銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
178 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

178 親の職業は?

しおりを挟む
 セイト、息してんのか? ジーッと四人で二人を凝視してたんだけどさ。よくよく周りを見たら、会場全体が静まり返ってた。
 
「トウヤもいきなりだね」
 
 ルイが沈黙を破ってそんなことを言った。
 
「授業中に乱入してサクヤを奪っていったやつに言われたくない」
「サクヤは争奪戦になるって分かってたからね。先手必勝でしょう」
 
 争奪戦って。
 
「それに、ユエの幼馴染みはクラス委員長でしょう? 認識なかったの?」
「クラス委員長と会うときは、もれなく全校のクラス委員長だ。一人と会うことなんてない」
 
 そう言うことかよ。そうだよな。ユエもオレといたからだって、文句言ってたもんな。
 
「セイト?」
 
 ユエが伺うようにセイトの名前を呼ぶ。反応しないのはなんでだ? 何回か呼びかけて、ようやく反応したセイト。風紀委員長から勢いよく離れる。
 
「丁重にお断りします!」
 
 周りが騒然となる。そうだよな。風紀委員長は特Aの中じゃ魔力が強い方だし。ルイと面識あるし。その、風紀委員長をきっぱり拒絶したもんな。
 
「そう言うこと言う?」
「言うに決まってるでしょう?! って、どうしてそこで杖出す?!」
「逃げられないように?」
「なぜ、そこで疑問系なんですか?!」
 
 そう言いながら、セイトも杖を出した。ここでやるのは如何なものか? 指を鳴らす二つの音が聞こえて、左右を見れば、ルイと副会長も手に杖を持ってた。なんでだ?!
 
「被害は最小限に。でも、トウヤがやっと求愛できる相手を見付けたんだし協力しないとね」
 
 ……ルイさん、その軽い感じはなんなんですか?
 
「風紀の副委員長が相手ってならなかったのかよ?」
「トウヤとヒュウガ? 無理だと思うけどね」
 
 副会長が軽く流す。なんで無理なんだ?
 
「二人は従兄弟だしね。感覚が兄弟だよ」
「従兄弟?!」
 
 ユエが驚いた声で叫んだ。なんでだ?
 
「魔力の強い魔法使いで、従兄弟がいるなんて奇跡!」
 
 驚くところがそこなのか? いろいろ、おかしくないか?
 
「どうして拒絶する?」
「一応、家業あるもんで」
「どんな家業?」
「答えないといけませんか?!」
 
 まさに押し問答。でもさ、セイトと風紀委員長の魔力。確実に風紀委員長の方が破壊の魔力に傾倒してるよな。で、セイトは癒しの魔力の方が強い。オレもそれくらい分かるようになった。
 
「争っても負けるだけじゃね?」
 
 オレがポツリと呟く。
 
「セイトは血筋的に癒しの魔力が強いからさ」
「血筋?」
「そう。実家が病院経営してるんだ」
「それは、癒しの魔力が強い方がいいよな」
 
 ちなみに、オレとユエの会話は完全スルーされてる。ユエと幼馴染みだってことは、本人に訊くより第三者に訊いた方が断然早いんだよな。
 
「じゃあさ、跡取りか?」
「選択科目もそっち方面のを選んでる筈だから」
「だよな。医者か。なんか、イメージに合う」
 
 和やかに話すオレとユエを置き去りにして、若干、殺伐とし始めてるな。まあ、ルイと副会長が被害を広めないように壁なり結界なり張ってんだろうけど。
 
「ん? 風紀委員長の親の職業ってなんだよ?」
「さあ?」
 
 オレとユエは首を傾げる。まず、気になるのがそこだよな。セイトが医者だとして、風紀委員長は?
 
「なあ? 風紀委員長の親の職業ってなんだよ?」
 
 ルイを見上げて、オレは問い掛けた。
 
「どうしてそんなこと訊くの?」
「気になったから」
 
 ルイは怪訝な表情をしながらも、答えてくれる。
 
「外科医だよ。主に外傷専門」
 
 ん? 医者なのか?
 
「委員長の親の専門は?」
 
 ユエにこれまた、質問してみた。
 
「内科医だよ」
 
 そう言うことか。風紀委員長、直感で医者の家系だって分かったんだな。目敏い。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...