銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
59 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

059 魔力の光

しおりを挟む
 他の奴等が授業のために教室を後にして、残ったのはオレとルイ。なぜか教師。
 
「この火の鳥の雛は普通の火の鳥と違うんじゃないか?」
 
 教師が疑問を口にした。オレもそう思う。
 
「キュウキュウ!」
「普通だって言ってもよ。クレナイと確実に違うだろう。見た目が全く成長しねぇしさ」
 
 水晶を両手に乗せたまま、そんなことを言えば、ベニは面白くなかったのか、オレの指を嘴攻撃してきた。地味に痛い。
 
「まあ、そこのところはいいでしょう。とりあえず、この水晶に魔力を込めてみようか?」
 
 ルイってある意味、マイペースなんだよな。
 
「魔力を込めるって?」
「水晶に意識を向けて、自分の中の魔力を移す感じかな?」
「あのさ。魔力って体のどこにあるんだよ?」
 
 魔力がどこにあるのかが分かんねぇんだから、認識しようがねぇだろう。
 
「もしかして、根本的なの?」
 
 素直に頷いた。今までの生活で、魔力なんて必要なかったしさ。とりあえず、変な力があるって感覚だ。必要ないってことは、知る努力なんてしたことねぇし。
 
「体の中心。心臓なら分かるよね?」
「それくらいは」
「心臓は体を動かす動力源だよ。脳を使うにしても、心臓が酸素を送り出してくれないときちんと機能しない。体中に血液と共に酸素を供給し、魔力を持つ魔法使いは魔力も心臓の機能を利用してるんだよ。全身に魔力を送るのは心臓が担ってるんだ」
「じゃあさ。オレは魔力を常時放出してんだろう? どういうことだよ?」
 
 ルイは笑みを浮かべたけど、教師は呆れ顔だ。仕方ねぇだろう! 人体くらいなら、普通の学校でも教わる。でもさ、普通の学校では、魔力を持ってる奴なんてほぼいねぇんだ! 稀に、微弱な魔力を持ってるのはいるけど、あくまで、微弱だから、なんの害もねぇんだよ!
 
「人は息をする。普通なら、魔力を外に出すようなことはしないんだけど、サクヤの場合、呼吸という動作と、心臓が体中に血液を媒介に酸素を送り出す動きに、なぜか魔力が同調して、呼吸するたびに魔力が吐き出されてるんだよ」
 
 は?! そんなんありか?!
 
「暴走する最大の理由が、使おうとしている魔力と、自然と吐き出される魔力がぶつかるから。吐き出されるのは体の機能だからね。対策を考えたほうがいいかもしれないけど、意識して使う魔力は制御する必要があるから。まあ、吐き出した魔力はベニの餌って認識を持ったらいいんじゃない。気分的に楽になるでしょう」
 
 確かに楽にはなるけどさ。ベニ、オレの魔力で見た目変わんないって。目に見えた成長がないからさ。いまいち分かんねぇんだよ。
 
「とりあえず、自分の中心あたり、心臓の付近にある魔力の塊から、手のひらに乗せている水晶に魔力を移動させるイメージを作って」
 
 心臓の隣あたりにこの、暴走してる魔力の大元があるんだよな? 分かんねぇから、脈打ってる心臓に意識を向けて、血液じゃない別のものを思い浮かべて。そうしたら、スッと、なにかが入り込んできたような感覚があった。水晶に視線を向けたら、綺麗な光が水晶の中で燈る。淡い桜色の光だ。
 
「お? 初めて見る光の色だな」
 
 教師が目を見開いてっし。
 
「ベニ、食べてくれる」
「キュウ!」
 
 ベニが水晶を突くと、スッと光が消えた。ルイが水晶を持ち上げて、オレと同じように魔力を込める。淡くともる光はオレと同じ桜色。って、どういうことだよ?! 魔力は真逆だろう?!
 
「……同じか」
「そうですね。性質は真逆なんですけど」
「それに、こいつは魔力を制御することができなかったんじゃなくて、根本的なことを知らなかっただけなんだな」
「そうみたいですね」
 
 認識したら、なんか、スッと魔力が分かるようになった。基礎知識って大切なんだな。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...