銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

214 論外

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 なんとなくだけど、オレとルイの周りに精霊と妖精が集まりだしてねぇか? これはあれか? 勝手に準備始めてんじゃねぇの?
 
「クレナイ?」
 
 ルイが一言言って、クレナイが消えていった辺りに視線を向けた。壁だろうが結界だろうが完全に無視してクレナイがルイの左肩に収まる。
 
「返事は貰ってこなかったの? 貰ってくるように言ったでしょう?」
「ギャア」
「嘘でしょう? 忙しいんじゃないの?」
「ギャアギャア」
「……呆れる」
 
 ルイがガックリと肩を落とした。どうしたんだよ?
 
「コウガ。魔法大臣を迎えに行ってきてくれない。向こうの玄関の前に立ってるから」
「は?!」
「卵を作るところを見たいんだって。何考えてるのか知らないけど、仕事を投げ出してきてるから、早く連れてきてくれる」
 
 大人としてそれはどうなんだ? ……大層な役職持ってる割に、結構適当だよな、魔法大臣って。コウガが慌てて地下道に降りて行って、その後をリッカとさっきの白猫が追いかけて行った。
 
「作るってことかよ」
「そうなるね。全く、あの人は何考えてるんだろう?」
 
 オレもそう思う。
 
「ここで始める気なの?」
 
 ライカって言うか、ここにいるみんなが信じられない表情をしてる。何より、コウガの両親が固まってるのがよく分かる。
 
「じゃあ、見せてくれ」
 
 そう言いながら姿を現した魔法大臣。その姿を冷ややかな視線で迎えたルイ。気持ちは分かるけどさ。
 
「何か言うことはないんですか?」
 
 ルイは腕を組んで、冷ややかな言葉を投げつける。
 
「何がだ?」
「まず、私達が勝手に動いたことに対して、普通なら咎めるのが当たり前でしょう。それに、誰が育てるのかを全く決めてない。更に、本当に精霊が存在しているのかの確認がまだですよ。何より、仮にも大臣職に就いてる方が軽々しい行動をとるのはどうかと思いますけど」
 
 ルイの言葉を聞いてあからさまに溜め息を吐いた魔法大臣。
 
「硬い、硬いぞ。なぜそんなとこばかりクレハに似るんだ。もう少し大らかにならないとな」
「大らかと軽率は全く違いますよ。命の危険がある存在だといい加減自覚なさったらどうです? 私が魔法省にいる頃、みんなが嘆いてる現場を何度か目撃しました。ほとんど部屋の外に出たことのない私でも耳にできるほど、貴方は軽率だということです」
 
 ……そんなにはっちゃけてるのかよ?
 
「いいだろう? 息抜きは必要じゃないか」
「はあ……。父さんとクチバさんの苦労が分かる気がする……」
 
 ルイが一気に疲労したような表情を見せた。そうだよな。魔法大臣とルイって合わなそうだし。それに、クレハさんとクチバさんは確実に振り回されてるよな。
 
「そんなに疲れた顔をしなくてもいいだろう?」
「疲れる行動を取られたのはどなたです? 自覚を持ってください」
 
 ルイの方が年上に見えるのはどうしてだ?!
 
「……分かった。今回はクレナイが護衛してくれたぞ」
「当たり前です。返事を貰ってきてと言ったのに、本人を連れてきたのははっきり言えば論外。守るのは当然でしょう」
「……頭がいいのも考えものだ」
 
 ……これじゃ、本当にどっちが年上か分からねぇ。結局、魔法大臣に説明し、確認作業の一つとして認められた。長い時間が経った精霊でも孵化をするのかって言う確認だ。しかも、こんな公衆の面前で卵を作るのかよ。
 
「こういうのって、人前でするもんじゃねぇと思うんだけど」
「そうなんだけどね。あの人、言い出したら引かないからね」
「魔法大臣?」
「そう。この前の父さんとクチバさんを見たでしょう?」
 
 確かに見たけどな。完全に遊ばれてた。ルイと二人で溜め息吐いて、守護獣がいた場所を使わせてもらう。守護獣はと言えば興味津々な顔だ。指を鳴らして杖を出すと、オレとルイは諦めたように向かい合った。
 
 
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