銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
58 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

058 制御と水晶

しおりを挟む
 とりあえず、オレは狙われてるんだから、できることは努力する! その一つが魔法の勉強。まず、魔力を理解することが先決だ。他の奴等は呪文唱えて杖振ると魔法が発動する。オレの場合、まず、呪文を唱えても魔力が制御できてねぇから、発動前に暴走する。
 
「サクヤの魔力は癒しの力が強いから、暴走しても、私のようにはならないから安心して」
 
 ルイはそういうんだけどさ。暴走した魔力が壁を打ち抜いたよな。それを平然と修復する周りの奴等。最初こそ驚かれてたけど、特Aの奴等は慣れたのか、オレがルイに魔法を習ってるときは、普通に杖を手に持ってんだよな。
 
 そして、担任は杖を手に、防御魔法を掛けつつ、教室に足を踏み入れる。いつ、オレの魔法と言う魔力が爆発し、もしくは、あらぬ方向に飛んでいくかを予想できないからだ。案の定、ドアを横にスライドさせた瞬間、教師の顔の横にある壁をオレの魔力が直撃した。
 
「今日も盛大だな」
 
 言いながら、破壊された壁を瞬時に魔法で修復する。話を聞くと、修復してももろくはなるらしい。オレが魔力を制御できるようになったら、教室全体を改装するんだと。
 
「これだけ魔力が暴走しているにもかかわらず、人間には当たらないから感心する」
「サクヤの魔力ですから」
「ここまで防御特化型魔力の持ち主は初めて見るな」
「私は逆ですから」
 
 は? 逆って?
 
「私の魔力がサクヤ並みに暴走したら、この学校の人達、この世にいませんし」
 
 おい。面っと恐ろしいこと口にしたな。
 
「確かにお前は攻撃特化型だからな。バランス取れてていいんじゃないか」
 
 教師の奴、そう言った後、豪快に笑った。笑い事じゃあねぇって。
 
「何かあったんですか?」
「そうだ」
 
 教師は手に持っていたファイルから、なにやら書類を取り出した。それをルイに差し出す。
 
「婚姻許可証だ。まあ、ルイが魔法省の拘束から解かれた時点で許可は下りていたようだが、正式書類に手間取ったようだな」
 
 ルイの手元にある書類に視線を向けると、確かに許可証だった。同性で未成年が婚姻を認められるって。魔法使いって分かんねぇよ!
 
「それと、これだけ魔力が暴れてるとなると、人間には害がないと分かっていても危険だからな。ルイは学期末の実技とテストをクリアした時点で単位取得の特例処置だ。サクヤに関しては同じように実技とテストである一定の点を取れた時点で単位取得になる」
 
 やっぱりそうかよ。
 
「実験関係だが、そちらは授業に出るように。後は歴史学などの座学もだ。実技関係はここでルイから習うこと。分かったか?」
 
 オレは素直に頷いた。そうだよな。全く言ってることが分かんねぇんだもん。
 
「それと、これをやる」
 
 教師がそう言うと、オレの両手に少し大きめの水晶を乗せた。
 
「これなんだよ?」
「魔力が散漫になるのは、意識できてないからだ。この水晶はな、特Aで魔力を制御できない初等部の子達が使うもんだ。水晶に意識を向けて力を込める。うまくいけば中が淡く光るが、上手くいかなければ霧散する。ルイにサポートしてもらってやってみろ」
 
 そう言うと教師はオレ達から離れていって、ユエと副会長、書記と会計に同じような書類を渡してる。オレはというと、両手の上の水晶を凝視する。
 
「こんな便利なもんがあるならさ。最初から渡してくれたらいいじゃねぇか」
「それは無理だね。制御できてない人の魔力と同等か上の人がサポートしないとこれは使えないからね」
 
 マジで?!
 
「キュウ!」
「は? 頭から降ろしてくれって?」
 
 ルイがオレの言葉を聞いてベニを机の上に降ろした。ポテポテと歩いて、水晶を突く。
 
「キュウキュウ!」
「……霧散した魔力を食べると」
「キュウ!」
 
 なんとなく、ベニにまで莫迦にされてるような気がするのは、気のせいじゃねぇよな……。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...