銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

199 専業主夫?!

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 あの後、セイトとトウヤは寮の部屋から出て来なかった、らしい。らしいって言うのは、本当にそうなのか分からねぇからだ。元々、セイトはクラスそのものが違うし、トウヤにしても風紀委員の仕事なのか、そんなに姿を現さない。つまり、最近やたらと姿を見ていたのは、主に、ルイとライカが呼びつけていたから、らしい。あくまで、らしいだ。
 
「あのさ。もう、卒業まで数日だけど。それにさ。今更だけど、卒業式はないのかよ?」
「卒業式?」
 
 ルイだけじゃなく、特A内全員が首を傾げた。
 
「卒業証書とか」
「そんなものないけど。って言うかね、そんなものが必要なの? 要は学校に行った事実があれば問題ないでしょう?」
 
 ……あのさ、魔力を持たない人間は肩書きが必要なんだよ。
 
「オレ、中学卒業した時に卒業証書貰ったけど」
 
 周りが痛いほどの沈黙に包まれる、って、オレはおかしなことは言ってないぞ?!
 
「初等部は?」
 
 ルイの言う初等部に一瞬、首を傾げた。初等部……、小学校のことか?
 
「貰ったけど」
「魔力を持たない人間の感覚が分からないね」
「簡単だろう? 要は学歴だよ。どれだけいい学校に行ったかで、将来の職業が決まるんだからさ。みんな必死なんだぞ」
 
 小学校に入る時点で受験する子だっているんだ。まあ、オレは頭が残念だったから、普通の小学校だったけどさ。本来ならオレだって、高校の受験をしないといけなかったんだ。それがさ。どの学校にするか先生と個別の話をした時に、オレは既に決まってて受験をする必要はないって言われたんだ。
 
「そんなもの、魔力が全てだよ。学歴云々も魔力で学校が振り分けられるんだから、生まれた時の能力だよ」
「成長過程の努力は考慮されないのかよ」
「努力で魔力の強さはどうにもできないからね。後は魔力に見合った職業で努力すれば上は目指せるはずだよ」
 
 つまり、魔力が全部の基準なのかよ。
 
「それに、魔力が強ければ大抵、家業を持ってる。これでたくさんの子供が授かる環境なら、また、違ったんだろうけど、ほとんどが一人っ子。稀に二人いる程度で、将来の話なんかできる環境じゃないんだよ」
 
 そう言うことかよ。ん? 待てよ。これからオレとルイで卵を作るんだよな? そうなると今までのバランスが崩れるよな? つまりだ。今まで将来が決められてた魔力の強い魔法使いが自由に職業を決めることができるようになるのか?
 
「あのさ。今度から余程でない限り、子供は授かるだろう?」
「まあ、そうなるだろうね」
「じゃあさ。今と環境が変わるよな? 急激じゃないまでもさ」
 
 ルイを見上げてオレが言った一言。それに反応したのは特Aの生徒。いきなりざわめいた室内。あ……、これ、言ったらマズかったのか?
 
「はあ。サクヤは不用意過ぎるよ。まあ、もう卒業だし、口止めしても徐々に知れ渡っては行くと思うけどね」
 
 これに関しては面目無いと思うけどさ。今までみたいな感じではなくなるだろうって言いたいんだって。
 
「なにが言いたいのかは分かるけど。まず、回復するまでに数百年はかかるよ。それに、絶えた血筋もあるしね。それに関しても魔法省はどうにかしたいんだろうし。魔力の強い魔法使いは足りていないのが現状。多少増えても、職業に就けないって話にはならないよ」
 
 そうなのか? で、疑問に思ったことが一つ。ユエって卒業した後の職業なんだよ? そう思って視線を向けた。
 
「なに?」
「ユエは卒業したらなにになるんだ?」
「専業主夫」
 
 ユエの言葉に更に沈黙する特A教室。
 
「ユエが働くなんてとんでもないよ。俺の帰りを待っていてもらわないと」
 
 ライカの言葉にガックリくる。確かに今回みたいなこともあるだろうし。が、ユエが納得したことが一番信じられねぇ?!
 
 
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