銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

067 お菓子と指輪

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 そう言えば、母さんはどうしてルイを知ってるんだ?
 
「あのさ。どうしてルイを知ってんだよ」
 
 でも、疑問系で問い掛けるように訊いていたから、確信してはいなかったんだ。
 
「え? ああ、サクヤの耳に赤い石があったでしょう? いつの間にか見当たらなくなったんだけど。その石が魔法で血を凝固させたもので、サクヤを守るからって。その時に血を提供してくれたのがルイ君って同い年の子で。その時に容姿を聞いていたのよ」
 
 そのザックリな情報だけでルイって思ったのかよ。違う奴だとは思わなかったのかよ。
 
「それとね。変わった鳥を従えてる。だったかしら。サクヤが高校に入学した時に、ルイ君のご両親に会ってね」
 
 本人差し置いて、両家の両親が顔を合わせてるのが理解できねぇよ。待てよ。なんかおかしくないか? 高校の入学式に確かに両親も参加したよ。ルイの両親もだろうけど。どうして互いの両親だって分かってんだ?!
 
「サクヤは本当に顔に出るわね。ルイ君のご両親にはサクヤの耳の石の件で会っていたからよ。実は大騒ぎになっていたらしくて」
 
 ルイが火がついたように泣いた時間。その時に何があったのか、周りは躍起になって調べたらしい。もしかしたらあの人絡みかもしんねぇから。母さんはあの人とは聞いたけど、理解はできなかったみてぇ。でも、その時間に俺が生まれていて、両親が微弱な魔力しか持っていなかった。
 
「サクヤを見た瞬間、その人は目を見開いていてね。慌てて帰って行って、いくらもしないうちに数人の人達が来たのよ」
 
 その中にルイの父親がいた。生まれたばかりの息子が強い破壊の魔力を持っているのに対して、俺が真逆の強い癒しの魔力を持っていた。ルイは本能的に自分自身を守ることができる存在を感知した。だから、策を講じた。俺はおそらく魔力の制御が上手くできない。かといって、初等部から魔法学校に入学させるのは危険を伴う。考え出された方法は、魔法による囲いだった。
 
「いろいろ説明は受けたのよ。私もお父さんも。でも、全く分からなかったわ。唯一理解できたのは、このままだとサクヤが危険だから、ピアスを付けるって」
 
 ピアスって言ってっけど、今なら分かる。あれは魔法で血を耳に固定したんだ。絶対外れないように。俺を二重の意味で守り、なおかつ、ルイの魔力の暴走を俺の魔力で抑えていたんだ。
 
「ご両親もウットリするような容姿だけど、ルイ君もね。サクヤなんか、チンチクリンに見えるわ」
 
 おい。仮にも本人目の前にして、よく言えたな。確かにルイは見目が麗しいよ。否定はしねぇよ。そのルイは今や、俺の結婚相手だ。
 
「あのよ。言わなきゃいけないことがあんだけどさ」
「なんなの? 私だけで問題ない話?」
「父さんにも言わなきゃ問題ある」
「そんなに重要なの?」
「重要っていうか、もう、魔法省の方で書類作成されて、決まったんだよ」
 
 母さん、目を見開いてるよ。そうだよな。分かんねぇよな。どうして、ルイがここにいるのかも分かってねぇよな。だって、ルイは結婚相手のご両親にご挨拶に来たんだからさ。
 
「じゃあ、夕方まで待ってくれるかしら」
「分かった」
「そうそう、お土産を持ってきたんです。懇意にしてる店のお菓子なんですけど、美味しいので」
 
 今まで大人しくしていたルイがトランクを足の上で開いて、あのお菓子を出してきた。一つはもともと注文していたもの。もう一つはお祝いでもらったものだ。
 
「二つも?」
「一つはお祝いでいただいたので」
 
 お祝いの言葉に母さんが更に顔が驚く。
 
「お祝い?」
「それはですね」
「わぁ!」
 
 慌ててルイの口を両手で塞ぐ。さっき、父さんが来てからって言ってただろう!
 
「サクヤ、左手の薬指の指輪はなんなの?」
 
 もう、どうして間が悪いんだよ!
 
 
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