銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
216 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

216 精霊の寿命

しおりを挟む
 出来上がった卵だけど、実はコウガが育てたがった。でもよ。コウガはリッカの元にお嫁? に行って、実質、一族から離れた。だから、魔法大臣がコウガの両親にコウガの兄弟として育てることを命じた。まず、孵化する子はコウガと似たような容姿であるだろうということ。何より、守護獣が卵から離れないだろうということ。一族の者と話し合い、封印されている館を解放し、この館で卵を育てること。
 
 一番の理由が卵が育ち始めて館内にいた魔獣達の姿が現れたっていうのが最大の理由だよな。もう、みんな、半分パニック起こしてるしさ。
 
 で、孵化した子がある一定の年齢に達し、物事を判断できるようになったら、事実を話すように言われてた。そうだよな。育ててるのは実質、子孫に当たるんだしさ。
 
「問題はさ、解けた卵の精霊には期限があるだろうってことだろう」
「慌てて卵に入れてたな」
 
 魔法大臣の言葉にオレは頷く。
 
「そうなると、早く捕獲して、卵に入れないと駄目でしょう?」
「どれだけいるか分かんねぇけど、全てを同じ年に行うとさ、バランス悪くねぇ?」
 
 既に三人も同じ年になるよう孵化するだろう。もしかしたら、少しはずれる可能性があるかもしれねぇけどさ。
 
『精霊王に相談してみたらどうだ?』
 
 そう、口を出してきたのはウィルの爺ちゃん。やっぱりいたんだな。リッカの側にいるだろうとは思ってたけどさ。
 
『あの方はいつも退屈している。相談すれば嬉々として手を貸してくれるだろう』
「……そうなんだけどさ」
 
 ユグドラシルって絶対、やりすぎる傾向が強いんだよな。無邪気な顔してさ。
 
「大臣はどう考えます? ここの精霊だけが弱ってるとは考えにくいですよ」
 
 ルイは魔法大臣に質問を投げかけた。そうだよな。オレとルイは結局、その辺にいる魔法使いと同じだしさ。たくさんの役職を与えられたとしても、絶対的、決定権はねぇし。
 
「捕獲が最優先だろうが、まず、どれだけの数なのか、把握が困難だろう」
「そこなんだよな」
 
  足で探すにも限界がある。コウガのように一族にある程度伝わっていれば簡単な話なんだろうけどさ。そう、伝わってるわけじゃねぇだろうし。まず、ここのように結界と守護獣と魔獣に守られていたことが稀なんだろうからさ。ほぼ、魔の物に食べられていると仮定して、それでも、相当な数だと思うんだよな。
 
『精霊と妖精に問うのはどうだ?』
 
 守護獣が俺に視線を向け、そんなことを言った。
 
『魔法使いの遺伝子を抱えた精霊は特殊な波動を持つ。お前達の周りには凄い数の精霊と妖精がいるな。それも、ただ、集ってるんじゃない。何かの意思を持っている。もし仮に、お前達を守るために存在しているというのなら、困っていることを助けてもくれるんじゃないのか?』
 
 そうなのかな? いまいち、よく分かんねぇんだけど。
 
「キュウ」
「は?! 分かるって?」
 
 そう言えば、担任の遺伝子抱えた精霊を最初に見つけたのってベニか? そう言えば、オレも違和感感じたんだよな。ここの屋敷のも簡単に感じることができたし。それって?
 
「もしかしてオレも見つけられんじゃね?」
「なに言ってんの?」
「担任の精霊が近くにいるとき、違和感があったんだ。つまりさ。卵を作るようになったせいなのか、精霊の方から寄って来てんだと思う」
 
 精霊がどう、判別してるのなんて分かんねぇけど、精霊の方がオレとルイを感知してんだと思うんだ。今まで、そんなもの感じたこともなければ、気にしたこともねぇってことでもあるけどさ。
 
「ウィル オ ウイプスが言っていたように精霊王に相談してみる? 捕獲できてもすぐに卵に入れるわけにはいかないし」
 
 ユグドラシルは解けた卵の精霊を捕まえて欲しそうだった。助けてくれるかもな。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...