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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
118 単調な心
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ここの土地は春が遅い。それはさっきシロガネさんから聞いていた。その遅い季節。普通なら順を追って咲き始める花々が、時期を無視して一斉に咲き始める。そんな季節。ルイの実家の庭には大きな桜の木があるんだと。
丁度、桜が満開になった日。ルイは孵化した。本来なら仕事に向かうが、孵化の兆しがあると休むことを無条件で許可されるらしい。そうだよな。なんとなく、卵から生まれる魔法使いって少なそうだし。
「孵化してすぐ、シロガネとクチバ。カイトに連絡したんだ」
三人は仕事を無視してすぐに来てくれた。生まれたばかりだというのに、ルイは整った顔立ちをしていたらしい。まあ、この親子の見目麗しさは圧巻だからな。
「名前はカイトに付けてもらったんだ。私達でもよかったんだけど。ほら、少しでも命に危険がない魔法使いに付けてもらったら、長生きするかなって」
カイトさんに付けてもらった理由に納得だ。二人の職業は狩人だったから。命の危険と隣り合わせだったから。
「ルイが孵化して次の朝、魔法省の管理部門の者がやって来たんだ。孵化した子は危険だから。魔法省で管理するってね」
次の日だって?!
「最初はカイトが知らせたんだと思った。でも、違うことはすぐに分かった。管理部門の者が来たが、実際に感知したのは地下の番人だったんだ」
強い破壊の魔力を感知した地下の番人は魔力に異常に鼻が利く。あの人と恐れられている魔力と酷似しており、野放しは非常に危険。そう、進言があった。ただ、それだけのこと。でも、無視はできない事態だったらしい。
「やっと、孵化してくれたのに、次の日には手が届かなくなった。会いに行くのは決まった日の決められた時間の長さだけ。触れるのは完全に禁止された。私達の魔力に反応するのは危険だからと言われて」
カエデさんはそう言うと、ゆっくりルイから離れた。
「孵化する前から強い魔力を持ってるっていうのは分かっていて。でも、それが危険視されるほど破壊の魔力に傾倒しているなんて予想もしてなくて」
当然、脈々と続く血が破壊の魔力を強く持っていても、癒しの魔力も同時に持っていた。魔力が強いとは言っても、自分達と同じであると考えていたとか。まあ、あいつさえ手を出さなきゃ、同じような質の魔力だったと思うけど。
「カイトには極力感情を育てないようにしていると言われていた。だからと言って、言葉と目の前の現実は別問題だったんだ。会うたびに感情の起伏のない人形のように座っているだけのルイが。瞳の奥にある光が全く感じられない、そんな単調な心が。大人になった時にどう影響するかなど、実際問題として誰一人分かっていなかった」
幼少期に与えられたモノが、大人となったときの影響を危惧していたらしい。
「初等部に入学してから、数人の子供達と接触させ、徐々に、感情を育て始めるとカイトが言ってきたとき、どうして今更と怒鳴りつけた」
「でもね。カイトの説明で納得もしたんだよ」
大人に囲まれて成長したルイは、同年代の子達を全く知らない環境にいた。その中で、もし、普通の子と変わらない育て方をしたなら、おそらく、今のルイはいない。多くの子達の感情に触れ、ある程度の人の中で感情を育てることで、自分だけ、という傲慢な気持ちを払拭できるのではとカイトさんは考えたらしい。
その過程で、ルイは軋轢を生まないために、貼り付けたような微笑みを浮かべるようになった。自分とは違う心と触れて、最初に感じたのはある程度流されていないと、追いついていかない感情だったんだ。
「カイトの育て方が間違っていないと分かっていても、感情は別だったんだ」
クレハさんは表情を歪ませて、絞り出すように言葉を紡いだ。
丁度、桜が満開になった日。ルイは孵化した。本来なら仕事に向かうが、孵化の兆しがあると休むことを無条件で許可されるらしい。そうだよな。なんとなく、卵から生まれる魔法使いって少なそうだし。
「孵化してすぐ、シロガネとクチバ。カイトに連絡したんだ」
三人は仕事を無視してすぐに来てくれた。生まれたばかりだというのに、ルイは整った顔立ちをしていたらしい。まあ、この親子の見目麗しさは圧巻だからな。
「名前はカイトに付けてもらったんだ。私達でもよかったんだけど。ほら、少しでも命に危険がない魔法使いに付けてもらったら、長生きするかなって」
カイトさんに付けてもらった理由に納得だ。二人の職業は狩人だったから。命の危険と隣り合わせだったから。
「ルイが孵化して次の朝、魔法省の管理部門の者がやって来たんだ。孵化した子は危険だから。魔法省で管理するってね」
次の日だって?!
「最初はカイトが知らせたんだと思った。でも、違うことはすぐに分かった。管理部門の者が来たが、実際に感知したのは地下の番人だったんだ」
強い破壊の魔力を感知した地下の番人は魔力に異常に鼻が利く。あの人と恐れられている魔力と酷似しており、野放しは非常に危険。そう、進言があった。ただ、それだけのこと。でも、無視はできない事態だったらしい。
「やっと、孵化してくれたのに、次の日には手が届かなくなった。会いに行くのは決まった日の決められた時間の長さだけ。触れるのは完全に禁止された。私達の魔力に反応するのは危険だからと言われて」
カエデさんはそう言うと、ゆっくりルイから離れた。
「孵化する前から強い魔力を持ってるっていうのは分かっていて。でも、それが危険視されるほど破壊の魔力に傾倒しているなんて予想もしてなくて」
当然、脈々と続く血が破壊の魔力を強く持っていても、癒しの魔力も同時に持っていた。魔力が強いとは言っても、自分達と同じであると考えていたとか。まあ、あいつさえ手を出さなきゃ、同じような質の魔力だったと思うけど。
「カイトには極力感情を育てないようにしていると言われていた。だからと言って、言葉と目の前の現実は別問題だったんだ。会うたびに感情の起伏のない人形のように座っているだけのルイが。瞳の奥にある光が全く感じられない、そんな単調な心が。大人になった時にどう影響するかなど、実際問題として誰一人分かっていなかった」
幼少期に与えられたモノが、大人となったときの影響を危惧していたらしい。
「初等部に入学してから、数人の子供達と接触させ、徐々に、感情を育て始めるとカイトが言ってきたとき、どうして今更と怒鳴りつけた」
「でもね。カイトの説明で納得もしたんだよ」
大人に囲まれて成長したルイは、同年代の子達を全く知らない環境にいた。その中で、もし、普通の子と変わらない育て方をしたなら、おそらく、今のルイはいない。多くの子達の感情に触れ、ある程度の人の中で感情を育てることで、自分だけ、という傲慢な気持ちを払拭できるのではとカイトさんは考えたらしい。
その過程で、ルイは軋轢を生まないために、貼り付けたような微笑みを浮かべるようになった。自分とは違う心と触れて、最初に感じたのはある程度流されていないと、追いついていかない感情だったんだ。
「カイトの育て方が間違っていないと分かっていても、感情は別だったんだ」
クレハさんは表情を歪ませて、絞り出すように言葉を紡いだ。
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