41 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
041 究極の選択
しおりを挟む
ルイが学校を留守にしてから三日が経った。いつも隣にあった姿がないと、寂しんもんなんだな。一緒に過ごしたのが十日くらいだけど、ずっと一緒にいた感覚があって、不思議なんだけどさ。
ルイが不在の間、なぜか副会長が一学年の授業を一緒に受けてる。……しかもよ、教師の奴、全く気にしてねぇばかりか、質問振ってきやがる。おかしくないか?
「随分、帰ってこないな」
「調べられてるんだと思うよ。あの魔力をほんとうに浄化できてるのか」
浄化?
「あのよ。浄化って?」
「循環したなら、その身に受けたでしょう? 辛くなかった?」
あの、灼けるような感じか? 辛くはあったけど、耐えられないほどじゃなかったしさ。
「平気だったみたいだね」
「熱かった記憶しかねぇよ」
「本当に珍獣」
ユエだけじゃなく、副会長も酷い言いようだな!
「言っていいものなのか。でも、知っておかないと後で大変だろうしね」
「どういうことだよ」
「ルイはかなり凄い監視下で育ったんだよ。ある人物の二の舞にならないようにね」
意味が分からねぇんだけど。
「魔法省に問題視された魔力を持っているのが、今現在二人。本来ならルイじゃないもう一人は魔法省地下に幽閉されてなきゃならない。でもね……」
そこで言葉を濁すなよ。
「逃亡中なんだよ。魔力の強さは群を抜いてる。その道のプロが探しても見つからない。しかも、あり得ない者達を使い魔にしてる」
「あり得ないって?」
「人外の者。妖魔とかの類だよ。ルイが火の鳥に好かれたのは、不思議でもなんでもないんだよ」
妖魔って、なんだよ。
「ルイが使い魔にしている火の鳥が陽なら、妖魔は負だ。ここで問題なのが、ルイにはサクヤがいて、そいつには相手がいない。間違いなく、サクヤを手に入れようと狙ってくる」
ますます分からねぇよ。
「負の魔力ではなく、全く逆の魔力を持ち、なおかつ、同じだけの器を持つ者。そんな人、そうそういないよね?」
それって……!
「問題はサクヤは一人で、最強の負の魔力を持つ者が二人。サクヤ自身が選んだとして、問題が解決するかといえば、解決するわけじゃない」
自然と体が震える。いくら頭が悪くったってさ、今ので分からないほど莫迦じゃない。
「もう一つの問題はルイが魔法省の厳重な監視下で育ったのに対し、もう一人は野放し。気が付いたときには人格そのものが破綻してた。でもね。そういう奴って本能は人並み以上なんだよ」
ルイが言ってたのはこのことなのかよ。
「気がついてないかもしれないけど、俺だけじゃなく、学校中の教師や特Aのある一定の魔力を有する人達がサクヤを守ってるよ。それでも、完全じゃない」
「……自覚しろって言うのかよ」
「違うよ。覚悟だよ。もし、攫われたとしてその身に起こるのは間違いなく苦痛だよ。ルイは対等の立場を望んだ。でもね、そいつは確実に隷属の魔法を使う。サクヤの人格なんて必要ないんだ。必要なのは魔力を受け止める資質と器だからね」
でもさ、循環の魔法があるだろう?!
「そいつなら、循環の魔法を無効化できる。今まで貴方を狙ってた輩とは全く違うよ。ルイと同じだけの負の魔力を持ち、人格が破綻してるんだから」
なんの覚悟を決めるんだよ。
「捕まったとして、貴方が持つ覚悟は、自分自身の人格を守るか、体を守るかだよ。人格を守ろうとするなら、命を失う覚悟を持たなきゃならない。命を守るなら、傀儡となることを受け入れなきゃならない。その、覚悟だよ」
副会長は畳み掛けるようにオレに告げた。それは、究極の選択だった。
ルイが不在の間、なぜか副会長が一学年の授業を一緒に受けてる。……しかもよ、教師の奴、全く気にしてねぇばかりか、質問振ってきやがる。おかしくないか?
「随分、帰ってこないな」
「調べられてるんだと思うよ。あの魔力をほんとうに浄化できてるのか」
浄化?
「あのよ。浄化って?」
「循環したなら、その身に受けたでしょう? 辛くなかった?」
あの、灼けるような感じか? 辛くはあったけど、耐えられないほどじゃなかったしさ。
「平気だったみたいだね」
「熱かった記憶しかねぇよ」
「本当に珍獣」
ユエだけじゃなく、副会長も酷い言いようだな!
「言っていいものなのか。でも、知っておかないと後で大変だろうしね」
「どういうことだよ」
「ルイはかなり凄い監視下で育ったんだよ。ある人物の二の舞にならないようにね」
意味が分からねぇんだけど。
「魔法省に問題視された魔力を持っているのが、今現在二人。本来ならルイじゃないもう一人は魔法省地下に幽閉されてなきゃならない。でもね……」
そこで言葉を濁すなよ。
「逃亡中なんだよ。魔力の強さは群を抜いてる。その道のプロが探しても見つからない。しかも、あり得ない者達を使い魔にしてる」
「あり得ないって?」
「人外の者。妖魔とかの類だよ。ルイが火の鳥に好かれたのは、不思議でもなんでもないんだよ」
妖魔って、なんだよ。
「ルイが使い魔にしている火の鳥が陽なら、妖魔は負だ。ここで問題なのが、ルイにはサクヤがいて、そいつには相手がいない。間違いなく、サクヤを手に入れようと狙ってくる」
ますます分からねぇよ。
「負の魔力ではなく、全く逆の魔力を持ち、なおかつ、同じだけの器を持つ者。そんな人、そうそういないよね?」
それって……!
「問題はサクヤは一人で、最強の負の魔力を持つ者が二人。サクヤ自身が選んだとして、問題が解決するかといえば、解決するわけじゃない」
自然と体が震える。いくら頭が悪くったってさ、今ので分からないほど莫迦じゃない。
「もう一つの問題はルイが魔法省の厳重な監視下で育ったのに対し、もう一人は野放し。気が付いたときには人格そのものが破綻してた。でもね。そういう奴って本能は人並み以上なんだよ」
ルイが言ってたのはこのことなのかよ。
「気がついてないかもしれないけど、俺だけじゃなく、学校中の教師や特Aのある一定の魔力を有する人達がサクヤを守ってるよ。それでも、完全じゃない」
「……自覚しろって言うのかよ」
「違うよ。覚悟だよ。もし、攫われたとしてその身に起こるのは間違いなく苦痛だよ。ルイは対等の立場を望んだ。でもね、そいつは確実に隷属の魔法を使う。サクヤの人格なんて必要ないんだ。必要なのは魔力を受け止める資質と器だからね」
でもさ、循環の魔法があるだろう?!
「そいつなら、循環の魔法を無効化できる。今まで貴方を狙ってた輩とは全く違うよ。ルイと同じだけの負の魔力を持ち、人格が破綻してるんだから」
なんの覚悟を決めるんだよ。
「捕まったとして、貴方が持つ覚悟は、自分自身の人格を守るか、体を守るかだよ。人格を守ろうとするなら、命を失う覚悟を持たなきゃならない。命を守るなら、傀儡となることを受け入れなきゃならない。その、覚悟だよ」
副会長は畳み掛けるようにオレに告げた。それは、究極の選択だった。
10
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
神官姫と最強最弱の王
深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。
隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。
※週一回 マイペース更新
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる