銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

188 踏ん切り

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 あの後は本当に何事もなく過ぎて行った。ただ、ルイの両親に、のんびり過ごせるのは学生の間だけだから、楽しんだらいいと言われたんだよな。まあ、これからの事を考えると、卒業後しばらくは休みなしになるような気がすんだよ。
 
 それで、学校の中で今もっぱらの話題は風紀委員長と三学年Aクラスの委員長のその後。連れ込む宣言をした風紀委員長。どこに連れ込んだかというと、特別寮の自室。なんでも役職持ちは個室なんだとか。相手ができると連れ込むのが伝統らしい。セイトにしたらもう少しで卒業なのに、妖精がいそいそと荷物を持ってきたんだとか。部屋そのものを移された挙句、逃げ道塞がれたわけだし。どうなったんだろう。
 
 ただ、卒業間近だから、クラスそのものはそのまま。役職もそのまま。ただ、夜を同じ部屋で過ごす事になってるわけだ。曰く、まだ、攻防戦は続いてるらしい。で、その攻防戦を風紀委員長が楽しんでるようだ。物好き。
 
 特Aのオレ等に普通クラスの奴等が近付くのは御法度でも、こっちから近付くのは問題なし。だから、二人でAクラスに乗り込んだ。勿論、目的はセイト。
 
「何しに来たんだ?!」
「あの後どうなったか?! 気になるし!」
 
 ユエが好奇心いっぱいにセイトに突進。それを後方から見詰めるオレ。
 
「どうせ、会長と副会長から情報いってるだろう?!」
「知ってるけど、本人に訊きたいじゃん!」
 
 ユエは完全に野次馬だよな。今まで見世物だったから、鬱憤晴らしってのもあると思うけどさ。
 
「なんで、そんなに楽しそうなんだ?!」
「えー? 楽しいに決まってんじゃん!」
 
 オレは楽しんでねぇからな。我が身になった時の辛さは分かってるしさ。
 
「サクヤもか?」
 
 うわっ。疑いの眼だよ。
 
「オレは完全に付き合い。一人で普通クラスに行かせてみろよ。副会長が目くじら立てるじゃねぇか」
 
 行き先がセイトのクラスでも、副会長の焼き餅は普通じゃねぇからな。オレなら近くにいても問題ねぇんだって。信用してるってより、相手がルイだから。オレに何かあった場合、その報復の恐ろしさは全校生徒が分かってるわけだ。当然、そのオレの近くにいるユエに何かあった場合、オレが対応するんで必然的に誰も何もしてこない。
 
「それって?」
「保険みたいなもんだって。いらぬ争いを避けるためってやつ」
「会長か……?」
「ルイを怒らせると怖いぞ。オレ、反感買わないように必死だからさ」
 
 前の卵の魔法使いで確認済みだ。ルイは切れると手に負えねぇからな。で、今は教師になったのに、コウガは面白がるし。リッカは我関せずだし。副会長にしても、多分だけど傍観するだけだろうし。そうなると、オレ自身が気をつけるしかないわけだ。
 
「だから、俺は断ってるんだって」
「家業、バレたんじゃないの?」
「そうだけど……」
「どっちの両親もノリノリだって聞いたけど」
 
 セイトの肩がビクリと揺れたな。これ、相当、親からプッシュされてんじゃね?
 
「合併する話も出てんだろう?」
「どっからその情報……」
「あっ、オレ。ルイがどこかから仕入れてきた」
 
 ルイの魔力って変なモノを拾ってくる。それ、ルイに必要か? って思うものが最近多い。収集癖は簡単におさまらねぇんだろうな。で、その中にセイトと風紀委員長のこともあったわけ。だから、誰かに聞いたわけじゃねぇよ。
 
「仕入れてって……」
「詳しい話はパス。で、どうして、拒絶してんだよ。ルイの周りの奴って策士が多いからさ。窮地に立つの目に見えてんだけど?」
 
 オレの言葉に更にビクつく。分かってんだろうけど、認めたくねぇんだろうな。公衆の面前だったことが、意固地にしちゃったんだろうけど。
 
「……踏ん切りが」
 
 そっちか。まあ、セイトが体開く方だろうし、覚悟が決まらねぇんだろうな。
 
 
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