銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

103 事実とお膳立て

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「クレハとカエデはクチバとシロガネ同様、子供は授からないと諦めていた。卵が成長を始めたと聞いたときは私も嬉しかったんだ」
「あれ? クチバさんとシロガネさんを知ってんのかよ?」
 
 クレハさんとカエデさんは魔法省所属の闇の魔法使いを狩る職に就いてるからさ。カイトさんと面識あってもおかしくねぇと思うけど。
 
「魔法学校の同級生だ。あの二人も若い時分は魔法省で働いていたんだよ」
 
 カイトさんは魔法省管轄の研究機関に身を寄せた。もともと、研究職が肌にあっていたからだと言った。
 
「ルイをどうしたらいいかと、上が考え出したんだが、物じゃないんだ。生まれたばかりの新生児だ。いくら有り余る魔力があろうと、赤子一人では生きてはいけない。だから、私が育てると声を上げた」
「なんでだ?」
「ルイを見たとき、この子はあの人のようにはならないと、なぜか確信があった。何より、友人の子を邪険に扱うなど、考えたくもなかった。今では友人とすら思ってもらえていないと思うけどね」
 
 なにもない、白い箱のような部屋で育てることは、感情を育てないようにするためだった。感情が育たなければ、精神的に幼くなる。それと同様に、人との接触が極端に少ないと、更に幼い。それでも、ある一定の年齢に達するまで、感情そのものを育てなかった。育てるわけにはいかなかった。
 
 ルイが初等部に入る少し前、禁呪文を知っている事実を知ったカイトさん。正直に焦ったのだと言った。ただでさえ、強い破壊の魔力を持つ。それだけでも危険視されているというのに、頭のなかに禁書庫並みの魔力の知識を持っている。知れ渡れば大変な事態だ。
 
「全てにおいて幼いルイに、きつく禁呪文を口外するなと言い含めた。成人間近の今なら、禁呪文を知っていたとしても自分自身で対応できるだろう。だが、あの当時、それを知られるのは非常にまずかった」
「でも、貴方は私が初等部に入るとき、将来は禁書庫の司書官だと……」
「確かに言ったが、上には伝えていない。伝えたのは中等部に入るときだ。魔力が禁呪文を拾ってきている。禁書庫の管理をするなら、禁呪文を知っている者の方が好ましい。とね」
 
 カイトさんはルイを守りたかったんだろうな。友人の息子で、育てたことで情が湧いたんだろう。なにより、ルイはおかしな感情を育てなかった。それは、まるまんま副会長や書記と会計。風紀委員長と副委員長の努力でもあるんだろうな。ルイを託されて、なにも感情を持たない人形。副会長がオレに教えてくれたときに聞いた言葉。
 
「君について調べたのも私だ。今では魔法使いとしてではなく魔力を持たない一般人として生活している一族。それであるのに、魔法省に詳細な一族の系図が残されていた。それも、その系図には魔法がかかっていたんだろう。子孫が生まれるたびに自動で記載されるようになっていたんだ」
 
 それって?
 
「始まりの魔法使いは約五百年前の者だ。普通に考えて、あの人絡みであると考えるのが妥当だろう」
 
 ん? 曲者の杖の製作者が生きてたのが五百年前くらいだったんだろう。で、あいつが生まれたのも五百年前。俺の祖先が生まれたのも五百年前、って?!
 
「もしかして、面識があったの? サクヤの祖先とあの人と曲者の杖の製作者が」
「そうなんだろうな」
 
 オレの祖先が占いと預言者の血筋だったんだろう? で、もしかして、同じ時期に魔法学校に通っていて、こうなるって分かったんだとしたら? 当然、大人達がまだ、学生である者の言葉なんか聞かないだろう。でも、絶対、今回みたいなことが起こるって確信を持っていたとしたら? 大人になんて相談しないで、できる範囲で対処しようとするだろう。じゃあ、あの、六本の杖は……。
 
「全て、お膳立てされていたのかもしれないな」
 
 カイトさんはそう呟いた。
 
 
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