銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
54 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

054 魔力の癖 -sideルイ-

しおりを挟む
 隣に沈んだ体。ほんのり肌をピンクに染めて、私を受け入れてくれた存在。少し額に張り付いた髪を払う。本人は平凡だと言うけれど、それは違うと思う。私では持ち得ない、くるくると変わる表情と感情。それが、愛おしいと思った。その感情を与えてくれた、サクヤ、という存在を大切にしていきたい。
 
 サクヤに言ったように、闇に染まった魔法使いは、まるで光に集まる羽虫のようにサクヤに群がってくる。こればかりは、仕方がない。そういう私も大差ないのだから。
 
「……ルイ?」
「起こした?」
「違う。お腹すいた」
 
 外は闇の帳が下りてるけど、夕食がまだだった。
 
「お風呂は?」
「……うん。そっちが先」
 
 受け入れる方はやっぱり体に負担がかかるからね。
 
「少し待ってて」
 
 何も身につけないまま、バスルームへ行きバスタブにお湯を溜める。温度を確認してサクヤを迎えに行く。返事を聞かずに抱き上げると、少し驚いた表情を見せた。
 
「自分で歩ける!」
「腰が立たないと思うけど」
 
 それに、声も凄いことになってるからね。浴室はお湯のおかげでほんのり温まっていた。サクヤを座らせて、後ろの処理をしようと手を伸ばすと、思いっきり拒絶された。
 
「自分で!」
「さっさと終わらせてご飯を食べよう」
 
 抵抗が抵抗じゃないからね。体を押さえつけて。中に出したものを掻き出した。スポンジにボティーソープを泡立てて、肌を優しく洗う。さっきの行為は私的には本意じゃない。サクヤに求められなければ、勉強をするだけで、今日は休む予定だったから。だから、なるべく肌を刺激しないように心掛ける。それでも行為の後で、肌は少しの刺激にも反応を示してしまう。
 
「体辛くない?」
「大丈夫だよ。それにさ、強請ったのはオレなんだしさ」
「それでもね。受け入れる方の負担は大きいからね」
「……うう……、確かに体中が筋肉痛みたいだけどさ。これって、慣れるようになるのかよ?」
「さあ? 経験がないからね」
 
 振り返ったサクヤの表情がおかしなことになってるね。
 
「……経験がないくせに、なんで、詳しいんだよ?」
「魔力がね」
「そんな情報まで魔力ってのは取集するのかよ?」
「貪欲だからね。小さいときは困ったよ。頭の許容量を超える情報を持ってくるから」
 
 サクヤの表情が面白いことになってるね。
 
「オレの魔力は?」
「サクヤの魔力は情報収集より、周りの安全を優先するからね。ご両親、病気とかになりにくくなかった? 周りが風邪をひいていても、結構、平気だったでしょう?」
 
 思いっきり目を見開いてる。やっぱり、知らなかったんだね。
 
「多分だけど、この行為で体に負担はかかるだろうけど、他の人よりサクヤは回復が早いと思うよ。魔力が修復しようとするからね」
 
 体を洗い終えて、泡をシャワーで流す。頭も洗って、サクヤをお湯を並々と注いだバスタブにゆっくりと浸す。少し温めにしたし、大丈夫だと思うけど。
 
「熱い?」
「少し温いかも?」
「ゆっくり浸かった方が疲れが取れるからね」
 
 私はそういうと、自分の体を洗い、同じバスタブに体を浸す。個室のバスタブにしてはかなり大きいから、男二人くらいなら楽々だし。
 
「あのさ」
「なに?」
「この行為って、どれくらいの頻度でするものなんだよ」
「さあ?」
「そこの情報収集は?!」
「してないね。魔力的にはそこに関しての興味がなかったんだろうね」
 
 サクヤを後ろから抱き締めて右肩の上に顎を乗せる。サクヤの体温が気持ちいい。
 
「他人事かよ」
「私の意思で収集してきてるわけじゃないしね」
 
 今も勝手に情報収集してるよ。他人事と言われて、確かに他人事だよね。おかしいけど。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...