銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

149 頭の中

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 今まで変な意味でイベント目白押しだったから、なにもない平和が変な感じだ。まあ、周りから上がる黄色い声は通常だけどさ。魔法の授業にはルイの知識のおかげでついていけるようになったけど、普通の授業は残念なオレの頭ではやっぱり、残念な結果だ。
 
「ここの部分違うよ」
 
 ルイがやんわりと指摘。数学って頭がこんがらがる。ルイはやっぱり頭が良いんだな。それに魔法学校だけどさ、ここって金持ち学校で、初等部から高等部までエスカレーター式だ。学力だって、そこ等の学校とはわけが違う。
 
「どうして違うのかが分かんねぇ」
 
 オレがウンウン唸ってると、ひょっこり顔を出したユエが不思議顔だ。まあ、教室で勉強してんだから、周りも遠巻きにオレを観察してんだけどさ。ユエと共に副会長も登場して、やりにくいんだけど。
 
「魔法のスペシャリストになったのに、普通の学生の領分はあの時のままかよ?」
「悪いかよ」
「会長と共有してんじゃないの?」
「ルイの頭の中覗いてみろよ。どんだけ知識が詰まってると思ってんだ。通常の知識より魔法の知識の方が膨大で、そんな普通の知識なんぞ奥に追いやられてて見つけられるか!」
 
 これは本当のことだ。多分だけど、ルイが自分自身で身につけた知識は奥底に潜んでんだと思う。魔力が防衛のために魔法の知識を蓄積して行ったのは、あいつから守るためなんだから、表層に魔法の知識。下層にルイ自身が蓄えた知識が存在してんだと思うんだよな。
 
「そうなの?」
 
 副会長が興味津々で訊いてきた。滅多に問い掛けてこねぇから吃驚だ。ルイもオレの言葉に目を見開いて無言だし。
 
「ルイの知識を全部理解しようとしたら、オレ、ずっと眠り姫してなきゃあなんねぇけど? あのときは身を守るためだったし、必要最低限であれだけ眠ってたんだ。全部だったら大変だって」
 
 それだけ言って、ノートと教科書を睨めっこ。魔法だけなら進級は問題なくてもさ、一般知識が本当にギリギリなんだって。とは言っても、普通の学校に比べて、一般教養は半分以下。ルイが主席なら、俺は確実に最下位だ。とりあえず、留年だけは避けねぇと、ルイまで留年しかねない。なんせ、目の前に現実がいる。副会長はユエといたいからって落第したんだ。だもんで、オレ的には必死なんだよ!
 
「そんなに必死にならなくても。なんだったら、二学年をもう一回……」
「絶対、やだ!」
 
 もうさ、オレのせいで成績優秀なルイを落第させたくねぇんだって。だから、本当に必死なんだよ。
 
 涙目になりながら必死で勉強しているオレに、周りが折れた。遠巻きに見ていた特Aのやつ等も口を出してくる。一人よりたくさんの方がよく見えるって分かるわ。オレがウンウン唸ってた部分。多分、ここのクラスのやつなら簡単に解けんだよ。でも、オレの残念な頭を考慮し、なにが理解できないかを考察。結果、基本が分かってないに辿り着く。
 
「頭数がいると分かるもんだね」
 
 ルイののほほんとした言葉に、周りが脱力。なんで必死になってんのか、理解してくんねぇかな? オレ一人が落第なら問題ねぇ。問題はルイが俺の側にい続けるだろうってことなんだよ。
 
「あれ?」
「どうかしたのかよ?」
「クレナイだね」
 
 羽音をさせルイの左肩に落ち着いたクレナイが、手紙を差し出してくる。なんの疑いもなく開封したルイ。カチリ、と音がして床に転がったのは指輪だ。ん? なんで指輪が同封されてんだよ。ルイはそれを拾い上げた。よく見ると、名前が内側に彫り込まれていた。
 
「なんて書いてあるんだ?」
「魔法大臣が許可したって。それと、これはサクヤ用の銀行の鍵だよ」
「は?」
「これを通して給料が私とサクヤの口座に振り込まれるから」
 
 ……一気に解決すんのやめてくれよな。
 
 
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