銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

136 鍵の魔法使い

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「サクヤが使った魔法は、目視と触れることができるようにするものだよね」
「そうだと思うけど」
「じゃあ、卵の中で個となるためには特定の精霊が必要だってことだよ」
「何が言いたいんだ?」
 
 教師が首を傾げる。
 
「卵を作る過程で、二つの遺伝子を受けて、一つの命を作り出す精霊が不可欠だってことです。大切な部分は失われていないから、その次の過程が問題なんですよ」
「交わった遺伝子を人として導く何かが欠けてるか、欠けずにうまく機能してるかってことだろう?」
 
 オレの言葉にルイは頷く。
 
「卵が解けたとき、魔力を帯びた精霊が残されていた場合、本来なら一つの命は生まれてることになる。じゃあ、どうして解けるのかっていうことだけど、そこは私達では分からないね」
「じゃあ、なんだ? 解けたときに魔力を帯びた精霊が残されなかった場合は、最初から受精はされていないということか?」
「そうだと思います。普通に男女の夫婦間でも、子供に恵まれない場合もありますから」
 
 わあ、なんか、難しい話になってんだけど。なんとなく分かるけどさ、基本的に頭が良くないからな。こんがらがってきた。
 
「魔法使いの歴史書にはある時を境に強い魔力を持つ魔法使いの血筋の出生率が下がったと記されてたな」
「それなら、私も分かってます。問題はその正確な時期ですよ」
「……約五百年前」
 
 いきなり降ってきた新たな声。オレ達は驚きその声の主に視線を向けた。そこにいたのはコウガとリッカ。
 
「五百年ほど前に、卵を作る一族が命を絶った……」
 
 リッカは相変わらず眠そうなんだけどさ、ハッキリとした口調で断言するように言った。命を絶ったって?!
 
「……多分、あの人絡み」
「どうして、知ってるの?」
 
 リッカは眠そうな視線をルイに向ける。
 
「だって、そこの鍵、俺だから……」
 
 抱き付かれてるコウガも、何よりオレ達四人も驚きに声が出ない。
 
「あそこはね。もう、悪鬼の巣窟。対処しようとしたときには遅くて、俺の一族が鍵かけるのだけで精一杯だったから」
「そんなところの鍵なの?」
 
 そりゃ、コウガも驚くよな。
 
「そう。命と連動されてるから、俺が命を失うと鍵が壊れる」
 
 魔法使いって、どうしてそう、複雑にすんのが好きなんだ!
 
「そんな情報、教えてもいいのか?」
「だってさ。言い出したのはルイとサクヤでしょう? この二人にかかったら、黙ってたって、別口から調べ上げて、その場所に行って、何かしらしちゃうでしょう」
 
 教師の問いに、リッカは当たり前とでも言うように、サラッと言い切る。まあ、別口って、カイトさんに無理難題押し付けて、調べてもらうと思うけど。
 
「抵抗しても無駄だし。それなら、正規の方法で鍵の役目を解いてから、やってもらいたいんだよね」
 
 痛くて辛いのは嫌だから、って言ってることは分かるけどさ。その前に悪鬼ってなんだ?
 
「なあ、悪鬼って?」
「命を絶った卵の魔法使い。自分の屋敷の中を徘徊して、入り込む魔法使いを片っ端に襲うんだよね。何も知らない一般人も同じ。多分、気が触れたんだと思うんだけど。体をなくしても魂だけで徘徊してて、とりあえず閉じ込めてあるだけ」
 
 口調は眠そうで軽いけどさ、内容が凄くねぇ? つまり、強い魔力の魔法使いでもどうすることもできずに、閉じ込めるに止まった場所ってことだろう? 次から次に、なんで、いろんなことが起こるんだよ。
 
「じゃあ、サクヤを連れて行ったら解決だね」
 
 ルイが手を打って、のほほんと言い切る。待て。どうしてオレが行くと解決なんだ?
 
「歩く空気清浄機だもんね」
 
 コウガが楽し気に呟いた。
 
 
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