銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
138 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

138 今後の方針?

しおりを挟む
 ここで話していても、何一つ、結論が出るわけじゃねぇ。とりあえず、俺が捕まえた精霊は、本来の親の手元で保管してもらうことにした。オレが持ってても、本当に意味ねぇし。下手したら、どっかに行っちゃいそうだし。
 
 もう少しで年末の休みに入るから、対応は年が明けてからって話になった。リッカには事前に、長老と話をしてもらうことにして、別口でカイトさんに連絡することになった。どのみち、魔法省に確認を取らないとどうしようもないらしい。
 
 鍵の魔法使いの一族は、基本的に魔法省に所属してる。鍵が掛かってる場所は、魔法省に依頼されて対処した場所なんだと。なんでも、魔法省絡みなんだな。確かに、どこかに集約しないと、いろいろ問題があるからなんだろうけど。
 
「卵についても、きちんとカイトさんに説明しないとね」
 
 寮の部屋に戻るとルイがそう呟く。
 
「きちんとって?」
「多分だけど、魔法省は今の卵が簡易的で、正規の方法で作られてないことを知ってるよ。公にしてないだけで。ただ、卵が解けてることを知っているかは分からないね。遺伝子を内包している精霊が本当に存在していることは実証済みだから、シロガネさんとクチバさんにも詳しく確認しないと」
「公にできない理由はなんとなく、オレでも分かる」
 
 卵の魔法使いの血筋が絶えたことを、他の魔法使い達に知らせていない。だから、簡易的だと誰も知らねぇんだ。知っているのは、代わりに卵を作る魔法使いと、一握りの上層部の魔法使いだけなんだろうな。つまり、オレ達がその事実を知ってしまったのは、魔法省としては頭が痛い問題なんだろう。
 
「サクヤ」
「あ?」
 
 考えに没頭してて(滅多にねぇけど)、ルイの行動を見てなかった。顎に手が触れて、いきなり塞がれた唇。いきなりだったから、簡単に口内にルイのを受け入れてしまう。逃げたって無駄なのは分かってる。
 
「……んっ」
 
 ちょっと待って。昨日の今日はさすがにキツイから。口の中をザラリとした舌の感触が掠めていく。ルイと会うまで、口の中かが感じるなんて知らなかった。ただ、問題はこの刺激が下半身を刺激してくることだ!
 
 ゆっくり離れていった唇は、互いの唾液で濡れて光ってた。ううっ、オレはまだ、高校生だって。刺激が強すぎんだ!
 
「そんな美味しそうな顔しない」
「っ! バッカなこと言うな!」
 
 それもこれもルイのせいだろう?!
 
「今日はこれで我慢するから」
 
 本当の意味で我慢されたら、後でオレが大変なんだけどよ。疑うような視線を向けたからだろうな。ルイが苦笑いを浮かべた。
 
「魔力の欲求じゃないから」
「本当かよ?」
「昨日、無理させたしね」
 
 自覚はあるのか。ベニは相変わらず俺の頭に鎮座したまま、キンとギンは部屋の中を走り回ってる。この部屋、無駄に広いからな。二匹にはいい運動場だ。
 
「で、どうするんだよ?」
「冬季休暇前にもう一回休みがあるから、その日にシロガネさんに確認しよう。クチバさんは仕事だろうから」
「もしただ消えたなら、その消えた場所に精霊がいるかもな」
 
 でもさ。嫌な予感がするんだよな。ただ、姿が解けたなら、問題ないだろうけど。もし、その卵関係で魔法省を辞めたとしたら、問題があるよな。卵を貰ってすぐ辞めたって聞いたけどさ、本当にそうなんだろうか?
 
「魔法省には?」
「シロガネさんに話を聞いて、それからだよね。基本的に卵が必要な魔法使いは魔力が強い同性の夫婦だから。ある意味、先生達の卵の欠片が見付かったことは状況を知るのに良かったってことだよ」
 
 まあ、学校内で浮遊してたことに吃驚だけどな。
 
「それで、今日の本の授業の内容は?」
 
 ルイの問いに、オレは知識を共有すべく、互いの額を合わせた。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...