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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
102 魔力の色
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「魔力の色が同じ?!」
「そうです。私の魔力は淡いピンク色であることは知っていると思いますが」
「知っている。一度、制御の水晶球に込めてもらったからな」
「サクヤの魔力は私と同じ色なんです。質は全く違うというのに」
研究員、ちょっと思案顔。何を考えてんだ?
「ちょっと、待っててくれないか」
そう言って部屋を出て行った。
「珍しいことなのかよ?」
「質が違うのに色が同じってこと?」
「そう」
「珍しいのかもしれない。私自身は他の魔法使いの魔力の色を見たことはないから」
そうなのか? 数分で戻ってきた研究員の手には見たことのある二つの水晶球。なぜ二つだ? オレとルイにそれぞれ手渡してきた。
「魔力を込めてもらえるか?」
「構いませんが」
二人で水晶球に魔力を込める。そこに映し出されたのは、前見た通りの淡い桜色。
「本当に同じ色だ。それでか」
「なにがですか?」
「魔力の質が違うのに、色は同じ。だから、水晶球が勘違いをしたんだ。色が同じだから、同じ魔力の質だとね」
オレとルイは顔を見合わせる。
「本来、制御の水晶球には一人の魔力しか込めないんだよ。主に制御の方法を身につけるために使うからね」
「それは?」
「与えられた水晶球は与えられた者の所有になる。気がつくと水晶球は消えている場合が多いんだよ」
じゃあ、ルイはそれを知らないで魔力を込めたのか。まあ、役に立ったんだけどさ。
「キュウ!」
ベニがいきなりキンの頭の上に着地。水晶球に込めた俺の魔力を喰べやがった。本当に食いしん坊だ。
「貪欲だな」
研究員が呆れ顔だ。分かるけど。
「サクヤ、その水晶球を私に渡して」
ルイはそう言うと、ヒョイッとオレから水晶球を取り上げた。そうして、魔力を込めたんだよ。その魔力をクレナイに喰べさせた。
「もう一度、魔力を込めてみて」
「どうしてだよ?」
「どうしてもだよ」
「分かった」
いまいち、納得できねぇけど、言われたように魔力を込めた。そして、ベニが水晶球を啄く。
「キュウゥ……」
あ、項垂れた。喰べれなかったんだな。
「完全に閉じたな」
「これでサクヤの魔力を調べられますよね。サクヤ本人は渡せませんけど」
は? それって、さっき研究員が言ってたことか?
「本意ではないですが、調べておいて問題はないかと思います。多分、サクヤは本当に稀なんです。きっと、もう、こんな魔力を持つ魔法使いは生まれてきません」
ルイの言葉に研究員は目を見開いた。
「そうですよね。カイト(海都)さん」
ルイが研究員にそう語りかけた。
「……私の名前を知っていたのか?」
「知っていました。魔力が拾ってきましたから」
「そうか……」
気になってたんだけどさ。
「なんで、名前を教えなかったんだ?」
俺の問いに、研究員もとい、カイトさんは寂しそうな表情を浮かべた。
「本当の親から、たとえ、ルイの魔力の暴走を抑えるためとはいえ奪ったことに変わりはない。それに、名前は感情を育てる。だから、ルイの名も初等部に入学するときに初めて教えた。この様子では自分の名前も知っていたようだが」
それにさ。もう一つ、気になってんだけどさ。
「どうして、カイトさんがルイ担当になったんだよ? 上目指してるようには見えねぇし?」
ルイを望んだ方向に育てることができれば、より高みを求めるやつにはおいしい話だろう。
「ルイが誕生したとき、誰が担当になるのか揉めに揉めた。早い話が擦り合いだ。誰も育てたがらなかったんだよ」
その言葉に、ルイの表情が沈んだ。
「そうです。私の魔力は淡いピンク色であることは知っていると思いますが」
「知っている。一度、制御の水晶球に込めてもらったからな」
「サクヤの魔力は私と同じ色なんです。質は全く違うというのに」
研究員、ちょっと思案顔。何を考えてんだ?
「ちょっと、待っててくれないか」
そう言って部屋を出て行った。
「珍しいことなのかよ?」
「質が違うのに色が同じってこと?」
「そう」
「珍しいのかもしれない。私自身は他の魔法使いの魔力の色を見たことはないから」
そうなのか? 数分で戻ってきた研究員の手には見たことのある二つの水晶球。なぜ二つだ? オレとルイにそれぞれ手渡してきた。
「魔力を込めてもらえるか?」
「構いませんが」
二人で水晶球に魔力を込める。そこに映し出されたのは、前見た通りの淡い桜色。
「本当に同じ色だ。それでか」
「なにがですか?」
「魔力の質が違うのに、色は同じ。だから、水晶球が勘違いをしたんだ。色が同じだから、同じ魔力の質だとね」
オレとルイは顔を見合わせる。
「本来、制御の水晶球には一人の魔力しか込めないんだよ。主に制御の方法を身につけるために使うからね」
「それは?」
「与えられた水晶球は与えられた者の所有になる。気がつくと水晶球は消えている場合が多いんだよ」
じゃあ、ルイはそれを知らないで魔力を込めたのか。まあ、役に立ったんだけどさ。
「キュウ!」
ベニがいきなりキンの頭の上に着地。水晶球に込めた俺の魔力を喰べやがった。本当に食いしん坊だ。
「貪欲だな」
研究員が呆れ顔だ。分かるけど。
「サクヤ、その水晶球を私に渡して」
ルイはそう言うと、ヒョイッとオレから水晶球を取り上げた。そうして、魔力を込めたんだよ。その魔力をクレナイに喰べさせた。
「もう一度、魔力を込めてみて」
「どうしてだよ?」
「どうしてもだよ」
「分かった」
いまいち、納得できねぇけど、言われたように魔力を込めた。そして、ベニが水晶球を啄く。
「キュウゥ……」
あ、項垂れた。喰べれなかったんだな。
「完全に閉じたな」
「これでサクヤの魔力を調べられますよね。サクヤ本人は渡せませんけど」
は? それって、さっき研究員が言ってたことか?
「本意ではないですが、調べておいて問題はないかと思います。多分、サクヤは本当に稀なんです。きっと、もう、こんな魔力を持つ魔法使いは生まれてきません」
ルイの言葉に研究員は目を見開いた。
「そうですよね。カイト(海都)さん」
ルイが研究員にそう語りかけた。
「……私の名前を知っていたのか?」
「知っていました。魔力が拾ってきましたから」
「そうか……」
気になってたんだけどさ。
「なんで、名前を教えなかったんだ?」
俺の問いに、研究員もとい、カイトさんは寂しそうな表情を浮かべた。
「本当の親から、たとえ、ルイの魔力の暴走を抑えるためとはいえ奪ったことに変わりはない。それに、名前は感情を育てる。だから、ルイの名も初等部に入学するときに初めて教えた。この様子では自分の名前も知っていたようだが」
それにさ。もう一つ、気になってんだけどさ。
「どうして、カイトさんがルイ担当になったんだよ? 上目指してるようには見えねぇし?」
ルイを望んだ方向に育てることができれば、より高みを求めるやつにはおいしい話だろう。
「ルイが誕生したとき、誰が担当になるのか揉めに揉めた。早い話が擦り合いだ。誰も育てたがらなかったんだよ」
その言葉に、ルイの表情が沈んだ。
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