銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

108 多大なる希望

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 帰ってきて、それでも不貞腐れてたルイだけど、両親への打診は自分ですると、クレナイに手紙を託した。寮内の食堂で食事をして、部屋に戻って風呂に入る。風呂だけど、ルイはやたらと一緒に入りたがるのが問題だ。
 
「なあ、一人で入りてぇんだけど」
「どうして?」
「どうしてって。ゆっくりしてぇし」
 
 頼むからそんな目で見るな。置いてけぼりされた子供の表情するな。もう、溜め息しかでねぇ。
 
「分かったって。ほら、さっさと入るぞ」
 
 ルイはオレと知識と感情を共有するようになって、そのあとから急激に感情を表すようになった。当たり障りない笑みから、少しずつ本当の笑顔や、それ以外の感情もだ。逆に、アダルト方面がなりを潜めたのはオレ的には助かってる。まだ、本調子には程遠い。
 
 たださ。問題があって、順調に感情を表せるようになって、体年齢と精神年齢が合ったら、オレの身が危ない気がするんだよな。反動? って言うのか? もう、朝まで離してもらえない事態に発展しそうなんだよな。
 
 なんとか二学年に進級できたオレ。試験等はしてないんだけど、あいつを封じたことで、試験免除になったらしい。多くの目撃者が魔法省所属の魔法使いだったし。で、カイトさんにオレもルイと同じ職場になるって言われたから、二人で選択科目は必然的に同じだ。まあ、ルイは同じ職業でなくても、オレと同じ科目を選択するとか言ってたけどな。
 
「なあ」
「なんだよ」
 
 特Aの教室でユエと二人マッタリ中。なぜかっていうと、ルイと副会長が生徒会新役員と顔合わせだからだ。そうだよな。書記と会計は卒業したしさ。
 
「不思議なんだけどよ」
「なにが?」
「生徒会と風紀委員って、もしかして、初等部から持ち上がりになるのか?」
「そうだけど。まあ、ライカが落第したから、来年、入ってくる副会長が次の年まで自由を満喫だけど」
 
 ん? 今、副会長を呼び捨てにしたよな?
 
「いつの間に呼び捨て?」
「あ……」
 
 ユエの顔が真っ赤。
 
「だってさ。先輩つけるとお仕置きされるんだ」
「お仕置き?」
「そこは察して。次の日大変なんだって」
 
 頭抱えたな。そういうこと。ユエも大変だよな。副会長って、Sっぽいもんな。顔笑って、目が笑ってないこと多いし。
 
「サクヤは?」
「オレ? 大変ちゃ、大変だけど。もう、子守の感覚」
 
 人前だと前とあんまり変わんねぇんだけど、二人になるとガッツリ甘えてくる。時々部屋に来る、ユエも見て知ってるだろう。
 
「図体デカイんだからさ。俺の体格考えて欲しいって」
 
 オレが抱きしめるんじゃなくて、ルイに抱き潰されるんだって。ちなみに、軽く寝不足だ。気が付いたら、腰のあたりに腕が回ってて、背中に抱きついてたりするんだよ。
 
「順調?」
「概ね。初等部高学年あたりじゃね?」
 
 ちなみにオレ的解釈だ。まあ、分別あるからさ。学校内では前の態度を取ってくれてるんで、なんとかなってるけど。気を抜くと、顔の筋肉が崩壊してるけどな。
 
「もう、二人の人気が半端ないけど」
「はあ?! 人気出る要素なんかあるのかよ?」
「あるある。二人でいると会長がさ、もう、可愛いって」
 
 ……まあ、見るだけなら可愛いんじゃねぇか。見るだけならな。ルイって、力が強いんだよ。ぎゅうぎゅう抱き締められるこっちの身にもなってくれ。時々、ギンが被害を被ってるけどな。ヌイグルミ感覚で抱き潰してるときあるし。
 
「半年もしたら落ち着くんじゃね?」
「本当に?」
「希望も多大に含まれてっけど」
 
 もう、身がもたないし、早く成長してくんねぇかな? こればっかりは、どうしようもねぇけど。
 
 
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