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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
096 知識と抵抗
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「あのときは諦めたけど、今なら、教えてもらえるんだよね?」
伺うようにルイは問い掛けてきた。うん。今なら、完全にあいつを封じ込めた今なら言える。
「ルイが誕生するのは本来なら、十年後くらいだったんだ」
俺の言葉に三人は目を見開いた。クレハさんとカエデさんの遺伝子は本当によく似ていた。似すぎていて、個となるのに通常よりも多くの時間が必要だった。
「カエデさんの祖先にあいつに連なる魔法使いがいて、ルイに干渉するために魔法省から記録を全て抹消したんだよ」
ルイが選ばれた最大の理由。あいつに連なる血筋で、クレハさんもカエデさんも破壊と癒しの魔力を持ってる。でも、破壊の魔力の方が強い。そんな血筋のルイに、あいつは干渉したんだ。目的は一つだった。自分と同じ能力の者を手に入れて、この世界を妖魔の住処と同じような世界にすること。力が全てを決める世界。言い換えれば、あいつがいることを許される世界を作りたかった。そのためには、循環相手が必要だ。癒しではなく、誰よりも強い破壊の魔力を持つ存在が。
「ルイの中には小さな傷痕があった。あいつが干渉したときに付けられたものだ。その傷痕からの影響を少しでも減らすために、ルイの魔力は必死で知識を集めたんだよ」
「どういうこと?!」
「あの魔法。ルイの魔力がどこからか探し出してきたものなんだ。杖を融合する魔法もそう」
「でも、あの魔法は……っ」
「うん。使えない。同じでさ。オレがあいつを捕獲するために使った魔法も、もう、使えねぇよ。頭の中から消えたからさ」
ルイは本来なら、両親と同じ破壊と癒しの魔力を持って生まれてくるはずだった。それをあいつは捻じ曲げたんだ。でも、最大の誤算があった。ルイが誕生したとき、魔法省が介入したことだ。強い破壊の魔力を持って生まれてきた赤子を、魔法省は管理した。そして、オレが生まれたこと。オレはルイがあいつに干渉されたために、世界が生み出したんだ。オレの両親の祖先が先を読み、子孫に伝え続けたのは偶然じゃない。世界が遠い未来を読み取った結果だったんだ。
「本当だったら、両親の元でルイは育つはずだったんだ。あいつさえ干渉しなければ、普通に強い特Aの魔力を持って生まれてて、オレと会うこともなかったんだ」
オレは両親同様、微弱な魔力を持つ、ただの一般人として一生を終えるはずだった。そう、全てはあいつが干渉したからこそ起こったことだったんだ。
「……教えてくれなかったのはなぜ?」
あの傷痕がただの傷痕なら良かったんだ。ルイの魔力が必要以上に魔法やそれに関係する知識を貪るように吸収したのはほぼ、知識欲からじゃない。あいつに侵食されるのを防ぐためだった。もし、何もしないまま放置していたら、ルイは早い段階であいつの手に落ちていた。魔法省の研究機関の魔法使いが、ルイに極力感情を表さないように育てたのが、あいつを遠ざけた一つの要因だった。
ルイは最初、オレが狙われていると勘違いをした。確かに他の闇の魔法使い達は自分達の中の淀んだ魔力を正常化させるためにオレを望んだだろう。でも、あいつがオレを望んだのはルイを手に入れるためだ。
あいつは強い破壊の魔力を更に高みに持っていくためにルイを望んだ。でも、互いが破壊の魔力同士。どちらかの魔力を浄化しないといつかは破滅に向かう。そのために、ルイという増幅器を正常に機能させるために、オレが必要だっただけなんだ。
「あいつはルイと繋がってる部分があったから。だから、話せなかったんだ」
オレは架空に向かって呟くように言葉を吐き出した。
伺うようにルイは問い掛けてきた。うん。今なら、完全にあいつを封じ込めた今なら言える。
「ルイが誕生するのは本来なら、十年後くらいだったんだ」
俺の言葉に三人は目を見開いた。クレハさんとカエデさんの遺伝子は本当によく似ていた。似すぎていて、個となるのに通常よりも多くの時間が必要だった。
「カエデさんの祖先にあいつに連なる魔法使いがいて、ルイに干渉するために魔法省から記録を全て抹消したんだよ」
ルイが選ばれた最大の理由。あいつに連なる血筋で、クレハさんもカエデさんも破壊と癒しの魔力を持ってる。でも、破壊の魔力の方が強い。そんな血筋のルイに、あいつは干渉したんだ。目的は一つだった。自分と同じ能力の者を手に入れて、この世界を妖魔の住処と同じような世界にすること。力が全てを決める世界。言い換えれば、あいつがいることを許される世界を作りたかった。そのためには、循環相手が必要だ。癒しではなく、誰よりも強い破壊の魔力を持つ存在が。
「ルイの中には小さな傷痕があった。あいつが干渉したときに付けられたものだ。その傷痕からの影響を少しでも減らすために、ルイの魔力は必死で知識を集めたんだよ」
「どういうこと?!」
「あの魔法。ルイの魔力がどこからか探し出してきたものなんだ。杖を融合する魔法もそう」
「でも、あの魔法は……っ」
「うん。使えない。同じでさ。オレがあいつを捕獲するために使った魔法も、もう、使えねぇよ。頭の中から消えたからさ」
ルイは本来なら、両親と同じ破壊と癒しの魔力を持って生まれてくるはずだった。それをあいつは捻じ曲げたんだ。でも、最大の誤算があった。ルイが誕生したとき、魔法省が介入したことだ。強い破壊の魔力を持って生まれてきた赤子を、魔法省は管理した。そして、オレが生まれたこと。オレはルイがあいつに干渉されたために、世界が生み出したんだ。オレの両親の祖先が先を読み、子孫に伝え続けたのは偶然じゃない。世界が遠い未来を読み取った結果だったんだ。
「本当だったら、両親の元でルイは育つはずだったんだ。あいつさえ干渉しなければ、普通に強い特Aの魔力を持って生まれてて、オレと会うこともなかったんだ」
オレは両親同様、微弱な魔力を持つ、ただの一般人として一生を終えるはずだった。そう、全てはあいつが干渉したからこそ起こったことだったんだ。
「……教えてくれなかったのはなぜ?」
あの傷痕がただの傷痕なら良かったんだ。ルイの魔力が必要以上に魔法やそれに関係する知識を貪るように吸収したのはほぼ、知識欲からじゃない。あいつに侵食されるのを防ぐためだった。もし、何もしないまま放置していたら、ルイは早い段階であいつの手に落ちていた。魔法省の研究機関の魔法使いが、ルイに極力感情を表さないように育てたのが、あいつを遠ざけた一つの要因だった。
ルイは最初、オレが狙われていると勘違いをした。確かに他の闇の魔法使い達は自分達の中の淀んだ魔力を正常化させるためにオレを望んだだろう。でも、あいつがオレを望んだのはルイを手に入れるためだ。
あいつは強い破壊の魔力を更に高みに持っていくためにルイを望んだ。でも、互いが破壊の魔力同士。どちらかの魔力を浄化しないといつかは破滅に向かう。そのために、ルイという増幅器を正常に機能させるために、オレが必要だっただけなんだ。
「あいつはルイと繋がってる部分があったから。だから、話せなかったんだ」
オレは架空に向かって呟くように言葉を吐き出した。
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