銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
185 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

185 勝手なことをするな!

しおりを挟む
 着替えて寮の部屋に戻る。なぜかユエと副会長も一緒にだ。
 
「二人は来る必要はないと思うよ?」
 
 扉を開きつつルイは一言。ちょっと待て。無防備すぎだろう? 絶対……。
 
「ルイ!」
 
 やっぱり。ルイに猛烈タックルをかましたのは確認するまでもなくカエデさん。もう、さすがに見慣れたけどさ。そして、絶対倒れないルイも通常だよな。
 
「入口は狭いから、危ないって何回も言ってると思うけど」
「倒れないでしょう?」
「倒れるつもりはないけど、サクヤなら間違いなく団子状態で倒れるよ」
「ちゃんと確認してから抱き付いてるから」
 
 確認してても、危険なことに変わりないと思うけど。
 
「あら。いつも抱き付いてるの? 私も抱き付いちゃおうかしら」
 
 声の方に視線をつけると、呆れ気味のクレハさんとクチバさん。嬉々としているシロガネさん。その後ろに魔法大臣。あれ? ルイの両親がここに一気に来れるのは分かるけどさ、他の人は無理だろう? ……そうか、クレハさんが連れてきたんだな。納得。
 
「やめてください。シロガネさんとダブルで来られると、さすがの私も受け止めきれないから」
 
 ルイは無表情でスパッと切り落とす。本当に落ち着いたよな、落ち着きすぎだけどさ。
 
「ほら、早く入れ」
 
 呆れたような声に振り返ればそこにいたのは担任夫婦。面子が揃ったな。で、ユエと副会長は帰るつもりねぇんだな。
 
「見せてもらおうか?」
 
 魔法大臣に促されて、オレは寝室に置いてある籐の籠を取りに向かった。二匹がピクリと反応してオレに視線を向けてくる。なんていうか、大きくなると威圧感が半端ねぇのな。まあ、慣れたけど! 籠に掛けてある結界を解除して、持ち上げる。みんなのいるリビングに戻るとき、キンとギンも後をついてきた。当然、ルイ以外の全員の顔が引き攣ってる。分かるけどさ。
 
「本当に大きくなったんだ」
 
 ユエ、なぜに副会長を壁にしてる。キンとギンは大きくなっただけで、中身はあのときのままだぞ。戯れてくると若干、危険を感じるけどさ。
 
「サクヤ」
 
 ルイがテーブルの上に籠を置くように言ってきた。どうして、オレが籠を取りに行ったかって言うと、結界を簡単に解除できるのがオレだからだ。掛けたのはオレだからさ。テーブルの上に籠を置いて、ルイが副会長の視線から逸らすために掛けた布を除ける。現れた見た目が鶏の卵を露わにする。少し半透明がかってるのが、鶏の卵じゃないって分かるけどさ。
 
「前に渡された卵と感じが違うな」
 
 担任が一言ポツリと言った。違うって?
 
「そうだな。根本的なものが違うのだろう」
 
 魔法大臣もゆっくりと頷く。三つの卵と三組の資格を持つ夫婦。ん? 二つ卵が反応してるな? もしかして、精霊を持ってきてるのか?
 
「あのさ。遺伝情報を抱えた精霊を持ってきてるのか?」
「ツユハが離さないからな」
 
 担任が呆れたようにツユハ先生を見下ろしてる。
 
「私達の場合はエアリエルが常時、側にいるのよ。普段は姿を隠してはいるけど」
 
 やっぱり、エアリエルが精霊を抱えてるのかよ。熱心だよな。
 
「あの話は本当なのか?」
 
 魔法大臣に話が伝わってるんだな。精霊の加護はなかなか得られないって言ってたから、生まれる子はある意味珍しい存在になるんだろうな。
 
『最後まで関わるつもりだと言っただろう?』
 
 微かな風が吹きクチバさんとシロガネさんの間に何かを抱えた精霊が現れた。本当に側にいるし。フワリと卵に近づいて観察してるのはなぜだ?
 
『これだな』
 
 は?! ちょっと待てよ! まだ、許可出てねぇ! 一つの卵にスーッと取り込まれた精霊。代わりに何かが飛び出してきて、エアリエルと何かを話してる。って、勝手なことするな!
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...