銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

172 試されてる?!

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 一度、ルイが一人で出掛けて行ったことは知ってた。すぐに戻ってこれる用事だからって。そして、なぜか、ユエも一緒にある場所に連れて来られた。まあ、俗に言う写真館。どうしてユエもかって? 実はオレ、写真を撮られて、カタログとポスターになるのは絶対嫌だと言い続けた。結果、ユエまで巻き込みやがった。
 
「本当に申し訳ない」
「本当だよ。何が嬉しくて女装して写真撮られて、晒し者にならないといけないの?」
「ルイに言ってくれよ」
 
 なぜかやたらとノリノリなんだよ。しかもだ、副会長までルイ張りに張り切ってる。
 
「自分が着るドレス見たのかよ?」
「ルイが見せてくれねぇんだって。写真館についてからのお楽しみって。マジに恐怖しかないんだけどさ」
 
 注文の詳細はルイから聞いてる。かなり恐ろしい内容だったような気がする。
 
「そう言うユエは?」
「コウガ先輩のドレス見た?」
「カタログに載ってるやつだろう?」
「そう。あれにリボンを付けるんだ」
「どこに?」
「後ろの腰あたり。しかも、あれって裾を引きくタイプなんだ。二年前に見てるからさ」
 
 そうか。あの時、オレとルイは使い物にならない状態だったからな。
 
「あのさ。俺、幻を見てるのかな? 会長が手に持ってるドレス、すっごく可愛いだけど」
「幻じゃねぇと思う……」
 
 真っ白で、ビーズが全体に散りばめられてて、しかも、腰からスカート部分が綺麗に広がってる。後ろのすそが長めで、前が少し短い。あれ、膝下が見えるんじゃねえの。カタログ見て気が付いたんだけどさ、男が着るドレスだからか、首と肩を極力出さないようなデザインだった。出すにしても、首にリボンを巻いていたり、男の首の太さや肩幅の広さを誤魔化すような作り。なのに、どうして鎖骨が見える作りになってる。
 
「サクヤって、男の割に細くて筋肉ないし、首細いし肩幅はあっても薄いから、あのデザインは耐えられると思うけどさ。また、思い切ったデザインで作ったのな」
 
 オレの心の声を読んだようにユエがポツリと呟いた。可愛い女の子が着たら、フワフワでそりゃあ、似合うだろうよ。
 
「サクヤ」
 
 なぜに満面の笑みでオレを呼ぶんだ。絶対に近付きたくない。マジに近付きたくない。
 
「呼んでるけど」
「分からねぇのかよ。抵抗してんだ」
「無理じゃない。ほら、杖出したよ」
 
 なにをする気だ。
 
「素直に来ないと、魔法で引き寄せるけど」
 
 マジで?! いや、今のルイならやるな。顔がやる気満々だ。渋々、ルイの元に歩いてく。まるで死刑執行の罪人のようだ。
 
「ほら、やっぱり似合う。でも、髪の毛が短いからね。そこはプロに任せようか」
 
 ドレスを体に当てられて似合うとか言われても、納得できねぇ!
 
「なあ、なんでこのデザインなんだよ」
「サクヤのお母さんを見て、似てるって思ったんだ。結構、フワフワのスカート履いてて、エプロンされてるでしょう? サクヤも絶対似合うって思ってて。だから、ドレスは今までの魔法使いが着たことのないデザインの物って決めてたんだ」
 
 理由は母さんなのか?! 母さんは可愛いもの大好きで、小柄で、花柄とかフレアーのスカートとか大好きで。まさか、母さんの趣味のせいで俺のドレスのデザインが決まるなんて。世の中、理不尽だ。
 
「写真ができたら送る予定だから。観念して着替えようか?」
「送るのかよ?!」
「当たり前でしょう? 知らせてあるから。しかも、プロが商業用に撮るから綺麗だしね」
 
 魔法使いに晒し者になる挙句、両親にまで見られるのかよ。しかもよ。両親の手に写真が渡るってことは、もれなく、知り合いに晒し者にされるってことだ。オレ、もう、死んでもいい。羞恥で確実に死ねる……。
 
 
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