銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

074 禁呪文

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 魔法が使えないと焦ったオレだけど、よくよく考えたら、そんな心配必要ねぇよな。俺も頭は悪いけどさ、こいつらは別の意味で頭悪いよ。だいたいさ、ルイを怒らせると後が怖いんだよな。普段穏やかな分、切れるとどうなるか分かんねぇし。それに、前よりクレナイが攻撃的なんだよな。ベニは俺の魔力を糧にしてっから、攻撃的じゃねぇけど。
 
「随分余裕だな」
「余裕っていうかさ。どうなっても知らねぇけど?」
「何を言ってる」
「多分さ。ルイ、感知してると思うんだ。ベニのやつ、ワザとオレから大量に魔力奪ったんだろうし」
 
 ベニは魔力奪わなくったって、成獣手前の姿になれるんだよ。それをさ、思いっきり奪いやがったんだ。そうなると、オレはルイから魔力を奪うことになるんだよな。もれなく、ルイが分かるって寸法なんだよ。
 
「サクヤ、無事?!」
 
 ほらな。しかも、ルイの魔力は普通と違うから、オレの背後に現れんだよ。
 
「無事だけどさ。こいつ、魔力をオレから奪って成獣化したんだけどよ。また、へばるんじゃねぇの?」
 
 オレが冷静にベニを指摘すると、ルイは驚いたように目を見開いた。
 
「多少はへばると思うよ」
「だよな」
「サクヤ」
「なんだよ」
「怖くなかったの?」
「は? あいつに比べたら、頭数いたって怖くねぇけど。それに、ベニが魔力を奪ったから、ルイは気がつくって分かってたしさ」
 
 そうなんだよ。闇の魔法使いに囲まれてはいるけどさ。みんながあの人って呼んでる人に比べたら赤子並みだよ。なんとなく、クレナイだけで蹴散らせそうだし。
 
「そう」
 
 ルイはそう言うと、目の前のリーダーと思しき男を睨んだ。魔力に侵食され、闇に囚われた魔法使い。循環相手を得られず、人外のものと契約している。それも、破壊の衝動が強い故だ。
 
「大人しく杖から手を離せ」
 
 いきなり降ってきた声にオレは視線を向けた。ルイとなんとなく似た容姿。色は全く違うけどさ。玄関先で見た人はその隣に立っていた。こっちはルイと同じ髪の色。
 
「見張っていたのか?」
「未成年で婚姻を認められた場合、魔法省の特別班が護りにつく。昔からの決まりごとだろう」
「なに?!」
 
 周りにいる闇の魔法使い達がざわめき出す。知らなかったんだな。
 
「それに二人は特別だ。引き離すことはできない。それに、彼は光だからな。お前達のような者達が群がる。逃れていた者達を捕らえることができる」
 
 あ、やっぱりか。そうだよな。捕まえるの仕事の奴等にしたら、放っておかないよな。
 
「利用したのか?」
 
 目の前の男は嘲笑した。
 
「まさか。息子の相手を利用するつもりはない。ただ、結果論だ。こんなに早く動くとは誰も考えないだろう?」
 
 もうさ、オレは珍獣だって認める。よくよく注意して周りを見たら、闇の魔法使い達の周りを、それ以上の人数が取り囲んでた。それに、ルイがずっと何かを呟いてんだよな。これ、魔法省に協力するつもりなんだよな。
 
「縛!」
 
 ルイがオレの耳元で叫ぶと、杖を振りつつ足を踏み鳴らした。ルイを中心に光の紋様が現れる。闇の魔法使いだけじゃない。魔法省の奴等も目を見開いた。
 
「サクヤを危険な目に合わせるわけにはいかない。ここにいる人達は素直に捕まってもらうよ」
 
 ルイが聞いたことのない言葉、古代語? だっけ? それを呟くと、光の紐が魔法陣から生えてきた?! 闇の魔法使い達を捕らえ、完全に縫い止めた。
 
「見事だな」
「使っちゃいけないのは分かってる」
「禁呪文だな」
「そう」
 
 ルイを息子って言ってたから、父親なんだよな。
 
「俺達が魔法陣に入っても大丈夫か?」
「闇に染まってなければ」
 
 ルイは面っと言ってのけた。
 
 
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