、知っておかないと後で大変だろうしね」
「どういうことだよ」
「ルイはかなり凄い監視下で育ったんだよ。ある人物の二の舞にならないようにね」
 
 意味が分からねぇんだけど。
 
「魔法省に問題視された魔力を持っているのが、今現在二人。本来ならルイじゃないもう一人は魔法省地下に幽閉されてなきゃならない。でもね……」
 
 そこで言葉を濁すなよ。
 
「逃亡中なんだよ。魔力の強さは群を抜いてる。その道のプロが探しても見つからない。しかも、あり得ない者達を使い魔にしてる」
「あり得ないって?」
「人外の者。妖魔とかの類だよ。ルイが火の鳥に好かれたのは、不思議でもなんでもないんだよ」
 
 妖魔って、なんだよ。
 
「ルイが使い魔にしている火の鳥が陽なら、妖魔は負だ。ここで問題なのが、ルイにはサクヤがいて、そいつには相手がいない。間違いなく、サクヤを手に入れようと狙ってくる」
 
 ますます分からねぇよ。
 
「負の魔力ではなく、全く逆の魔力を持ち、なおかつ、同じだけの器を持つ者。そんな人、そうそういないよね?」
 
 それって……!
 
「問題はサクヤは一人で、最強の負の魔力を持つ者が二人。サクヤ自身が選んだとして、問題が解決するかといえば、解決するわけじゃない」
 
 自然と体が震える。いくら頭が悪くったってさ、今ので分からないほど莫迦じゃない。
 
「もう一つの問題はルイが魔法省の厳重な監視下で育ったのに対し、もう一人は野放し。気が付いたときには人格そのものが破綻してた。でもね。そういう奴って本能は人並み以上なんだよ」
 
 ルイが言ってたのはこのことなのかよ。
 
「気がついてないかもしれないけど、俺だけじゃなく、学校中の教師や特Aのある一定の魔力を有する人達がサクヤを守ってるよ。それでも、完全じゃない」
「……自覚しろって言うのかよ」
「違うよ。覚悟だよ。もし、攫われたとしてその身に起こるのは間違いなく苦痛だよ。ルイは対等の立場を望んだ。でもね、そいつは確実に隷属の魔法を使う。サクヤの人格なんて必要ないんだ。必要なのは魔力を受け止める資質と器だからね」
 
 でもさ、循環の魔法があるだろう?!
 
「そいつなら、循環の魔法を無効化できる。今まで貴方を狙ってた輩とは全く違うよ。ルイと同じだけの負の魔力を持ち、人格が破綻してるんだから」
 
 なんの覚悟を決めるんだよ。
 
「捕まったとして、貴方が持つ覚悟は、自分自身の人格を守るか、体を守るかだよ。人格を守ろうとするなら、命を失う覚悟を持たなきゃならない。命を守るなら、傀儡となることを受け入れなきゃならない。その、覚悟だよ」
 
 副会長は畳み掛けるようにオレに告げた。それは、究極の選択だった。
 
 
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